厚生労働省の調査で、県の女性と子どもそれぞれ10万人当たりの産科・産婦人科と小児科の医師数は、いずれも全国平均を上回ったが、医師が和歌山市に集中する地域差も浮き彫りになった。県医務課は「統計上の数値で(格差が)実態を表しているともいえないが、地域の医師確保が困難なのは事実で、施策の一層の充実を図りたい」と話している。 厚労省が2年ごとに実施する「医師・歯科医師・薬剤師調査」で、2006年12月末時点の届け出医師数をまとめた。都道府県別の比較を昨年12月に、市町村別の数値をこのほど公表した。 15歳未満人口10万人当たりの小児科従事医師数は全国平均177・9人に対し、県は221・6人。15〜49歳女性10万人当たりの産婦人科・産科は全国38・7人に対し、県は46・4人でいずれも近畿トップだった。 しかし、医療施設従事医師数は地域によって大きな開きがある。県内の総数2532人に対し、和歌山保健医療圏(和歌山市、海南市、紀美野町)が半数以上の1485人で、うち和歌山市が1374人を占めている。田辺圏(田辺市・西牟婁郡、みなべ町)は267人、新宮圏(新宮市・東牟婁郡)は150人。 診療科別でも、県内の小児科医308人に対し、和歌山圏151人、田辺圏32人、新宮圏15人。産婦人科・産科は県内97人に対し、和歌山圏57人、田辺圏10人、新宮圏5人だった。 調査結果について県医務課は「人口差はもちろん、和歌山圏に大学病院があり、教授を多数抱えていることも要因。一概に格差といえない」と説明。「10万人当たりの比較は人口の少ない県が上位になりやすく(産科では鳥取が1位、2位が徳島)、和歌山県自体も必ずしも充実しているといえない。県立医大の定員増効果が出るのは8年後。女性医師の確保、ドクターバンクのPRなど、従来からの施策の充実に努めたい」と話している。