|
総会では「地域連携パス」の使用方法について説明された=神戸市中央区で |
脳卒中の患者が発症直後からリハビリ期まで各段階に応じた切れ目ない治療を受けられるよう、神戸、明石、三木、芦屋の4市41病院が2日、患者の情報を共有する診療計画書「地域連携パス」の導入を決めた。3月中旬に試験的にスタートさせ、4月からの本格運用を目指す。
41病院は昨年10月、「神戸広域脳卒中地域連携協議会」(代表幹事=吉田耕造・吉田病院理事長)を結成、連携の準備を進め、2日の総会でパス導入に合意した。
脳卒中は、脳の血管の異常で脳の働きに障害が出る状態をいい、脳梗塞(・こう・そく)、脳出血、くも膜下出血が含まれる。身体のまひや言語障害などの後遺症が残ることが多い。
手術や薬物投与によって病状を安定させる「急性期」、リハビリの「回復期」、病状を抑えながら日常生活を送る「維持期」の各段階に応じた治療が必要になる。段階ごとに適した病院に転院するのが一般的だ。
パスは、患者やその家族の不安を取り除くために治療の流れを示した「患者用」と、「医療機関用」の2種類を用意した。
医療機関用は、これまで転院の際に必要だった医師の「紹介状」の書式を統一したもの。診療状況や治療の内容のほか、食事や排泄(はい・せつ)、動作の自立度など患者情報を記入して共有し、スムーズな転院に役立てる。
事務局長の坂井信幸・中央市民病院脳卒中センター部長(51)は「脳卒中の治療は、医師だけでなく看護師、訓練士、ソーシャルワーカーらたくさんの人たちがかかわる。情報の共有で医療のレベルアップを図るとともに、患者自身も医療の全体像をつかむことができる」と話している。