戦前戦後の東京の姿を情感豊かに記録した、写真家で写真評論家の桑原甲子雄(くわばら・きねお)さんが、昨年12月10日、老衰のため死去した。94歳だった。喪主はおい吉史さん。葬儀は親族で済ませた。
13年東京生まれ。東京市立二中卒業後、幼友達の故濱谷浩さんの影響で、写真雑誌への投稿を始める。48年雑誌「カメラ」の編集長となり、土門拳を月例写真の選者に起用し、リアリズム写真運動を展開。その後も、「カメラ芸術」「季刊写真映像」などの編集長を務めた。
2・26事件のときの皇居周辺の光景など、投稿時代に撮った30年代の東京の写真がよく知られ、写真集「東京昭和十一年」「夢の町」などにまとめられている。