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産科の危機テーマにシンポ/横浜
- 社会
- 2008/02/02
「産科医療の危機」をテーマとしたシンポジウムが二日、横浜市中区内で開かれ、医師や行政関係者らが医師不足の現状と対策を話し合った。県は女性医師の復職を支援する「医師バンク」を三月にも開設すると報告。「産科崩壊」を食い止めるため、連携する必要性も強調された。神奈川母性衛生学会(西川美智子会長)の主催。
冒頭、県立こども医療センターの山中美智子産婦人科部長が、周産期救急における県外搬送や受け入れ拒否など医師不足がもたらす問題点を列挙。【1】人手不足で忙しい【2】収入が高くない【3】お産の結果が悪いと家族らから責められる-といった産科医の不満を代弁し、お産の現場を離れていく背景を整理した。
続いて、県産科婦人科医会が毎年実施している県内産科医療機関の分娩(ぶんべん)実態調査の結果について、調査を担当した小関聡医師が報告。「医師一人当たりの分娩件数が増えており、西湘や三浦半島は特に負担が大きい」とし、産科医の加重労働や特定病院への分娩の集中などの弊害を指摘した。
こうした医療側からの問題提起に対し、県医療課の藤本真一課長は「県としても悪循環を断ち切る努力をしている」。その一つとして、出産でお産の現場を離れた女性医師らが希望する時間帯で働けるようにする狙いの医師バンクを開設し、人材確保に努めると説明した。
横浜市は二〇〇八年度から三年間、重点的に施策を展開する方針を明らかにし、院内保育所の整備に対する助成などを通じて女性医師を支援していくことを強調した。横須賀市は助産師復職支援事業の取り組み状況を報告した。
シンポに先駆け、出産をめぐる医事紛争が多い現状を踏まえて創設される予定の無過失補償制度の準備状況について、日本医療機能評価機構が説明。通常の妊娠、出産で脳性まひの赤ちゃんが生まれた場合に患者側に補償金が支払われる仕組みを解説し、理解と協力を求めた。
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