米空母艦載機の岩国基地移転の是非を争点にした山口県岩国市の出直し市長選は3日、告示される。立候補を表明した前市長と前衆院議員が激しい前哨戦を展開、有権者の関心も高まっている。両陣営とも投票率は旧市郡合併後初の選挙となった前回2006年4月の65.09%を上回り、70%に届く情勢とみている。

■前哨戦過熱、関心高く 無党派層取り込みへ戦略

 2日午後。移転に反対する前市長の井原勝介氏(57)を推す市議が呼びかけた集会は、市民会館の1400席に加え、立ち見も埋まり、ステージにまで支持者を立たせた。熱狂的な井原支援者の中高年を見渡しながら、後援会幹部は「告示前からかなり盛り上がってきた。市民の関心は高い」と明言。投票率を65‐70%と予想した。

 前日1日は、同じ会場で容認派が推す前衆院議員の福田良彦氏(37)の集会もあった。こちらは小ホールを開放しても収容しきれず、作業服姿の男性らが廊下にあふれた。陣営幹部は「これまで無関心だった層、旧郡部にも浸透している。70%を超えるのではないか」と手応えを口にした。

 旧岩国市の市長、市議選は1951年以降、無投票の際を除きダブル選だった。投票率も市長選は83年まで80%台を維持、87年からは70%台に落ち、その後も下落が続いた。前回は60%台にとどまったが、今回は告示前から盛り上がりがあり、70%台を回復するとの期待の声は多い。

 井原、福田両陣営ともに政党推薦を受けず「市民党」を掲げるだけに、投票率アップで増える無党派層の取り込みを目指し戦略を練っている。

 懸念材料もある。投票日の10日は3連休の真ん中で、天候もぐずつき気味が続いている。下関地方気象台は、2月は平年と同じ曇りや雨、雪の日が多いと予報している。

 岩国市選管はPR用の懸垂幕や看板を市役所、支所など約30カ所に掲げた。市選管担当者は「今回は争点も明確で、全国から注目されている。1人でも多くの有権者に投票してほしい」と呼び掛けている。

=2008/02/03付 西日本新聞朝刊=