今年1月、調査捕鯨船に薬品を投げつけるなど妨害行為をした米環境保護団体「シー・シェパード(SS)」が、昨年2月にも薬品を投げ込み乗組員にけがをさせていたとして、警視庁公安部が威力業務妨害容疑などでの立件を視野に捜査していることが3日、分かった。公海上の妨害活動が警察当局の捜査対象になるのは異例。公安部はSSから妨害を受けた調査船の所有会社から被害を確認しており、実行メンバーの特定などを進めている。
捜査対象となっているのは、昨年2月に南極海で起きた2件の妨害行為。SSは同9日、調査母船「日新丸」に失明の危険もある悪臭を放つ薬品入りの瓶や発煙筒を投げつけたほか、救命ロープを発射する「もやい銃」による攻撃もあった。乗組員2人が薬品を浴び、顔にやけどをしたほか、日新丸のクジラ解体作業も中断せざるを得なかったという。
同12日には目視専門船「海幸丸」に発煙筒を投げつけたうえ、船をぶつけて海幸丸の左舷の手すりをゆがませたほか、左右から挟み込み停船させた。9、12の両日とも、スクリューを狙いロープや網も海中に投下していた。
国連海洋法条約に基づき公海上の犯罪は船籍国に捜査管轄権があることから、公安部は都内にある日新丸と海幸丸の所有会社などから被害状況を聴取。鑑識活動も行い、船体の損傷も確認した。
公安部はSSのこれらの行為に威力業務妨害や傷害容疑を適用できるか検討。妨害を撮影したビデオ映像や関係国との情報交換などから実行した活動家の特定を進める。
活動家が特定され、滞在国も判明すれば、国際手配やシージャック防止(SUA)条約に基づく身柄引き渡し要求などを検討する見通し。
また、先月15日、SSの活動家2人が南極海で、日本の調査捕鯨船「第2勇新丸」の甲板に悪臭を放つ薬品を投げ込んだり、不法に乗り込んだりした妨害行為についても、関係者から事情を聴くとみられる。
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