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広島県で医師減少、広島市落ち込み響く 厚労省06年調査 '08/2/2

 厚生労働省が二年に一度まとめる都道府県別の医師数に関する調査で、広島県内では医師の総数と、医療施設で働く医師数(人口十万人当たり。開業医を含む)がそれぞれ二〇〇六年に減少に転じた。総数の減少は全国で鳥取など六県。実働医師数(十万人当たり)の減少は広島だけ。県は「極めて深刻な事態」と受け止め、医師確保対策の充実を図る方針でいる。

 厚労省が十二月三十一日時点で把握する「医師・歯科医師・薬剤師調査」で、一九四八年から毎年、八二年以降は隔年で調べている。

 広島の二〇〇六年の総数は六千七百四十人。〇四年に比べ八十一人減った。実働医師数(十万人当たり)は二二二・五人で、同二・四人の減少。前回調査より減少したのはともに一九七六年以来三十年ぶり。

 総数を市町別でみると福山、三次市など十二市町で減り、呉市、海田町など九市町で増加。府中町と北広島町は増減はなかった。

 中でも広島市の八十人減が目立ち、うち七十六人が広島大医学部がある南区に集中する。広島大の浅原利正学長は「新臨床研修制度で、大学を研修先に選ぶ医師が少なくなった。関連病院への補充を進めた結果、大学に人がいなくなっている」と説明。過重労働から勤務医が敬遠される現状に強い危機感を示す。

 県は、医師確保に取り組む市町を支援するため、〇八年度から三年間で総額五億円の交付金制度を設けるなど、対策の強化方針を固めている。広島大医学部には医学科定員を〇九年度から五人増やすよう要請する方針で、浅原学長も県に協力する意向を示した。

 中国地方の他の四県の〇六年の実働医師数(十万人当たり)は、山口=三・五人増の二二七・六人▽岡山=五・〇人増の二五一・三人▽島根=九・七人増の二四七・八人▽鳥取=一・六人増の二五九・九人―で、広島を含め全国平均(二〇六・三人)は上回っている。(村田拓也)




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