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【溶けゆく日本人】蔓延するミーイズム(1)キレる大人たち 増え続ける“暴走” (2/4ページ)
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藤原さん自身が、公共の場所でキレる高齢男性を立て続けに目撃したのが執筆のきっかけだ。「企画意図を話したとき、『本当にそんなことがあるの?』と驚く人は少なかった。思い当たる体験をしている人が多いのでは」。異色の老人論がウケた理由を、藤原さんはそう分析する。
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警察庁がまとめた平成18年の犯罪情勢。刑法犯の認知件数が15年以降減り続ける一方で、暴行事件の検挙件数は10年前の約4倍に急増している。年齢別に10年前と比較した伸び率をみると、10代がほぼ横ばいなのに対して、60歳以上(12・5倍)、50代(5・6倍)と中高年層の増加が際立つ。
原因の8割は「憤怒」だ。若者の凶行とセットで語られることが多かった「キレる」。豊富な社会経験を積み、分別を備えているとされる大人たちが、怒りを抑えられず“暴走”するケースが増えている。
昨年、東京消防庁の救急隊員が思わぬ災難にあった。11月、腰痛を訴える女性からの通報を受け、救急車が新宿区内の現場に急行。早速、搬送先の病院と連絡を取り合った。ところが、出発をせかすこの女性の夫が突然隊員の腹を殴り、救急車の窓ガラスを割って暴れた。
また5月には、酔っぱらった中年の男が、救急車内に担ぎ入れられたとたんに怒り、傘を振り回して隊員の鼻の骨を折るという事件もあった。
同庁は顔全体を覆う強化プラスチックのカバーを付けたヘルメットや、防刃チョッキなどを用意。暴力などを受けた場合は、原則として告訴・告発する姿勢を徹底してきたが、事態が改善する兆しはない。