◇地方のニーズ置き去り
国会で福岡県の山間部にかかる1本の橋が話題になった。場所は古賀誠・自民党選対委員長の地元。1日車2000台の交通量を見込んだが、現在は1日200台だそうだ。菅直人・民主党代表代行がやり玉にあげると、冬柴鉄三国土交通相は「通勤、通学に利用され、救急病院への『命の橋』として重要」と答えた。
思わず、道路が立派で救急車がスイスイ走ることができても、医師不足で病院が受け入れ拒否をしたら意味ないんじゃないか、とツッコミを入れたくなった。
話題になった橋の関連事業費は約90億円だった。一方、08年度政府予算案で、医師確保対策費は161億円、救急医療対策費は100億円が計上されているだけだ。
もし、通学や通院に隣町まで出かけなくてはならない地域の住民が「道路じゃなくて、学校や診療所が欲しい」と考えても、総額5兆4000億円もある道路特定財源は使えない。
50年代初め、国内の道路総延長は現在の9分の1程度の約13万キロだった。道路整備に振り向けられる公共事業費は年間約1000キロ分しかなく、道路整備を進めるため揮発油(ガソリン)税、自動車重量税などを道路だけに使う特定財源として54年から制度化した。以来50年以上、道路整備は進んだが、国は道路や橋を造り続けている。
国と地方の予算を合わせて、地方が使うカネは全体の6割、地方に入ってくる税収は4割。だから、東京に出かけて予算をもらいにいく。だが、使い道が決まっている補助金ばかりでは地域に本当に必要な支出は難しくなっている。自由な予算なら道路整備を我慢して、少子・高齢化対策や教育の充実、地域医療充実に重点的に回す市町村も出てくるのではないか。日本のカネの使い方はどこかおかしい。
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毎日新聞 2008年2月3日 東京朝刊