中国製冷凍ギョーザによる中毒事件で、千葉市稲毛区の女性(36)が食べて発症した「CO・OP手作り餃子」について、販売した生協で作る「コープネット事業連合」(1都7県、さいたま市南区)に昨年11月から今年1月の間、異物混入など中身に関する苦情が他に5件あったことが分かった。うち2件は健康被害と薬品臭をそれぞれ訴えていたが、有効な対策はとられていなかった。
コープネットによると、健康被害の苦情は昨年11月13日にあり、「食べたら胃が痛くなり、血圧が上がった」(千葉県、07年8月19日製造)という内容だった。今年1月10日には「防腐剤のようなにおいがしたので捨てた」(茨城県、07年8月20日製造)との苦情があった。
健康被害の件はコープネットが残った品を回収し、食中毒検査をしたが細菌類は検出されず、通報者も病院へ行っていないため「問題なし」と結論付けた。毒物の検査はしていなかった。また異臭の件は製品が捨てられたため調査せず、同ロットの製品の検査もしていなかった。
他の異物の苦情は▽昨年11月27日に「プラスチック片があった」(長野県、製造日07年9月9日)▽同12月11日に「約2ミリのアルミ片が入っていた」(東京都、同不明)▽今年1月23日に「白い毛が入っていた」(茨城県、同07年7月20日)の3件。コープネットは製品を回収し、混入ルートを調べたが特定できなかった。成分分析で「プラスチック片は豚の骨」「白い毛は植物繊維の可能性がある」との結果だった。
コープネットは昨年3月から中国の天洋食品製造、ジェイティフーズ輸入のこの商品を約25万個販売していたが、中身への苦情は昨年11月以降に集中。他は包装の印刷、個数不足の苦情が同4、6月に計2件あっただけだった。
昨年11月の健康被害の苦情の際、毒物検査などをしなかったことについて、コープネットは「この製品への苦情は、ほかの食料品に比べ発生率が少なかった。症状も軽く、検査は必要ないと判断した」と弁明した。【中川聡子、駒木智一、柳澤一男】
毎日新聞 2008年2月3日 2時30分