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ギョーザ問題 対象わずか1割、検疫体制ほぼ素通り  (2/2ページ)

2008.2.2 21:01
このニュースのトピックス食の安全

  ●設備の限界

 中でも、野菜など生鮮品に比べ、冷凍加工食品が検査にかけられる率はさらに低くなる。厚労省は「生鮮品を優先するのは残留農薬率が高いなどの違反が多く、消費者に届くまでの時間が短いため」と説明する。

 冷凍ギョーザなどの加工品は細菌を調べる検査の対象にはなるが、残留農薬の検査の対象外。「製造過程で農薬が洗い流されることが多く、加工の度合いが高くなると検査が難しくなる。仮に検出されたとしても何の食材に由来しているのか突き止めるのが困難なため」(厚労省)。設備面での限界や、検査工程の複雑さも検疫体制の限界の一因となっている。

 農薬の検出に必要な検査機器は、神戸と横浜の両検疫所の「輸入食品検疫・検査センター」の2カ所にしかない。各地方の検体は宅配便で両検疫所まで送られ、残留農薬などを調べているという。機器は1台5000万〜1億円。「無制限には増やせず、2カ所に集約した」(同)。

 ●加工品検査は手間

 検体で使われる生鮮食品はすりつぶして濾過(ろか)し、液体にして機器で1晩かけ農薬を計測する。もし、ギョーザなどの加工品に対して、残留農薬などの検査をするとなると、油や添加物を取り除く作業が加わり、最低でも1日は余計に時間がかかるという。

 厚労省幹部は「加工食品についても残留農薬を調べることになると、時間を取られる分、生鮮食品の検査ができなくなる。現実的にどちらを取るか」と話す。

 厚労省には「検疫所の人員を増やし、検体数を大幅に増やすべきだ」と訴える国会議員の声も届いている。しかし、同省は現行の検疫体制を維持する方針。「ギョーザ1つ1つを調べなければ、完全に被害を防げない。検体はミンチ状にするので、全部調べたら食べるギョーザがなくなる」。検疫所関係者は“すり抜け”はやむなしという実情をそう説明した。

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