<WORK LIFE>
◇働き盛りの退職者を再雇用
合繊大手の三菱レイヨンは1月から、自己都合で退職した従業員を再雇用する「ウェルカムバック制度」を新設した。「退職者復職登録制度」が正式名称。まだ申請者はいないが、事業所の人事部門には問い合わせが相次いでいる。
働き盛りの30~40代の社員が自己都合で退職する時に登録する。登録は10年間有効で、子育てが一段落するなどして数年後に働けるようになると、会社は優先的に採用選考の対象にする。退職までに5年以上勤務することが条件だが、育児や介護、家業の手伝いなど退職の理由は問わず、制度へ応募することに男女の制限はない。
復職後、半年間は契約社員で働き、その後は正社員へ登用することを基本にする。給与水準も退職時に戻す。人事部の島倉健吉課長は「もう一度、長い時間働いてもらうための制度」と説明する。事務的な職場でも生産現場でも、5年以上の職歴がある社員は仕事の進め方に精通しており、新人や転職者を教育するよりも即戦力として期待できると考えているからだ。これまでも退職後にパートで職場復帰する再雇用の仕組みは事業所ごとにあったが、少子化で労働人口が減ることを見据えて、全社的な新制度に一本化した。
約4000人の従業員のうち、自己都合の退職者は年間40人前後。このうち、育児や介護など家庭の事情を明らかにした退職者は1割だ。島倉課長は「潜在的にはもっと多いだろう」とみている。育児休業制度を充実しても退職せざるを得ない場合もあるため、「新制度を活用して再び仲間に迎え入れ、専門知識や技能を生かしてほしい」と話す。【小島昇】
毎日新聞 2008年2月4日 東京朝刊