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社説

代理出産 法整備へもっと議論を(2月3日)

 代理出産の是非をめぐって、日本学術会議の検討委員会が当面の考え方をまとめた。

 法律で原則禁止し罰則を科すべきだとする一方、国の管理下の試行に含みを残している。

 いまは日本産科婦人科学会が禁止を申し合わせている以外、公的な規制はない。最高裁は昨春、立法措置による速やかな対応を求めていた。

 法相と厚生労働相の要請を受け、学術会議が議論を重ねてきた。

 禁止に当たって挙げた主な理由は、妊娠・出産する代理母の身体的・精神的危険や胎児への影響だ。

 代理出産に関する科学的データは国内にはほとんどない。懸念を打ち消す判断材料が乏しい以上、原則禁止は現時点で選択し得る最大公約数だろう。

 不妊夫婦のための代理出産を本人が承諾しても、第三者に危険を負わせることには慎重であるべきだ。

 生命倫理の問題もある。

 日本では二○○一年以降、子宮を失った女性に代わって姉妹をはじめとする親族が出産したとの報告がある。

 五十代の女性が娘夫婦の受精卵で出産した例もある。子どもの出自を混乱させることがあってはならない。

 タレントの向井亜紀さんのように、法的に認められた米国の一部の州で子どもをもうける例が増えている。

 国内で禁止する法律を作っても、海外渡航者の規制は難しいだろう。

 法整備を待たずに既成事実が積み重なる事態は避けねばならない。

 代理出産は、遺伝的つながりのある子どもを授かる最後のとりでと言われる。検討委員会の議論の中では、一部を認めるべきだとの意見が出た。

 政府の世論調査では、代理出産を容認する人が初めて半数を超えた。

 容認派に配慮し、学術会議は国の厳重な管理の下で厳格な要件をつけて試行的に実施する道を残した。

 臨床データを集めて将来のあり方を判断するために有効かもしれない。具体的内容を詰める必要がある。

 一方で、一部容認は全面解禁につながり、慎重にならざるを得ないと報告している。

 試行的実施は折衷案なのだろう。

 生殖補助医療の進歩で、不可能だったことが可能になり、不妊夫婦に希望を与えたのは事実だ。

 大切なのは、生まれてくる子どもたちの福祉を最優先することだ。

 社会的にも倫理的にも受け入れられるルールと合意が要る。

 民法は「産んだ女性が母親」との立場だ。代理出産を依頼した女性は戸籍上の母親になれない。親子関係を明確にする法整備がまず急がれる。

 学術会議の考え方をたたき台に、法整備に向けた国民的議論を尽くす必要がある。国会はこれ以上無関心であってはならない。

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