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【社会】

【関連】6袋でもJT対策遅れ 中国製ギョーザ 『表面油汚れと認識』

2008年2月4日 夕刊

 大阪府枚方市のスーパーに入荷した冷凍ギョーザ六袋のパッケージからも有機リン系農薬「メタミドホス」が検出された問題で、商品の品質を管理している日本たばこ産業(JT)は遅くとも一月七日までに、枚方市の事例を含め三件の天洋食品(中国河北省)製のギョーザに関する異臭や体調不良などを招いた異常商品についての情報を把握していたが、回収など具体的な対策に乗り出していなかったことが分かった。 

 JTのIR広報部は枚方市の事例について、「パッケージ表面の油汚れという問題認識で、そのほかの体調不良の事例とは無関係だと思った。今となっては、関連性を考えるべきだったと思う」と釈明している。

 天洋食品製の「中華deごちそうひとくち餃子(ギョーザ)」について、枚方市のスーパー「ハッピース枚方」からJTの子会社ジェイティフーズに「(パッケージの)外側にべとつきと異臭がある」と苦情があったのは昨年十二月二十七日。同社社員は同日中に商品十一袋を回収し、一月七日にJTに送られた。

 この時までに、JT品質管理部は回収時の状況について、「(パッケージ表面についた油状の液体が)鼻を近づけるとたくあんのようなにおいがする。手につけると生魚のようなにおいがする」との情報を把握した。

 JTはこのうち一袋のギョーザの一部を試食し、味に異常がないことを確認。その後に食品商社「双日食料」が実施した検査でも大きな問題が報告されなかったため、放置していた。

 だが、JT品質管理部は一月四日には千葉市で同じ天洋食品製「CO・OP手作り餃子」を食べ、食中毒症状を起こした母親が異臭を訴えていたことを把握。同五日には兵庫県高砂市で、枚方市の商品と同日に製造された「ひとくち餃子」を食べた家族が中毒症状を起こし、同社は七日に品川区保健センターから問い合わせを受けている。

 同部はセンターに対し、千葉市の事例と別商品であることから「同様の苦情はない」と回答。三十日に一連の中毒発覚後も、枚方市の事例はJT社内では忘れ去られたままだった。

同日入荷の25袋販売 大阪のスーパー

 「メタミドホス」が新たに検出された中国製冷凍ギョーザが見つかった大阪府枚方市のスーパー「ハッピース枚方」が昨年末、同じ日に入荷した製品二十五袋を販売していたことが四日、分かった。回収状況は不明という。

 ハッピース枚方によると、これまでに客からの問い合わせや苦情はないが、食べて健康被害を受けた消費者がいる可能性もあり、枚方保健所は同日、流通経路を調べるため、同店を立ち入り調査した。

 店の説明によると、昨年十二月二十七日午後一時ごろ、中国の「天洋食品」の工場で製造された「中華deごちそうひとくち餃子」二袋でパッケージのべたつきや異臭があるのにレジの店員が気づき、棚にあった九袋を調べたところ、うち五袋前後にも同様の異常があった。

 同日朝、三十六袋を入荷しており、レジで異常に気付いた二袋と棚にあった九袋の計十一袋は卸会社に連絡し、輸入販売したジェイティフーズが回収。

 だがスーパーはトラックに残っていた残りの製品については販売を続け、この日だけで計二十五袋を売った。

 

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