中国製ギョーザによる中毒で、製造元の中国・河北省の「天洋食品」から輸入した牛肉からも、金属粉が見つかっていたことが31日、関係者の証言で分かった。ギョーザを食べた人から健康被害を訴える苦情はさらに拡大。中国では近年、今回の中毒被害の原因とされる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による事故が相次ぎ、死者が出る深刻な被害も報告されていた。
金属粉が混入していたのは、食品総合商社「東海澱粉(でんぷん)」(静岡市)が輸入した煮沸牛肉。同社によると昨年混入金属粉が見つかったのは11月。金属粉は鉄とクロム、アルミの合金で肉眼でも確認できたという。牛肉は同社からさらに三重県桑名市の食品メーカーに納入され、メーカー側が牛肉をレトルト食品に加工する前の磁石の検査で見つけた。
東海澱粉の社員が天洋食品に出向いて調査したところ、工場で使われているひしゃくと、金属粉の成分比率が同じだったという。同社側は混入判明以降、輸入をやめている。
また、天洋食品が製造した商品から、数年前にも有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出されたことがあったが、基準の範囲だったという。
天洋食品の工場前には、この日朝から、多くの日本の報道陣が集まり、警備員らが入り口をふさがないよう指示するなどピリピリムード。従業員らは「知らない」「分からない」と繰り返すばかり。共同電によると、電話取材をしようとしても日本メディアと分かると、何も答えずに電話を切ってしまったという。
「メタミドホス」による被害は、中国でも相次ぎ、死者も出ている。04年3月と4月、四川省で農民12人が中毒を起こし、2人が死亡。調味料と間違えて混入したとみられる。さらに、今年1月11日には、広東省で木の実に付着していた残留農薬が原因で、4人が中毒症状を起こし、うち2人が重症となった。
中国ではキャベツなどの農作物の殺虫剤として、広く使用されていたが、中国農業省などは昨年1月1日以降、国内での使用、販売を全面的に禁止する通達を出したが、広東省のケースは通達後に発生。使用禁止は徹底されておらず、農家に残る殺虫剤の使用は野放し状態だったとみられる。
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