現在位置:asahi.com>国際>中東> 記事

レバノン紛争、イスラエルの調査委が最終報告

2008年01月31日10時32分

 06年夏にイスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが起こした紛争に関するイスラエルの政府調査委員会は30日、最終報告を発表し、「同国の政府と軍の意思決定などに深刻な誤りがあった」と批判した。だが、昨年4月の中間報告でしたようなオルメルト首相らへの直接批判は避けた。

 オルメルト首相の重大な失策として、野党や遺族団体、予備役兵らが責任を追及してきた停戦直前の駆け込み地上攻撃について、最終報告は「必要で、国益を誠実に考えた結果の行動」と擁護した。停戦直前の60時間に行われた地上攻撃では、一挙に33人のイスラエル兵が犠牲になった。

 この擁護により、首相は辞任圧力を跳ね返すことができたとの見方が有力になった。中間報告は首相の開戦判断に「深刻な誤りがあった」と指摘し、首相の与党内からも辞任要求が出ていた。

 最終報告は、06年7月から8月にかけての34日間の紛争を、「中東で最強の軍(イスラエル)が数千人の準軍事組織(ヒズボラ)に抵抗され、明確な勝利なく終わった失態」と結論づけた。

 紛争はヒズボラが越境攻撃してイスラエル兵の2人を拉致、8人を殺害して始まった。イスラエル軍は激しい空爆などで応戦し、レバノン側は大半が市民の計約1200人、イスラエル側は大半が兵士の計約160人が死亡した。イスラエル北部の都市や住宅地にはヒズボラのロケット弾攻撃が連日続き、政府の無策に非難が高まった。

この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する

PR情報

このページのトップに戻る