揮発油(ガソリン)税などの道路特定財源を原資にする特別会計から、国土交通省が野球のグラブ代などレクリエーション費や公務員宿舎の建設費を支出していることが25日、分かった。峰久幸義次官は同日夜に会見し、道路特定財源を含む国交省のすべての特別会計からのレクリエーション費の支出を取りやめる方針を明らかにした。国会で暫定税率の議論が行われている中で、国民の批判を浴びそうな支出は不適切と判断した。宿舎建設も新規建設は抑制するが、特別会計からの支出は続ける。
国交省によると、道路特定財源の特別会計で、国家公務員法の規定に基づき、06年度はレクリエーション用具の購入費として野球のバットやグラブなどに13万4000円を支出した。また、国家公務員宿舎法に基づき、公務員宿舎の建設費と補修費として07年度に約25億円を支出した。06年度には国交省職員1万175人向けに全国8095戸の宿舎があり、毎年50~60戸を新設している。
国交省は河川局や港湾局など他の特別会計でも、同様の支出をしている。峰久次官は「ガソリンが高騰し、暫定税率の議論がある中、レクリエーション費に国民の厳しい声が聞こえてきた。政府や与党と調整したのではなく、我々の判断で決めた」と述べた。
この問題は民主党などの指摘で発覚した。峰久次官や冬柴鉄三国交相はこれまでの会見で「法に基づいた適切な支出」と説明。レクリエーション費についても、冬柴国交相は「社会保険庁は保険料から使ったのが批判された。これは批判に当たらないのではと思う」と述べていた。
町村信孝官房長官も会見で「グラブぐらい自分で出せよと言いたい気分」と述べる一方で、支出は適正だとの認識を示していた。
しかし、国交省は世論の批判が高まり、暫定税率の廃止論に飛び火するのを恐れ、方針を転換した。ただ、他省庁でも特別会計からレクリエーション費への支出はあり、不要論が飛び火するのは避けられない。
事務費などの支出を巡っては、社会保険庁が特例法に基づき、職員の練習用ゴルフボール代などに使っていたことに批判が噴出。昨年成立した社保庁改革関連法では、今年4月から年金給付以外の使途を限定している。【後藤逸郎】
毎日新聞 2008年1月25日 21時15分 (最終更新時間 1月25日 23時55分)