6日に大阪府知事に就任する橋下徹氏(38)が平成20年度予算に、府内の小中学校などの教育現場での学力別クラス編成の導入を提案していることが2日、わかった。だが、現状の教員数では実現が難しく、橋下氏が連日行っている府側との予算編成協議でも、具体的な議論には踏み込めていない。さらに文部科学省も難色を示すなど、実現には紆余(うよ)曲折が予想される。
橋下氏は府当局との協議の中で、綛山(かせやま)哲男教育長に学力別クラス編成導入の意向を伝えた。これに対し綛山教育長は「子供の特性に応じて充実した教育を施すという考え方は同じ。ただ、基礎的な学力はすべての子供が身につけねばならない」と述べるにとどまり、学力別クラス編成の是非や実現可能性までは議論できていないという。
ただ、綛山教育長は現実問題として「実際に学力別に分けると1クラス20人程度になり、クラス数が大幅に増える。現状の教員数では現実的ではない」と指摘。その上で「授業中、クラスを2つに分けて習熟度別に教えるなど、各市町村ごとに個別の取り組みもしている。学力別にクラスを編成するなら、必要な教員数など具体的な議論が今後必要になる」と話している。
橋下氏は、自身のマニフェスト(政権公約)には学力別クラス編成の実現を盛り込んでいないが、知事選の街頭演説などで「塾でもやっていることが、なぜ公立の学校でもできないのか」などと導入を主張。このほかにも府立高校の学区制の撤廃や、中学校の校舎を利用した低料金学習塾の設立など、独自の教育施策を提唱している。
府議らによると、橋下氏は当選後の先月29日、就任あいさつで国会や省庁を回った際、文部科学省の銭谷真美事務次官にも学力別クラス導入の意向を伝えたが、銭谷事務次官から難色を示されたという。
文科省の担当者は「公立校でクラス編成を学力別に行うケースは、聞いたことがない」としている。
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