病院開設特区、評価は08年度以降に

 政府の構造改革特別区域推進本部評価調査委員会(委員長=樫谷隆夫日本公認会計士協会常務理事)は2月4日、株式会社による病院開設を全国展開する特区の特例措置を全国展開する方針について、本年度は評価を見送り、あらためて2008年度以降に評価するとした意見案を大筋で了承した。地域密着型サービスの認知症対応型通所介護の利用枠を障害児・者まで拡大する提案についても、特例措置は創設しない。今月末か3月初旬に開かれる本部会で、本部長の福田康夫首相に答申する。

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 現在、株式会社が病院を開設できる「株式会社病院特区」を実施しているのは神奈川県のバイオ医療産業特区1件のみ。同委員会の医療・福祉・労働部会はこの事例を評価するために調査を実施したが、株式会社が運営することによる医療提供体制や安全管理などに特に弊害はなかったものの、申請件数が少な過ぎるために比較対象がないとして評価を見送るとした。樋口美雄部会長(慶應義塾大学商学部教授)は、「これまで全国で1件しか申請されていない。なぜ申請がないのかという課題を考察する必要がある」と述べ、今後は部会で特区の在り方そのものを検討していく考えを示した。評価に当たって実施した調査が医療機関に対してのみだったため、今後は患者や国民からの要望を調査対象にすることも検討課題に挙げ、08年度以降にあらためて評価するとした。

 金子郁容委員(慶應義塾大学政策・メディア研究科教授)は病院開設特区について、「医師不足で医師がおらず、病院がない地域などには、資本調達することで病院が開設できることは国民にとって良いこと」との見方を示し、特区を高度な医療による自由診療に限らず、一般的な医療にまで広げることで医師不足の解決に役立てることを提案した。

 同委員会は、病院開設特区以外に評価対象となった19件のうち、全国展開は1件、特区において当分の間存続が1件、再度適切な時期に評価するものが11件、ニーズ調査の結果により予定していた評価をしなかったものが4件、省庁自ら全国展開するものが2件と結論付けた。

■障害者の認知症デイ利用は認めず
 福田首相から諮問のあった、地域密着型サービスの認知症対応型通所介護の利用枠を、身体、知的、精神障害者・児にも拡大するとの自治体などからの提案については、「特区での特例措置は必要ない」とし、関係機関の連携や助言指導を求めるとの意見にとどめた。

 認知症対応型通所介護は、認知症の高齢者へのケアの充実を目的に始まった制度であるため、利用枠が広がってしまうと制度創設の趣旨を損なうと判断した。認知症対応型と一般の通所介護で設備基準などに大きな差はないため、障害児・者を受け入れたい場合には、「一般の通所介護の指定を再度取り直せばよい」との判断も示した。


更新:2008/02/04   キャリアブレイン

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