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そんなに帝王切開が良いですか
昨夜も日付が変わるちょっと前くらいに分娩あり、出動対応を要した。やや要注意でもう少し時間がかかるかと思ってた方だが、スムーズに分娩となったのは良かった。時刻的にも寝不足となる時刻では無く助かる。
今日も様々な良いニュース悪いニュース入りながら仕事していたが、だからどうと言う事は無い。良い事もあれば悪い事もある。世の中そういうものだ。
さてさて普段仕事をしてて良くある事だが、特に適応が無いのに、分娩は帝王切開でぜひお願いしますと言ってくる方は意外に多い。
高山のような所でも月に1名くらいはそういう方がいるから、都市部では多分もっと多いのだろう。
だいたい今の日本での帝王切開率は15〜20%と言われている。帝王切開というのは世界中で最も良く行われている開腹手術であり、確かにごくありふれた手術と言える。
そのため、おそらく帝王切開を希望する妊婦さんは、帝王切開の方が楽で安全だと考えているのだろう。
実際にブラジルを始めとした南米の国では、自力で産むのはお金の無い人だけで、普通の人は皆帝王切開で分娩すると聞いた事がある。確かにブラジル人の方は帝王切開既往の人がすごく多い。
コパカバーナのビーチで寝そべる美女も、その多くは数年後分娩の時には帝王切開手術となり、お腹に傷が出来るのだ(こういう想像は品が無さ過ぎですか・・)。
さてそういう帝王切開を希望する妊婦さんは、なぜ手術分娩を進んで希望するのだろうか。
それは多分帝王切開の方が安全で痛み少なく楽だと思っているからだろう。
だが帝王切開は自然分娩より安全だと言う考えは間違いだ。帝王切開の方が危険である。これは統計的に数字で出ている。
だからほとんど全例手術分娩のブラジルでは、日本より格段に周産期死亡率も母体死亡率も高い。
痛みについては、確かに初産の陣痛より帝王切開の方が痛み少ない気はする。
しかし陣痛の痛みは分娩が終わると無くなるが、手術の傷の痛みは分娩後も長期に残る。
しかも経産の陣痛は比較的楽な事が多いから、経産の陣痛と比べると総じて帝王切開より痛み少なく楽だと思う。
一度帝王切開をすると次も帝王切開となる確率が高い事を考えると、数人子供を産むのならトータルの痛みも自然分娩の方が少なく楽なんじゃないか。
しかも忘れてはならない点で、帝王切開は自然分娩より何倍もお金がかかるという事もある。全ての分娩を健保で手術にしていた日には、日本の健康保険は途端に破産し成り立たなくなるだろう。
確かに分娩は何があるか分からない。突然へその緒が出てきたり、胎盤がはがれたり予想できない事が少なからず起こるのは確かだ。しかしそれでも腹と子宮に深い傷が残るのだし、希望あれば帝王切開にしてあげるという考えには、僕はとても賛同できない。 |
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検診業務もしています
昨夜はちょうどサッカーとハンドボール決勝の時刻に分娩が一件、更に夜中0時に分娩があり、それぞれで出動を要した。
スポーツ観戦の定番でビールを飲んでいたから、寒い中病院までは歩いて行く。外にはしんしんと雪が降っていた。
この点僕は今まで何度も、猛吹雪やドカ雪の深夜に緊急出動した経験がある。
そういう時は除雪が間に合わないので、やはり徒歩で病院まで歩かなければならない。山や仕事での色々な経験があれば、昨日くらいの多少遅い時刻の雪中出動なんてどうって事は無い。
さてさて話は変わり、僕のいる久美愛病院は比較的検診業務に力を入れているという事を看板にしている。言い方を変えれば、ガンの早期発見に力を入れて地域住民の健康維持に大きく貢献しているとなる。
それは全く良い事に違いない。これは前院長の肝いりでもあり、僕も毎週たくさんのガン検診業務をしている。ガンは早期発見が何よりも大事だ。僕は自分の経験上もそれを痛感している。
だから、僕はせっせと毎週100人は子宮ガン検診を行ってきた。毎週100人と言えば年で5000人近い。10年で飛騨地域の全女性(子供を除く)の人口に匹敵する数字だから、これはそれなりに大したものだろう。それなりに飛騨の子宮ガン早期発見に僕は貢献しているのは間違いない。
しかし僕ほど多くの分娩数を扱っていて、同時にガン検診もたくさんしている産科医は世間にまずほとんどいない。様々な医師の集まりに出て、僕は良くその事を聞かれるし、実情を話すと驚かれる。
自分の身体や労働環境を考えるのならば、ガン検診か分娩かそのどちらかを辞めた方が良いのではないかという訳だ。
確かに僕の仕事量は多すぎる。昨日も集団ガン検診の最中に、子宮外妊娠疑いの方の緊急受診があり、ちと困った。
その外にも各種業務連絡電話もある。以前にはガン検診の最中に分娩後の方が出血多量となり、輸血寸前の状態まで進んでしまった事もある。奇麗事ばかりでは言えない綱渡りの厳しい世界なのだ。
更に先日お隣の日赤病院では外科で乳がん検診を、医師不足から休止にしたという連絡を受けた。
日赤病院の外科医の人数は5〜6人だ。一概に比較は出来ないが、何で一人産科医の僕が子宮ガン検診を続けれると言うの?と思ったりもする。
世間の鬼気迫る?需要がある分娩とガン治療が辞められないのならば、せめてガン検診業務からは撤退せよという理屈は通ると思う(統計上の検討も必要でしょうが)。
しかしガンは早期発見できなければ終わりだ。そう考えると何の症状も無い人にも片っ端からガン検診を行うと言う事は、大事なガン治療の一環だと考えれなくも無い。
また子宮ガンというのは、早期発見できれば、治療にかかる手間はぐんと減らす事ができる。そうなれば医師も患者も嬉しい。
どうするのが一番良いかは分からない。自分の権利と健康のためには、病院の方針を気にする事は無いとも思う。
しかし僕は自分のガン経験からも、がん治療や検診業務から撤退する気が今ひとつ出てこない。
身体は動く以上、せっせとガン検診業務も続けるのが正しい生き方だと、内心では思っているのだろう。 |
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医療のコンビニ化という言葉は正しいか
ここのところ深夜に呼び出されることは、ほとんど無く済んでいる。お陰で寝不足も無い。
寝不足無ければ寝不足日記の題名も名ばかりとなり、看板に偽りありという事にはなる。とはいえ自分の健康にとっては寝不足なく規則正しく暮らせるのが良いに決まっているから、これで良いのだとも思っている。
さて最近「医療のコンビニ化」という言葉が時々テレビや新聞で時々聞かれる様になってきた。
大した重病でも無いのに気軽に救急外来を受診する人が多くいるため、ただでさえ少ない医師のマンパワーが益々不足してくる。そういった状況を指しての言葉だろう。なおそんな言葉は数年前には聞いた事が無かった。要するに世間が世の中の医師不足にやっと気づいてきたという訳だ。
とはいえ産科と並んで医師不足著しいと言われている小児科では、高山において深夜未明の時刻に突然呼び出されたりする事はあまり無いと、若手医師が先日僕に話していた(難産による分娩室からの呼び出しは別)。
やはり地方のお母さんは都市部と比べて深夜の受診を控える傾向にあるのだろう。深夜族でなければお母さんも子供も夜中は眠いものだ。
しかし分娩は地方でも都市部でも時刻に関係はない。深夜未明労働の多さは、全国何処でも産科医の宿命なのだ。
5〜6年前の僕は全く24時間人間コンビニだった。全ての分娩で立ちあっていた関係で、深夜でも何でも3時間に一度は必ずどこかから電話が入る暮らしをずっと続けていたのだ。
だからその頃の数年間は僕は何時も眠くてボーっとしていた。今から思い出しても、その頃はなにか暗くて何時も眠たいという記憶しか思い出せない。つまり完全な欝状態だったと思う。
これはだれでも、数時間おきに突然起こされて仕事しなければならないという暮らしを何年も続けたら、同じ状態になると思う。身体を壊す前に精神を病んでしまうのだ。
だから僕がこの寝不足日記をせっせと続けていられるのは、あの時の数年間の眠たさ辛さがバックボーンにあるのは間違いない。その時の眠くて暗いメンタルトラウマが、今になって反動として日記にぶつけられているのだ。
さてさてそこでこれではいかんと、今から5年前に僕は3ヶ月間分娩を一切ストップする決断をした。
それは突然の事でもあったので、各方面から色々な抵抗があった。しかし今でも僕がこういう状況で仕事を続けていられるのは、この時の決断があったからで間違いない。
それは僕が分娩業務をしないという事で、困る人はたくさん出る。情に訴えられたりもした。
しかしそれなら僕のような暮らしを一年でもやってから同じ事を言えと、僕は本気でその時全ての抵抗を突っぱねたのでした。
さてさてそれなりの経緯を経て、その頃と比べて今の方が深夜労働は随分と減った。
飛騨の患者さんも医師不足を理解してくれる様になって、多少の出血や腹痛なら時間外に受診せず、できるだけ診察時間内にかかってくれる。
医師のたくさんいる他科からの紹介患者さんも、昔よりは良く待ってくれるようになった。だから僕は時代の流れは順風だと思っている。少しずつでも良くはなっているのだ。
さてさてとは言いながら、今も急患さんが救急受診してきたという連絡が入った。先ほどから続けて3人目だ。
やっぱり昔も今もコンビニはコンビニかなあと思う(時刻的には気になりませんが)。
ただコンビニというよりも、その本質は需要と供給のバランスが完全に崩れている事にある。
とにかくはちょうど急患さんが多く救急受診する夕方の時刻に、この日記を書くという習慣は、僕にとって良いガス抜きになっている事はまず間違い無いだろう。 |
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飛騨は寒いところです
この土日の山スキーでは土日ともにきっちり登頂して、頂上からパウダー滑降するという完成度の高い山スキーを楽しめた。また厳冬期の登山らしく寒さが印象に残る山スキーでもあった。
パウダー滑降が好きな山スキーヤーにとって寒さは有難い事だ。寒ければ寒いほど雪がさらさらとなり軽い粉雪滑降が楽しめる。もちろん身体は寒いのは辛いが、現代の優れた防寒具下着やシェルを身に着けていれば、行動中に凍えてしまうほどの事は無い。日帰り登山だから、指先を濡らさない限り、凍傷にもまずあまりならないだろう。
しかも今回の山スキーは、その登山中でも時々眼下に平湯温泉街が垣間見えるという登山だった。
あそこまで降りれば暖かい温泉が待っていると思うと、寒さも吹き飛ぶ。
実際に登山後凍えた身体を温泉で暖めていると、何だか身体の芯から溶けていくような快感だった。こういう楽しみは日帰り山スキーならではの最高レベルの贅沢だろう。
さて昨日月曜日の朝は、晴れた関係で放射冷却が入り更に飛騨は冷え込んだらしい。
通勤途中の電光気温標識もついにマイナス10度の大台を指していた。
何でも昨日は荘川の六厩地区でマイナス22,2度を記録し、それは北海道よりも寒く、昨日の全国アメダスの最低気温だったらしい。飛騨は昨日日本一寒い所だったのだ。
月曜日の午前中まで高山にいてくれた名古屋からの代務の先生はさぞかし寒さで驚いた事だろう。こういう事は滅多に無いので、これで懲りないで欲しいと思ったりする。
なお荘川の六厩地区には大きな山は無い。とはいえなぜか冷え込むので、雪さえあればこの時期さらさらパウダーが楽しめる低山が幾つかある。僅かな隙を見て登りにいけないかと考えたりして・・。
さてさてその寒い日の昨夜は病棟の新年会が、高山の寿司屋さんで開かれた。
こういう時は日本酒に限るので、美味しい刺身と日本酒ですっかり良い気分となる。しかし今日も仕事があると思うと夜更かしはできなかった。 2次会ではそれほどは飲まず、健康的にカラオケを楽しむのでした。まあ宴会の最中に分娩呼び出しが無かった事は良かった。
そして今日は深夜から雪が降り出して、朝起きたらそれなりに積もっていた。低気圧通過により雪が降る日はそれほどは冷え込まないもので、朝の電光気温標識はちょうど0度だった。昨日より今日は10度も暖かい。とにかくこの機会にどんどん雪が積もって欲しい。できれば標高の低い藪山でも雪が積もっていて欲しいのだが、どうだろうか。 |
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写真はカラーが良い
この金から月にかけては、手術が大小含めて5件。一部新ルートを含む山スキーが2つと大充実の数日間となった。これも代務の先生が高山まで来てくれていたお陰で感謝する。夜中に起こされる心配なく夜眠れるという事で、それだけでもかなり大きい。
さてとは言うものも実は昨日山から帰ってきたあたりから、子供達から移されたインフルエンザの症状が出てきていた。喉も痛いし少し身体もだるい。
やはり極寒の山スキーはそれなりの負担を身体に与えていたのだろうか?
気合で風邪を治すほどの基礎体力と免疫力が無い僕は、家庭備蓄のタミフルを内服して早めに寝るしかない。
タミフルが効いたのか、ワクチンを打っておいたのが良かったのか、とにもかくにも今日の昼には風邪は大分良くなってきた。これは午後の手術で少し緊張したのも良かったのかもしれない。
なお聞いた話では今年のインフルエンザワクチンはその効果が今一つだったらしい。
家庭内でも、ただ一人ワクチンを接種していなかった長男のみが、今の所家族の中で唯一インフルエンザに罹ってない。ちと皮肉な話だ。つまりはワクチンのタイプが良くなかったのだろうか。せめて高熱を出した三男を除き、それほど重症化しないのが救いだ。
さてさて話は変わり、先ほど昨日一昨日の山スキーの記録をUPした。どちらも豪快パウダーを楽しめたが、記録を作って決定的に大きな違いがパートナーの有無であった。
やはり一人で登った山スキーの記録では、写真がどうしてもつまらない。まるで白黒テレビとカラーテレビくらいの違いがある。もちろんこれは天候の違いもあるだろうが、やはり写真はカラフル色付きが良い。
冬山は基本的に白黒の世界だ。たまに朝日の赤とか、夕日の黄色とかあるが、タイミングがあわなければどうにもならない。。
白黒の世界でも素晴らしい写真を撮れるだけの、抜群の写真テクがあれば良いのかも知れないが、コンパクトデジカメでただ撮るだけだから、それは所謂無いものねだりと同じ事なのだろう。単独行のシュプールだけの写真ではやはりちと寂しいなあと今更ながら思ったのでした。
というわけでまずは白黒単独の大崩山北東部尾根の記録へどうぞ。
続いてカラー色付のアカンダナ山の記録へもGO |
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昨日登った大崩山北東部尾根の地図です(青線部は下降で使用)
これは今日のアカンダナ山の地図です(青線部は下降で)
アカンダナ山の正しい?登り方
今日は多少の紆余曲折を経て、午前中のみ山スキーできる時間が出来た。天気も良いし、Misao先生も忙しい中出動してきてくれるとの事で、午前中にさくっと登れる(だろう)山としてアカンダナ山を選び、素敵なパウダー滑降を楽しんできた。
頂上シュートの滑降こそ割愛していただいたが、予想以上のパウダー斜面を昨日に引き続き楽しめて大満足だ。
実は僕もMisao先生もアカンダナ山にはちと苦い思い出がある。アカンダナ山は時期やルートを誤ると大ハマリの可能性がある意外に難しい山なのだ。
それは平湯温泉から見るやや奇怪で印象的な山容からも想像できる。
そこを今日はさらりと上手に登れたから、ある意味作戦勝ちでもあった。勝因は雪崩の危険の見極めた上でのルート選択と、パウダー絶好シーズンに登った事にあるだろう。
登山はちょっとした事で難しくなったり、簡単になったりする事がある。もちろん運もあるわけだが、僕も山スキーを始めて長くなり、やっと少し上手に山を登り滑る事ができるようになってきた気はしている。
平湯トンネルから見たアカンダナ山
短時間で素敵な滑降を楽しめた
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それでも山スキーに行く
昨日の午後に3件組んでいた手術は予想以上に苦労した。
手術というのは思惑通りに行かないのは良くある話しだから、そういった場合でも対応できるように常々準備しておくのが重要だ。
しかし僕の場合代務の先生と二人で麻酔から何からやらないといけないので、余裕があまり無いと言える。とにかく持てる能力で何とかするしかない訳で、昨日も何だかんだと無事に手術はこなした。
そういうわけで昨夜は帰宅も遅くなり、肩や背中もみしみし痛い。
しかも家に帰ったら三男と配偶者がインフルエンザで寝込んでいた。次男も胃腸風邪で調子が悪い。長男は元気だが、サッカーの練習でこの土日も何かと忙しいらしい。
仕事にも余裕が無いが、家庭にも余裕が無いなあと思う。皆それぞれ都合はあるわけだから、こういう時は家族で都合つけあって、家事等々を協力し合うのが普通だろう。
しかしこの週末は代務の先生もいてくれるし、パウダースキーの絶好のチャンスだ。仕事でどんなに疲れていようとも出動したい。
いろいろ悩んだが、調子の悪い家族には、非常用備蓄?タミフルを飲ませて、やっぱり今日も僕は早起きして山スキーに出かけてしまった。ちと後ろめたい気は確かにするが、許してね。
山スキーは予想通りラッセル深く大変だった。大崩山の北東の尾根(記録未見)を狙ったのだが、仕事の疲れも残り、藪と急斜面とアップダウンに苦労する。及びこれまた想定外のクラスト雪庇にルートを誤り緊張の一場面もあった。
とはいえ天候には恵まれて、首尾よく頂上を記録未見ルートから往復できたから、結果には満足だ。
無理して山に行くのも良くないし、色々気をつけなければならないと思う。反省する点もあるが、とはいえ今日一日の冒険に、心は随分と癒され嬉しい気持ちの自分もいる。
北東尾根(仮称)途中から大崩山を見上げる
美味しいパウダーもいただきました
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今も昔も病気の時は漫画ですか
昨日のニュースでは爆弾低気圧がどうのと報道していたが、期待するほどは昨夜も高山では雪は降らなかった。朝には雪はすっかり止み、晴れ間も垣間見えるくらいで、除雪車もほとんど出動せずに済んでいるらしい。
おそらく今回の冬型でも、標高の低い山にはそれほど積もって無いだろう。そういえば例年この時期は、何時も通勤に長靴が必要となるが、今年はまだ一度も通勤で長靴を使ってない。
テレビのニュースでは大雪災害を報道したいのだろうが、実際に雪国に住む者としては、今年は更により一層雪少なく過ごしやすい冬という印象だ。
そういうわけでインフルエンザも流行らないせいか、病院内も今はそれほど忙しいという雰囲気はない。
寒さによる受診抑制のみ働いたためか、産婦人科も今日は珍しく空き、外来も午前中に終わった。
もちろんたまたまだろうが、看護士さんとこんな患者さんの少ない日は何年ぶりかねえと話したりする。
さて話はまた変わり、巷でインフルエンザはそれほど猛威を振るってない様だが、昨日から家の中では、風邪で熱を出した次男、三男が、暇そうにストーブ前でゴロゴロしている。
何でも今日は学校のスキー教室だったらしく、身体は元気なのに発熱で学校を休まなければならない事が、随分と不服らしい。
そこで優しい僕は昨日仕事から帰ってから、レンタルビデオ屋さんに出かけ、子供達に漫画本をまとめて借りてきてあげた。漫画レンタルは安いのをいい事に、まとめて何十冊もドラゴンボールのコミックを借りてくる。
そしたら予想通りこれが当たって、子供達は学校の事は忘れ、全く見事に漫画にはまった。昨日から起きている間は、ずっと一心不乱に漫画に集中している。
そういえば以前養老孟司は、ドラゴンボールの漫画には人生で学ぶべきもののかなりの部分が含まれていると話していた。
なおその一方ドラエモンは日本を悪くした最悪?漫画だという話もどこかで聞いた事がある。
理由は簡単で孫悟空は勝つために努力するが、のび太は勝つために他人任せで全く努力しないからだ。
これは確かに僕もそう思う。努力しないで世間を渡る漫画が子供達に良いわけは無い。
ドラエモンが突然現れて救ってくれると信じ犯罪を犯した人間のニュースも聞いた事があるし、ドラえもんは実は日本の子供達(自分も含めてですか?)にかなりマイナスの影響を及ぼしている漫画に違いない。
さてさて僕も30年以上前の子供の頃には、病気で熱を出すと、父親が本屋からコミック雑誌を買ってきてくれたものだった。
当時はウルトラマンとかが主流だったが、ドラえもんの漫画もあった気がする。と言う事は僕等を含めたドラえもん世代は、他人任せの無責任世代だと言えなくも無い。これは確かに思い当たる。大いに自省すべきだろう。
というわけで子供達にはドラえもんの漫画は見せないし読ませない。所詮漫画は同じかもしれないが、ドラゴンボールの漫画で自分で努力する事を学んで欲しいものだと、内心ちょっと思っていたりする。 |
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僕は病気になれません
ここの所平和な夜が続き、昨日も分娩は一件も無かった。
おかげで昨晩は仕事が終わってから古川まで出かけ、日本を代表する短距離ランナー朝原宣治の講演も聴く事が出来た。ついでに古川駅前の洋食レストラン前田で、配偶者にひだ牛定食などご馳走して点数稼ぎしておく。
朝原の話も、ひだ牛定食も共に上質で、有意義な夜を過ごせたから嬉しい。
なお言わずと知れた朝原は、世界で戦う貴重な超一流日本人スプリンターだ。
僕は並外れたスーパーマンを予想し、とんでもない話を聞けるのではないかと楽しみにしていたが、思ったより特別な人という感じではなかった。
講演の主題は何故か子育てのことであったため、35歳で故障もせずに世界トップレベルにいられる秘訣は、残念ながら良く分からない。しかしとにかく並大抵ではない素質と努力する才能を持って生まれてきた方である事は間違いない。
さて話はここでがらりと変わり、今高山周辺では子供達の間に風邪が大流行している。
市内各所の小学校でも学級閉鎖が相次いでいるらしい。5年生の次男のクラスも昨日から学級閉鎖となった。
今朝起きたら、次男と三男は38度の熱を出し、家中で咳をしてウィルスをばら撒いている。なお子供達は基本的に熱に強いので、学校は休んでいても、家の中を元気一杯で闊歩している。
近くに寄ってきては咳したりするので、これでは立派なバイオテロだと思う。
尚次男も三男もきちんとインフルエンザワクチンを2回接種している。にもかかわらず風邪を引くなんて根性無しにも思える。
しかしどうやら聞いた話では、今高山で大流行している風邪はインフルエンザでは無いらしい。どうもインフルエンザほど強くないマイルドな胃腸風邪系ウィルスが今巷で流行っているようだ。そうなるとノロウィルスが一番考えられるのだが、それだけでは無いような気もちょっとする。
とにもかくにも、子供のうちに各種ウィルスに暴露しておく事は、感染症に強い大人になるために重要だと聞いた事がある。そういえば昔の子供はしょっちゅう熱を出していた記憶がある。
子供が熱を出したからといって、本当はどうと言う事は無いのだろう。だから昨夜も熱を出した子供を置いて、古川に出かけたりもした。
さてさて、家族がいくら風邪引いても、僕は簡単に風邪を引ける立場でない。
今日も外では雪がしんしんと降っているというのに、それはたくさんの患者さんが診察に訪れた。中には重症要注意な患者さんも多い。そういった方々はどんなに寒くても、雪道をついて僕のところに受診してきてくれるのだ。
それなのに僕が簡単に体調を崩したり、仕事を休んだりしたら、患者さんらが大いに困る。中には命に関わる場合もある。しかも明日にはたくさん手術がある予定だ。
一人産科医の辛いところは、度重なる深夜労働もあるが、病気しても休めないという点もある。
だから僕は一人産科医の看板を出して10年以上、まだ一日たりとも病気で仕事を休んだ事は無い。昔から皆勤賞といった所だろう。
風邪を引いた事が無いという訳では無い。要するに高熱を出しても、座薬を入れて仕事し続けていただけだ。
39度の熱を出しながら手術をしたり、深夜業務をした事も過去に何回もあるが、それはやはり辛い思い出だ。
その時の辛さを思うと、僕は自分のためまた患者さんの為にも、絶対に子供達から風邪をうつされるわけには行かないと改めて思ったりする。 |
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まずは仕事に対するモチベーションを上げるのが大事
昨夜もきちんと眠れた。割と仕事も楽で本を読んだりDVDを見たりする余裕もある。
今日はペーパーワークと雑用の日で、合間に合わせて40人程のドックや集団検診が入る。保険会社の問い合わせの方が複数見えたり、各種アンケートや書類に記入したりしてる内に、あっという間に時間だけは過ぎるが、手術や分娩無く入院患者さんの人数も少ないから、総じて楽な方の一日だ。
さて今朝起きたら、枡添厚生大臣がニュースにまたまた出てきて、産科医不足についての調査が全国的に必要だとテレビコメントを出していた。
産科医不足の最前線にいる人間としては、この手のコメントは基本的に歓迎だ。こういう事を通じて、少しでも産科医の待遇が良くなっていくからだ。
今朝も院長が、県医師会で話す産科医不足対策の話をどうするかについて相談しにきたが、世間ではいよいよ産科医不足が深刻である事が認識されてきている。
さて、産科医不足となった原因は、その絶対的人数も足りないのもあるが、実は産科医一人一人の仕事に対するモチベーションが下がった事も大いに関係している。
この前の母体搬送連絡会議でも、今何とか解決してるのならば、このまま何とかしてれば良いじゃないかと発言した救急室関係の医師がいた。これは冗談じゃない発言だと今更ながら思う。
ただでさえ飛騨地域の産科医療は条件悪く、母体死亡率も周産期死亡率も他地域に比べて高い。しかも多くの産科医は疲れている。このままの状態で仕事を続けてれば良いじゃないかなんて趣旨の発言はもっと怒って良かったろうと思う。無理してがんばってるのを、それで解決じゃないかと一言で言われてしまえば、それはやる気を失うだろう。
さてさてそれはともかく、急に全国の産科医の仕事に対するモチベーションを下げて、これほど産科医不足を深刻にしたきっかけは、実は明らかだと僕は思う。
それは手術時の出血多量による母体死亡で、福島の産科医が刑事逮捕されたという2年前の出来事だ。
これは身を削って働いている多くの産科医の、仕事に対するモチベーションを猛烈に下げた出来事だった。もちろん僕もかなり気持ちの上で影響を受けた。
幾ら使命感で一生懸命働いていても、その挙句に刑務所に入れられるなんてなったら、誰でも仕事する気を失うのは当然だ。社会的要請で働いて、結果社会的制裁を受けるなんて、とても納得できない。
今の産科医療崩壊を招いた、最大の犯罪者は産科医の刑事告訴を決めた福島のとある検事だ。この検事の下した決断が産科医のやる気を失わせたために、妊娠を取りやめた妊婦は多分全国で何千人といる。
この検事の判断は産科医療のみならず、日本全体に大変な負の影響を及ぼしているのだ。
僕はこの判断を下した福島の検事にこそ、何らかの社会的制裁を加えないといけないと思う。産科医の人数は急に増える事は絶対に無い。つまりは一人一人の産科医の仕事に対するモチベーションを上げるしか今は無い。
そしてその最善の方法が、産科医の刑事告訴を決断した検事に対する適切な社会的制裁だと思うのだがどうだろうか。 |
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毎日一つはアンケート
たまたまだろうが、1月の中旬頃から深夜の分娩無く、仕事も総じて楽にすんでいる。寒いせいか切迫さんの受診も少なく、産婦人科入院患者さんの人数も久しぶりに一桁台となった。
まあ産婦人科というには季節に関係なく、入退院の波が激しい科だ。入院患者さんの少ない時があれば、必ずその反動が後から来る。
病院経営的な事はおいといて、患者さんが割と落ちついているおかげで山スキーにも心置きなく行けるし。世の中平和であると言う事は基本的に嬉しい事だ。
さておかげで寝不足無く、今日はきちんと朝の医局会に出席する事が出来た。
月2回ある医局会では様々な連絡事項が各部署からあるのだが、今日はその一つに医療満足度調査のアンケート依頼があった。
医師不足に対して患者さんがどう思っているかに関しての、患者さんへの調査依頼が、岐阜大学筋から来たらしい(詳細は省略)。
と言うわけで今日は多くの患者さんにアンケートを書いてくれとお願いする仕事が、外来の最中に一つ加わった(だからどうというわけではありません)。
さてさて今日は僕が間接的に患者さんにアンケートを依頼したわけだが、最近こういった調査やアンケートは周囲に確実に増えている気はする。
僕自身も最近毎日一つはアンケートや調査依頼がそこかしこからあり、それにせっせと毎日の様に応えている。
昨日今日に限っても、胎児先天奇形に関するアンケート、産婦人科施設現況調査アンケート、性行為感染症に関するアンケート、生活習慣病に関するアンケートから正月登山に関するアンケートまで色々なアンケートや調査に答え記入した。
最近はあまりアンケート依頼の数が多いので、民間の調査会社のアンケートとか、あきらかに利潤目的のものは全て依頼が来ても殆ど読まずに廃棄してるくらいだ。
だいたい全ての調査やアンケートの趣旨は分かっている。世の中の現況調査という事で重要なのだろう。しかし何でこんなに世の中調べ事ばかり増えたのだろうか。
産婦人科業務が世の中の注目を集めている点もあるだろうが、何もそんな事まで聞かなくてもと思わざる終えないアンケートもあるのだ。
皆このままではいけない、世の中何とか変えないといけないとは思っている。しかし変革させるだけのパワーはもってない。
創業は安く守勢は難しという言葉があるが、今世間ではマンネリによる弊害がたくさん出ている。しかし実際には変化させる事が怖かったりもする。
調査だけしておくが行動は無しで済ませるみたいな、お茶を濁すだけの事が世の中に増えているのだ。
だからアンケート調査だけはして、それで事を済ませようという風潮が、きっと今の日本全体にはあるんじゃないかと思ったりもするのだ。 |
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何処に行くかで全てが決まる
昨日の山スキーはトータル標高差も大きく、行動時間も長く、予想以上の大変な登山となった。平瀬の温泉経由で家に帰りついた時にはもうくたくたで、HPを更新する元気も無く、飯を食ったらもう寝るのみだ。
ところがそれでも分娩はある。熟睡中の午前0時にしっかり分娩室からの電話で起こされた。外には雪がちらついていたが、もちろん出動して対応する。
まだ時刻的にはOKの時刻だったので、その後すかさず寝不足日記だけUPすると、すぐさま帰宅し2度寝には問題なく成功した。
今日は予約診察のみの日で、急患さんも寒いせいか少なく、手術や処置も無かったので仕事は割りと早く終わった。おかげで昨日の山スキーの記録も作る事ができて有難い。
さて昨日の山スキーでは、往路に谷を使った関係で時刻が遅くなり、山奥で目指す山は1835mの無名峰か御前岳かどちらかを選ばなければならない状況となった。
僕は以前御前岳には別ルートから登った事がある。一方1835m峰は白川村から高山にかけての山群の中で、猿が馬場に次いで高い山だ。しかも山容はピラミダルで割りと格好も良い。しかし名も無い山である事から、登頂する人はほとんどいない。
実は僕の知る山行記録と記憶の中でも、この山に登ったというものは一つも無い。レアでコアかつマニアックな山(つまりどういうこっちゃ?)なのだ。だから僕は御前岳より1835mの無名峰を登りたかった。
一方パートナーのMisao先生は、御前岳に過去2度挑戦して引き返しているという経緯があった。つまり御前岳の方を登りたい雰囲気だったのだ。
さてどちらの山に登ろうかという段階になって、僕はどちらに行くかMisao先生に決めてもらう事とした。だがこれはずるい事だ。というのは優しいMisao先生は多分僕の希望を優先してくれるに違いないからだ。その点僕は全くずる賢いと思う。
さて考えてみれば、登山を趣味としている人間が、どの山に登るか決めると言う事は、その人の性格、生き様、考え方、全ての結果だと言って過言で無い。
登山は誰のためでも無い、プロ登山家でもなければ世俗的な価値とも全くかけ離れた行為だ。
だからこそその人の本質が出る。困難な山を目指す者もいれば、高い山を目指す者もいる。未踏の山を好む人もいる。それはすなわちその人の生き様そのものだろう。
その点僕は思うに漂泊や放浪の山が人より好きな気はする。困難や高さを求めてきた気はあまりしない。
とはいえ自分への挑戦や未知への挑戦といったアルピニズムの本質はそれなりに気にしているつもりではある。へそ曲がりなところは多々あるが、自己満足のみで終わらないようにもしてきただろう。
昨日は結果的に1835m峰に登った事で、三ノ谷の素晴らしい源頭部も滑降できた。この山に登りあの素晴らしい斜面を滑降した事がある人は、世の中そんなにはいないはずで、やっぱり僕は嬉しい。
さてさてとは言うものの多分過去に御前岳を登った事が無ければ、昨日僕も御前岳登頂の方を選択したと思う。
どういう事に価値を置くかは人それぞれな訳だが、パートナーと組んで登っている以上、自分を通してばかりではいけないと言う思いもある。
登山は色々な側面を持つ。この手の事を考えれば考えるほど、登山はまるで人生みたいだと思わざる終えない。
06年3月の御前岳頂上からの展望。右端三角が籾糠山、中央一番高いのが猿が馬場山、左の白い三角が昨日登った1835m峰。左三角の正面、白い斜面が三ノ谷源頭で、昨日大滑降しました。
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高さを取るか名前を取るか
今日は病院のお留守番を開業医さんにお願いして、岐阜のMisaoどくたあと猿が馬場山南の1835m無名峰で山スキーしてきた。近くに御前岳という1816mの山もあったのだが、時間切れでそちらには登れず1835m峰の往復のみとなったのは、今更ながらスピード不足を痛感する。
とはいえ野之俣谷源頭部と三の谷源頭部の二つの素敵な滑降も楽しめたから内容には大満足だ。また最後の白弓スキー場への斜面の滑降も低温で雪質良くかなり楽しめた。(地図は明日UPします)
さて今回は野之俣谷から400mの登り返しに時間がかかりすぎて、近辺で猿が馬場に次いで高い1835m無名峰に登るか、御前岳に登るかかを選択しなければならなくなった、
僕は滅多に誰も登る事がない1835m峰に登りたかったが、Misao先生はどちらかというと御前岳を選択したい様子だった。
しかしとっても心優しいMisao先生は、自ら自分の希望を捨てて、僕の希望を優先してくれたのであった。
この点どちらの山に登るか現地でMisao先生に決めてもらった僕は、申し訳ない感じがする。御前岳はいろいろな山スキールートが設定できるのと言う事で、次回に楽しみを回していただいたのだ。
さてさて山屋が登る山を選ぶのにどういう点に価値を置くかは人それぞれだ。
その辺について、これから書こうと思っていたが、今からまた分娩業務が入るし、もう眠いので続きは明日に。
御前岳をバックに頂上にて、レポートはできるだけ明日には・・・
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寒い土曜の朝には
雪は降らないのに寒い日が続いている。このまま雪が低い山に降らないと、得意の低山藪山スキーが今年もできないままで過ぎていく事になる。
何事も想像力次第なのかもしれないが、それでも雪が降る地域が限られてくるのは、山スキーの持つ可能性が狭められている訳で嬉しくはない。
さて今日は高気圧が張り出してきた好天の土曜日だ。
パウダーこそ期待薄だが、今の雪のコンディションでは距離も伸びるし森林限界上でも行動できるだろう。つまり絶好の山スキー日和とも言える。
しかしあろうことか肝心の代務医が今週末は誰もいない。しかも入院中の方が目を離せない状況になってしまった。
昼には子供の世話や各種送り迎えも命じられているし、たとえ好天でも今日は指をくわえて遠くから山を見るだけの日とするしかない。
さてさて昨夜からの方は、以前よりターミナルで入院されていた方で、今朝の早朝未明に穏やかに他界された。
産婦人科と言うのは産まれるばかりではない。亡くなられる場合も時にあるのだ。
なお婦人科で亡くなられる方は、脳や心臓疾患で亡くなられる事はほとんど無い。まず全例がガンによるものだ。そういう方が亡くなられる場合、実は産婦人科医はほとんどやる仕事は無い。瞳孔を確かめ死亡診断書を書く事が唯一の仕事だと言って構わないだろう。 その点縫合や出血管理が必ず必要となる分娩の時とは異なる。
つまるところ産まれる時と事なり、亡くなられる時は、その場に医師は必ずしもいなくても良いとすら言える。とはいえだからといってその場を離れて山スキーに出かけるなんて事は出来ないだろう。これはあくまで医療者の気持ちの問題でもある。
さてさて今日血圧が取れないという理由で病棟から出動要請されたのは、午前5時半であった。雪こそ無いが、道路は凍りつき電光気温計はマイナス9度を指していた。おそらく今年一番の冷え込みだろう。
こういう寒い朝には良くある事で、同時刻に病院の救急外来では脳梗塞の方が意識不明のDOAで運ばれてきて、蘇生の真っ最中であった。
産まれたり、亡くなったり、亡くなりそうになるところを寸前で救われ?たり、今朝も良くあるそういう病院の寒い朝だったわけだ。 |
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寒い夜の話
雪は殆ど降らないのに、寒い日が続いている。
僕は山で凍えないように、普段の生活では比較的薄着を心がけているのだが、それでもこれだけ寒いとついつい部屋の暖房も強くつけてしまう。これではかえって良くないかもしれない。
環境省のウォームビズじゃないが、値上がり著しい灯油を節約し、環境に優しく過ごすなら、暖房をつけるより厚着を心がけた方がそれは良いと思う。
さてここのところ分娩自体は毎日1件の割合で着実にあるのだが、運が良い事に昼間の時間ばかりに生まれてくれている。
忙しい外来の真っ最中に突然分娩室から呼ばれる事は嬉しくないが、それでも夜中に起こされて出動を要するよりはずっとマシで助かる。
寒さのせいか夜中の急患さん受診も無いし、おかげで今は寝不足は全く無い。規則正しく生活できて、虫歯以外は体調もまあまあ良さそうだ。
さてさて僕は割りと寒さに強い方だと思っているが、それでもこの時期の深夜出動には、眠いという事のほかに寒いという辛さが追加されるのには変わらない。
患者さんのいる病室やナースステーションこそ暖房完備で暖かいが、それ以外の病院の部署は深夜は氷点下に冷え込んでいたりするのが普通なのだ。これは病院内を深夜未明に最も多く出入りする医師として、僕は良く知っている。
深夜に救急で呼ばれて、外来診察する時は部屋が氷点下の寒さの時もある。
凍って水が出ないくらいならまだしも、クスコと言う金属製医療器具がキンキンに冷えて、これでは膣粘膜が凍傷を起こしちゃうよと思ったことも再三ある。
病院に移動する間に指が冷えて、感覚が無くなり、その上凍えた指が碌に動かず診察に不都合を生じるという事もあった。
この辺の雪国深夜ならではの様々な産婦人科関係エピソードは抱腹絶倒の話も幾つか在るのだが、ここには書かないでおこう。
さてさてリアルな話は置いといて、この時期の産科で最も注意しておきたい事の一つに、分娩室を冷やし過ぎないという事がある。
分娩室は新生児が裸のままで、羊水に濡れた状態で、いきなり暖かい母体中から、始めて寒い外気に触れる所だ。
新生児は寒冷刺激により産声を上げる(らしい)と知られているが、とにかく分娩室は新生児にとって夏でも寒い場所なのだ。
もし新生児が言葉が分かるなら、産声は「おぎゃー」ではなくて「寒いよー」である可能性はかなり高い。この時期の寒冷地の深夜分娩室の寒さは、新生児にとって耐え難い寒さである事は間違い無い。
こんな話をしたらどうかとも思うが、実は久美愛の分娩室の暖房には不具合がある。ある程度以上はどうしても暖かくならないのだ。これはなぜこうなのかと以前調べてもらったら、何と備え付けの暖房器具が寒冷地用製品ではなかったらしい。どうしてこうなったのか。一般人は分娩室が暖かくないといけないと知らないからだろうが、こんな事では本当にいかんと思う。
とはいえ今更全て配管から直せとも言えず、仕方が無いので安っぽいファンヒーターを追加で分娩室においている。
にもかかわらず、そのファンヒーターが間に合わず、寒いまま分娩される方もいたりする。
これは新生児に申し訳ないとしか言いようがない。母親や助産師さんは暖かい格好をしているから平気でも、もの言えない裸の新生児はさぞかし寒い事だろう。
この辺の事は意外に重要な事なので、助産関係者には覚えておいてもらいたいものだと思う。 |
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安心感を与えても
さてさて、昨日午後に僕は県庁横にある県医師会館に向かい、夜7時半からの母体搬送連絡会にきちんと間に合わせた。出席者の名簿を見ると産科医療のベテラン方と救急医療の代表者方が名を連ねている。ただ予想通り高山市、飛騨市から出席した医師は僕一人だった。
これは忙しいから簡単に地元を離れられないのという事情もあるだろうが、それよりも今更行政に期待しても何も変わらないという飛騨地域産科関係者の思いもあるに違いない。
ただ僕はそういう事ではいかんと考える人間なので、呼ばれてなくてもやってきた飛騨地域代表として、行政にきちんと意見を言うつもりだった。
さてさてその母体搬送マニュアルはさすが県庁の官僚方が作り上げたものだけあって、良く出来たものだった。ただそれは県庁所在地周辺では成り立っても、産科医の数が圧倒的に足りない飛騨地域では、机上の空論の如しで役立つものではもちろん無い。
その辺の理想と現実のギャップを僕は僕なりにきちんと話してきた。
ただせっかく苦労して作り上げたマニュアルを壊す事は出来ない。そのコンセプト自体は評価しないといけないだろう。
会議の中で聞いた県外他地域の産科医療の現状は、飛騨地域より悲惨なところも多いらしい。そうならないための努力の一つとして評価できるからだ。
さてさてその会議の中でどういった議論があったかはおいといて、僕の考えが他出席者とちと異なるなあと思うことが一つあった。
それはこの搬送マニュアル設定のメインの目的が、妊婦さんに出産に際して安心感を与えるという事だったことだ。
僕は分娩に際して妊婦さんの不安をあおるつもりは全く無い。しかし一方安心感を与えるつもりも無い。
産科医の需給状況がここまで逼迫する事となった原因の一つには、世の中に安心なお産をアピールしすぎた事があると、僕は考えている。
お産は安全安心だと言う神話を作り出してしまったが上に、分娩時に何かあった時に直ぐに訴訟やトラブルが起き、産科医の仕事に対するモチベーションを大いに下げてしまった。
その結果産科医の人数が減り、分娩取り扱い施設が減り、分娩難民が生まれて、妊婦さんは分娩できなくなる。これではいけないのだ。
分娩が安全だという神話をこれ以上広めてはいけない。分娩は基本的に危険なものなのだ。
僕は妊婦さんに現実以上の多くのものを、産科医療に求めないで欲しいと思う。寝不足で疲弊した産科医にはその要求に応えるだけの能力は無い。
妊婦さんには産科医療に対する期待度を下げていただき、逆に分娩出産にそれなりの覚悟を持ってどんどん挑んでもらわないといけない。
分娩に対する安心感を与えるのではなくて、危険でもあえて試みようと思う出産の価値を、広める政策が今や必要なのではなかろうか。 |
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呼ばれてなくても出張します
午前中に分娩が一件、その後水曜ならではのペーパーワークに勤しんでいたら、お昼時に突然岐阜県庁から外線電話が入った。
用件は今日の夜岐阜県医師会で開かれる妊婦救急搬送連絡会についての事だ。
この救急搬送連絡会というのは、奈良県で起きた母体搬送たらい回しがマスコミで取り上げられた事を受け、急遽岐阜県行政が母体搬送マニュアルを作ろうと立ち上げた会である。
僕もその会の一員として半月ほど前に呼ばれてはいた。しかし一方的な受け入れ期間指定に不服を感じ、僕は母体搬送受け入れ機関から久美愛を除外してもらったのであった。その為にその会には僕は出席及ばずとなったという経緯がある。こういう事は良くある事なので、僕ちょっとも気にしないのだが、ところが急にその当日になり、高山市飛騨市からは誰もその会に参加しないという連絡を岐阜県職員から受けたのであった。
県内で産科医療の需給状態が最も逼迫しているのは、最も県中心部から離れた飛騨市高山市である事は明らかである。それにもかかわらず、母体搬送受け入れマニュアルが、飛騨地域産科医の考えが一切入らないまま行政主導で決められるのは、けしからんというより良くない事だ。
そう考えた僕は急遽その会に呼ばれてなくても出席する事に決めた。
何でも急遽出席の僕には県からの出張費や交通費も出ないらしい。しかし僕はそんな事は気にしないのであった。それよりも珍しく病棟も落ちついて、たまたま仕事がスムーズに進んでいたという事がラッキーだった。
こういう時にきちんと当事者が意見を言っておかないと、崩壊しつつある産科医療が益々悪くなる事は明らかなのだ。
というわけで、僕は仕事を急いでまとめて済ませると、お留守番を開業医さんにお願いして、午後に急いで車に乗り岐阜に行った。
その顛末は明日の日記で。 |
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温暖化で登れる山も登れない
代務の先生は昨日の午後に帰られた。その後山から帰った夕方に分娩一件あり、もちろん出動を要する。夜中にはお産は無く睡眠時間は確保できた。おかげで外来のペースも上がり、月一度の病院の会議にもしっかり参加できた。
今朝は寒かった。山で寒さに慣れている僕でも寒くて布団から中々出れない。おそらく放射冷却も入ったのだろう。通勤途中の電光温度計はマイナス6度を表示していた。
ただ雪は全く降らない。寒いだけで雪が降らなければ、山スキー出来ない事は同じだ。今は少しでも山に多くの雪が降ってもらいたいと思う。
昨日の山スキーでは、もともとの狙いが悪かったとはいえ、温暖化雪不足を痛感させられっぱなしだった。僕が高山に着たばかりの10年前は確かに今より何倍も雪があった気がする。正月こそまとまった雪が降ってくれたが、それ以降寒いにもかかわらず山の雪は着実に減っている印象だ。
国道360号沿いの藪山は昨年に引き続き今年もかなり雪が少ない。この付近には一度登ってみようという山や、滑ってみようという斜面や尾根がたくさんまだ残っているので残念だ。
僕は誰もが振り向かないような寂れた藪山に登るのが実はかなり好きだ。こういった山でのスキーはたとえ華やかでなくても、味わいある新たな発見がきっとあるに違いないと思っている。
このままでは昨日登りに行ったキラズ山、唐堀山や大高山、漆洞山、西新山、洞山など雪が無くなり、何時まで経ってもスキー不適な山のままとなる可能性が高い。そうなるととても登る気はなくなるだろう。これらの山の多くは夏道も存在しないのだ。
雪さえあればこういった低山藪山でも、パウダーも当てれる。僕はそのことをあちこちで経験しているから良く分かる。
山スキーは可能性溢れた登山スタイルだ。その踏破性は圧倒的でもある。しかしその最大の欠点は雪が無いとどうにもならないという事だろう。標高の高い山ではまだまだ山スキーの楽しみは残っているが、標高の低い山ではもはや山スキー出来ない時代が来ているのかもしれない。
雪さえあれば、藪でも沢でも簡単に通過できるのに・・・
というわけで日曜日の平湯温泉から輝山の記録と昨日の高山、流葉スキーの記録UPしました。ぜひどうぞ。 |
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成り行き任せで結果オーライ・・・でしたか
今日は祝日でMisaoどくたあも、はるばる岐阜から出撃してくれる事になっている。
代務の先生も午後までは高山にいてくれるし、今が旬の山スキーを存分に楽しみたいところだ。とはいえ天気図では冬型がまだ続いている。雪の状況も考慮し成人の日の今日何処に行くかと色々迷う。
ジェントルなMisaoどくたあは山スキーなら、行き先お任せで出てきてくれるという。
そこでMisao先生の優しさにつけこん岐阜からはちと遠いが、雪がある時期で無いととても行く気がしない飛越国境の山、キラズ山と唐堀山登山を狙ってみる事とした。共に今まで僕は登った事の無い飛騨の藪山だ。
ダブルヘッダーは厳しいだろうが、コンディション次第でどちらかを落とそうと言う計画だった。
しかし朝早く暗いうちに横山集落からキラズ山の斜面に取り付いてみてガックリした。
雪が碌について無いのだ。これではこの手の藪山低山は登れない。たとえ登れたとしても楽しく無いだろう。雪が無ければ山スキーはできないのだ。今年もやっぱり雪不足かと心暗くなる。
あえなく雪不足のキラズ山と唐堀山は朝早いうちにあきらめた。
地図は無いし代替プランとして大物山スキーはもちろん狙えない。こういう時の転進先は簡単な山にすることが原則でもある。
そこで地図無しでも登れるであろう高山(こうやま)南面と流葉から数河のツアースキーコースに転進し、さくっと今日は滑ってきた。
特に高山は何時もの尾根筋と異なり、隣の谷に滑り込み上部でそれなりのパウダーを当てる事ができた。
転んでもただでは起きないという感じだ。
地図も無かったし、Misao先生のGPS頼みの成り行き任せの登山をしてきた気もしないではないが、きちんと山スキーフェイルセーフの原則は守った気もする。それなりにワークアウトできたしこれはこれで結果オーライの一日となってまずは良かった。
藪パウダーを手堅くゲット
テレターンにも挑戦するどくたあ
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平湯温泉から輝山の地図です
天気の良くない日には新ルート?
昨日の土曜日は朝から雨が降っていた。せっかく代務の先生が来てくれているのだが、ここは大人しく大事な家族へのサービスや各種雑用で過ごす。前夜は飲めたし、久しぶりに朝寝坊が出来たので何だかそれだけで随分と嬉しい土曜日だった。
さて今日日曜日は、天気図では強い冬型となっている。森林限界超えの山スキーには多分ちと辛いだろう。
平湯温泉から輝山のラインはこういう時のために、前々から楽しみを取っておいたコースだ。
以前から暖めていたラインで僕は過去に記録を見た事は無い。ただ平湯温泉から取り付くという事で誰もが考え出しそうなラインだから、もちろん多くの人が過去にトレースしているだろうとは思う。
しかし記録を見たことが無い以上、やはり僕にとっては新ルートだ。土曜日はしっかり休めたし、少しわくわくしながら今朝早く平湯から取り付いた。
藪の急斜面は予想通りだった。雪は前日の雨のためかなりしまっており、ラッセルは殆ど無い。クラスト凸凹斜面に緊張したが、気持ちよいジャンプターンが決まる斜面で予想外の大成果の山スキーとなった。
やっぱり新しいルートを探ると言う事は、何物にも代え難い新鮮な出会いのワクワク感があり嬉しかった。山スキーはまだ可能性が無限に残っている事を改め思い、また新たな元気が与えられた気がする。
ニコニコ斜面が意外に多かった
凸凹斜面と藪に緊張しつつ、ジャンプテレターンで下った
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手術は一日何件までできるか
今日は午後の帝王切開が4件組まれており、朝から忙しくなる事が分かりきっている一日だった。
朝からきちんとペース配分を考えて仕事をしないといけない。その点、前日の深夜労働は無しだったので、寝不足感は無い。
これは僕のみならず、手術を受ける患者さんにとってももちろん大変に幸運な事だ。
まずは昼過ぎまでに外来をさくさくこなす。外来終了間際に何人も依頼や飛び込み患者さんが入るが、何とか午後1時の手術開始時刻には間に合わせた。
その外に破水入院が突然入って、否応無く緊張感を高まらせてくれた。僕はこれから手術室にこもらないといけない。この間分娩室でこの方になにか突発的な事が起きたら、もちろんすぐさま対応はできない。
しかしその場合は病院の最強助産師軍団?に何とかしてもらうしかないだろう。
さて4件連続の帝王切開だが、こういう事は麻酔科医や産科医がたくさんいる都市部大病院では多分時々ある事だろう。
しかし僕のところには常勤産科医は僕一人しかいない。麻酔も自分でかけなければならない。いくら名古屋からの代務の先生が飛び入りで手伝ってくれるとはいえ、これは大変な事なのだ。
手術はもちろん持ち前の体力と根性で、全て無事問題なくこなした。
予想外の合併症を待つ方もいたが当然クリアする。何かあっても手術中に逃げれないのは当たり前だ。
手術室の看護婦さんも休憩無しで4件連続手術には少しあきれていた。とはいえ僕はどうとは思わない。4件の帝王切開の大変さは多分大きなガン手術一件より楽だろうとすら思う。
大変なのは麻酔や術後管理まで自分でやらなければならないという事なのだ。
実は昨日は下手する?と、5件の帝王切開と1件の経膣手術を一日でしなければならなくなる可能性もあった。それをあの手この手で減らして何とか4件手術で抑えていたという経緯もあった。
帝王切開のような手術は僕一人で一日何件までできるものなのかと、誰かに聞かれた事がある。答えは簡単で適切に休憩さえ取れて、周りの協力さえ得られれば、5件でも10件でも時間の有る限り僕は手術は続けられる。
しかし術者が夜に寝れてなかったらそうは行かない。寝不足感があれば手術はたとえ一件だけでも辛いのだ。要は上手くリフレッシュする事に全てが懸かっているといっても過言で無い。
さてさてそんなこんなで仕事が終われば、昨夜は代務の先生と飲みに出かけて、しっかりと様々な愚痴を聞いてもらった。
こういう時に同業の人に愚痴を聞いてもらうのは、それも大事な心のリフレッシュとなるに違いないだろう。 |
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外来スピードを乱すもの
ここのところ分娩が上手い事昼間に集中してくれているので、寝不足感無く仕事が出来ている。やはり寝不足感が無いと外来のペースも上がり、より短時間で多くの患者さんを診察できる気がして嬉しい。
僕の外来は究極?までスピードを追求した秒単位外来だと以前この日記に書いた。
もちろん世の中には上には上がいるから、僕より早く外来をこなす産婦人科医もいるだろう。しかしそれでも僕はかなり診察が早い産婦人科医に入るのは間違いないと思う。
そういう診察方法が成り立つのは、もちろん外来が混んでいて次々と患者さんが列をなして待っているからだ。がらがらの待合室で早く診察を済ませると、患者さんの方が不信感を持つだろう。
猛烈に混んでいるから数秒で診察が終わっても患者さんは納得するわけだ。
さて一般的には早く診察を済ませると、それだけ診察の見落としが増えると思われるかもしれない。
しかし経験上、僕はそんな事は無いと思う。一人一人に時間をかけて診察する医者が見落とし少ないかというと、それはとんでもない話だ。要は集中力なのだ。
登山でも早く登れる人は、安全に登山を成功させる率が高い。それは仕事でも同様だ。仕事を早く済ませれれば、手術の時間も確保できるし、休む時間も確保できる。きちんと医師が休養を取れればそれは次のより良い安全な仕事に繋がるのだ。
患者さんの方としては、医者の前に長い事座って話を聞いてもらった方が、満足度は高くなる事は確かだろう。
とはいえ僕はその場の患者満足を求めて診察をしている訳ではない。少しでも多くの人から少しでも悲劇を少なくするには、僕の場合診察スピードを早くする事は必須の事だと思う。僕に求められているのは診察の質のみならず量でもあるのだ。
さてさて診察スピードを上げるコツは幾つかある。カルテ記載を最低限にしたり、臨床上意味の無い質問で時間を取られない様にする事も重要だ。
後更に大事なのはリズムである。集中力をそれなりに維持するにはリズム良く診察する事が重要だ。
とはいえ産婦人科と言うのは、様々な仕事が突然割り込む事が多い科だ。分娩はもちろんだが、急患受診や緊急処置手術もある。今日の場合次々と造影検査の依頼が入って、外来のリズムを大分と乱された。
造影検査のオーダーはもともと自分自身で出しているのだから仕方が無いが、あまりしょっちゅうリズムを乱されるのも面白くなかったりする。
まあ人間集中力の持続時間はどんなにがんばっても最高1〜2時間程度だという。検査や分娩で仕事を中断させられるからこそかえって息抜きが出来ると、前向きに考える事もできるだろう。 |
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成り行き次第かライブ感覚か
とにかくは夜はきちんと眠れている。今朝も特別呼び出される事は無く、外来を助産師さんに任せて少し寝坊気味に出勤した。
何時もより少し多い書類の束を片付け、電話帳より分厚いレセプトの束をチェックし、入院患者さんのサマリーを書いて、分娩を2件こなし、流産を1件こなし、ドック診察をして、集団検診をして、往診をして、回診をして、そんなこんなで、つまりは何時もの様に忙しく朝から晩まで仕事に追われて過ごした。
さて今日の分娩2件目の方は、とある理由で要注意分娩の方であった。
当初正月明けの4日に予定帝王切開の予定だったが、医師の都合つかず手術は11日に延期していた方だった。その方が今日突然陣痛発来してやってきたのだ。
手術分娩予定の方が早めに破水や陣発して救急受診される事は産科の世界で珍しい事では無い。分娩の予定日なんて多少ずれるのが普通である。原則にのっとれば、こういう場合緊急の帝王切開にするのが正しい対応だと言える。
しかし僕のところでは基本的にマンパワーが少ないので、緊急手術はできれば避けたい。僕には何時でも何かやる事があるのだ。
と言うわけで紆余曲折を経て、その方は普通に問題なく経膣分娩された。まずは結果オーライという感じだ。
さてさて実は僕は山でも仕事でもそういう風に、途中で計画変更したり、気を変えたりする事が度々ある。分娩と言うのはもともとみずもので、計画通りに行くとは限らないものなのだ。
悪い方に変わることもあれば、逆に良い方向に事が動く事もある。自然の成り行きに任せた方がかえってスムーズに事が運ぶ場合も多い。
僕は昔からライブ感覚が好きな人間だった。スポーツは録画で見るのは嫌いだし、デートでもなんでも準備無しで成り行き任せだった。
海外での山登りだって、その場で行く山を決める事は再三あった。これを準備不足とか成り行き任せとも言うが、そういう方が面白く感じるのだから仕方が無い。
そんな事だから人生全体も、計画性無しで成り行き任せなのだろう。 とは言うものの、結局それが僕の生き様なのだとしか言いようが無いとも内心思っている。 |
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道具はやっぱり大事です
土日の山スキーの余韻を引きずりながら、何時もの忙しい仕事を続けている。正月休み明けであるから、多くの患者さんや患者家族が何時でも僕の診察や説明を待っているのだが、その合間を縫ってちょっとの隙があれば山スキーの記録も同時にUPしたりしている。
仕事の合間に山の事を思い出すのは、多分僕にとって格好の息抜きとなっているのだ。
さて話は変わり昨日仕事を始めたら、あろう事か経膣の超音波の調子が悪い事に気づいた。正月休み中に外来の寒さでいかれてしまったのだろうか。
経膣超音波と言うのは一般人には全く馴染みの無い装置だが、産科医には今や日々の臨床に無くてはならない重要な医療機械である。スキー板が無ければ山スキーは絶対に出来ない訳だが、経膣超音波はそれに近いものですらある。下手すると流産を誤診したり、卵巣がんを見逃したりする事にも繋がりかねないのだ。
そこでメーカーであるToshibaの営業さんを呼んで、至急修理に来てもらう事とした。ところが当初営業さんは軽く交換に2週間かかるとのたまってくれた。
それでは困る外来が出来ないと怒ったら、今日の午後になりやっと東京から代替品を取り寄せてくれる事となった。ちなみにその代替品だって100万円以上する品である。
馬鹿にならない高級品である以上、この手の事でメンテナンスの対応に誠意が無いと、もう2度とToshibaの医療機械は選択しないぞと思ったりする。
医療機械は山スキーのスキーと同じく、命の懸かった大事な道具だ。
質の悪い道具で診察するくらいなら外来を休診にして診察しない方がマシだとすら思う。患者さんだっていい加減な道具で診察されるのは嫌だろう。
山スキーでも医療業務でも、レベルが高くなればなるほどそれなりに道具にも拘る様になるものだ。
高級品が欲しいと言う意味では無くて、本当に自分にあった使い易くて応用の利く道具が欲しくなる。気に入らない道具なんて無いほうが良い。
弘法筆を選ばずという、有名なコトワザが日本にはあるが、僕はもちろん弘法ではない。
指先から超音波が出てきたり、足の先からスキーが生えてくるなら別だが、そんな事はありえない。道具に支配されるつもりは無いが、必要な道具には拘らないといけない。
贅沢では無くとはいえ道具の質や種類にそれなりに拘わって、仕事や趣味に没頭する方が、多分正しい大人の態度だと思ってもいる。 |
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よく遊びよく働きのお正月
6日の金山岩わさび谷中央尾根筋滑降は、最上級のパウダー滑降だった。こういう滑降は雪崩の危険と背中合わせなのだが、樹林の間を上手く滑降ラインに選んだので、比較的危険少なかった気もする。この辺は結果次第なのでなんとも言えないが、こういう山行は確かに癖になる。麻薬的な魅力に溢れていた。
さて6日の午後には代務の先生は高山を離れてしまう。1月2日の午後から丸4日間も高山で過ごしていただき、大いに感謝だ。その間も要注意な分娩を幾つか無難にこなしていただいた。
今年の正月は元旦1日の胎盤早期剥離の緊急手術やITP合併分娩という、大病院のベテラン産科医でも緊張するお産が幾つかあった。その外に目が離せないターミナルの方もいた。
にもかかわらず、山スキーでも好天に恵まれ満足いく成果を上げる事ができた。
まさしくよく遊びよく働きを地で行ったような正月だった。
6日も山から帰ってきたら、すぐに分娩があり出動を要した。夜こそ寝れたが、休み明け業務の仕事もハードで、今でも延々と続いている。しかしこういう生き様の素晴らしさをその価値の分かる人に報告したいという思いもある。
とにもかくにもせっせと隙を見つけては、HPの記録報告も作りつつ今日も日記をUPするのだ。 |
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今日の滑降ルート。安房平へ一直線
これは昨日の滑降ルート。青線沢筋を下った
1月3日の山スキールート。下りで一部青線
僕は粉雪中毒者
今日の午後までは代務の先生が高山にいてくれる。天気予報はまあまあだし。今日も昨日に引き続きパウダー山スキーの絶好のチャンスだ。
そこで近場の山スキースポットで豪快パウダーが楽しめるところとして、今日は以前古川のHoshiyaさんからルートを伺った事のある金山岩からのわさび谷中央部尾根を滑降してきた。
わさび谷は雪崩のスポットだから、この時期のスキーは危険だと思っていたが、先月の山岳雑誌岳人にも記録報告されていた所では、何とかなりそうだ。
それに今日は強い味方のMisao先生が岐阜から参戦してくれる。ビーコンを付けてお互いに見張りながら滑降したら、少しは危険も軽減するだろう。
そしてその思惑は見事に当たり、今日も最高級のパウダーを当てる事ができた。昨日に引き続き2連ちゃんのパウダースキーで何だか頭がボーっとした感じまでする。
きちんとお互い見張りながら滑降するつもりが、ついつい快楽に溺れ?てどんどん下に下にノンストップで滑降したくなる。
安全を取るか、快感を取るか、悩みながらの滑降だった。どうやら僕は重症のパウダージャンキーになりかかってる様だ。
このままどんどんのめり込んで行くと、雪崩事故という事となる。何事もやりすぎはいけないと、思いつつまた次の山スキーの計画を考えてしているから怖い。
頂上近く、一瞬の晴れ間が
豪快滑降が続いた
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遠くに行きたくなったもので
今日は久しぶりに好天が予想される休日となった。しかも僕にとって珍しい連休の中日だ。こういう日は絶対に無駄にはしない。
雪が積もってくれたし、この時期高山の近場でも幾らでも山スキー好適ルートがある。
しかしそういう所はまたいつもの時間の無い時のためにとっておいて、今日は久しぶりに贅沢(僕にとっては)遠出山スキーとしゃれ込む?事にした。
そこで前夜の内から糸魚川に移動し、今日は小谷温泉から雨飾山P2南尾根を往復山スキーしてきた。さすがに山スキークラシックに相応しい充実ルートで、晴天下最高のパウダーを当てた。
しかも林道部分は既にトレースが出来ていて、すばやく上部まで上がれたから、まだ午前中早い時間のさらさらパウダーをゲットする。これだけの幸運を当てる事も珍しいだろう。
帰ってからメールを見ると、林道部分までのトレースは横浜のK氏が前日につけてつれた様だ。どうも有難うございました。狙ったわけではないですが、美味しいところだけ持っていってしまったようで申し訳ありません。
P2より今日の雨飾山。これからの滑降が楽しみ
豪快パウダーを独り占めしてしまった
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今日は偵察の日
今日は正月休み明け金曜日の平日だ。
本来なら朝から猛烈に忙しく働いているはずの日だが、今年は天使の様に優しい代務の先生が正月代務に引き続いて高山に残ってくれている。それを良い事に今日は外来まで代診をお願いしてしまった。
僕の場合外来業務を代わりの医師にお願いできる日は、年に一回あるか無いかである。今日はその貴重な平日休みの日と言える。
昨日の福地温泉から輝山スキーで身体は疲れているが、貴重な休みを無駄にするなんてできっこない。そこで今日もやはり早起きして、今度は平湯温泉から輝山の新コース?を探ってみる事とした。
しかし猛ラッセルと藪、更にスキーからシールがはがれるという装備メンテの失敗をしてしまい、あえなく取り付きをちょっと登った所で根性無しの敗退を決める。
ただ転んでもただでは起きない僕は、こういう時とお目当ての山スキールートの偵察に目的を変更し、車でしっかりあちこち見て回った。
天気も今一つだったし、ちょうど良い休養にもなった。明日からもまだ土日週末の休みがある。こういう休日の使い方も悪くは無いに違いない。
輝山の平湯温泉側は福地温泉側より更に藪多し。どう克服しよう。
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2人いたおかげで
冬型もやや緩み、山は粉雪が大分積もった。根性山スキーのシーズンだ。
というわけで今日は朝早くから岐阜のMisao先生と待ち合わせをして、福地温泉から輝山の北北東尾根に行った。
ラッセル深く、藪多く、細尾根や登り返しも続くため、山スキールートとしては想像以上の困難ストイックルートだった。
予想の倍は苦戦して何とか頂上からのパウダースキーを楽しんだが、くたくたに疲れ果ててしまった。
こんなに大変でもきちんと頂上まで至れたのは、Misao先生のがんばりに拠る。
もし僕単独で挑んでいたら、今日のコンディションではたちまち敗退していただろう。
Misao先生、今日は大変な一日でしたが、どうも有難うございました。
快適パウダーも、もちろんゲット
隠れた藪に苦戦する
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今日の午後からが僕の正月休み
今日の午後から天使の如く代務の先生が週末まで来てくれる事となっている。
年末から続いていた冬型悪天も徐々に落ち着きつつある様だし、今日の午後からやっと僕の本当の正月休みが来るわけだ。
とはいえこれから数日の休みを取るにはそれなりの段取りが必要だ。今日の午前中は病棟を中心とした業務に明け暮れた。昨日の緊急手術の方も経過良好でほっとする。昼過ぎからは急患さん対応もあった。
とはいえ午後からは高山を離れて、雪で凍った高速を運転して各務原の登山洋品店とイオンでショッピングなどできた。
この年末年始は何時もの様に何かと慌しかった。これからの数日間はパウダー狙い山スキーで一生懸命リフレッシュしたいと思っているが、果たしてどうなるだろうか。 |
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