GAY CINEMA DATA


トーチソング・トリロジー TORCH SONG TRILOGY(88・米)
制作:ロナルド・K・フィアスタイン
監督:ポール・ボガート
脚本:ハーベイ・フィアスタイン
出演:ハーベイ・フィアスタイン/アン・バンクロフト/マシュー・ブロデリック
主人公アーノルド役のH・フィアスタインが脚本を書き、オフ・オフ・ブロードウェイで 上演していた芝居の3部作を一つにまとめたもの。題名は「3つの悲恋歌」の意味。 ゲイの恋愛感情をその家族や社会的背景などを絡ませながら描く秀作。

かつてのハリウッド映画は、清教徒的な価値観に照準を合わせて来た為、米国の平均的 価値観を逆なでする様な事には手を出せなかった。そういう点では一見お堅い英国などより はるかに保守的だと言えるのではないだろうか。
描けなかったものに白人と黒人とのラブ・シーン、不倫、セックスなどがあったがそれらの描写は 徐々に解放に向い、女性社長は当たり前、ついに黒人大統領まで登場した。 そして最後の砦と言われているのが、同性愛でまだまだ主流には程遠いものの水面下では、ゲイ 映画は大変なブレイクを見せている。
かつてのハリウッド映画は、友情にかこつけてその濃密なセクシャリティを描き出すしかなかった のだが、上記にあげている規制を設けたヘイズ・コードが撤廃され、少しずつゲイがスクリーンの 中で主張し始め次々と名作が生まれている。その中でもこの作品は男同士の恋愛がごくごく自然に 描かれていて出色。それでも依然として差別はあり、この映画でもアーノルドの恋人アランが、 ゲイを忌み嫌う心ない人間達によって虫けらの様に殺されてしまうシーンには胸が痛んだ。
ゲイで女装のエンタテイナーとしてクラブで働くアーノルドは、自分に正直に生きる事を 選んだ為に厳格なユダヤ教徒である母親からうとまれ、顔を合わせればいさかいが絶えないわけ だが死んだ恋人アランにまで矛先を向けられた時にはさすがに感情を爆発させる。 ラスト近く、墓場での彼と母親との壮絶なやりとりは、胸苦しくなる程だ。 差別があるからこそ、皆声高らかに権利を主張しているわけだが、友人と「ゲイは日陰者でいた方 が美しい」などと言っている私の中にもまだまだ差別感情があるのは認めざるをえない。 補足ですが、この映画に出ていたハーベイ・フィアスタインは、「ミセス・ダウド」「インデ ペンデンス・デイ」に出てましたが、太りましたね〜。ショック・・(erin)


ミッドナイト・エクスプレス MIDNIGHT EXPRESS(78・米)
監督:アラン・パーカー
出演:ブラッド・デイビス/ランディ・クエイド/ジョン・ハート
麻薬不法所持だけの罪でトルコの刑務所に投獄され、"死刑"の宣告を受けたアメリカ青年が、4年後 自由を求めて大脱出を図る。鬼才パーカー監督が"異国の刑務所"という極限的な設定の中で、人間の 尊厳と自由を捉えた力作。実話をもとにしている。

クレア・デーンズの「ブロークダウン・パレス」タイ旅行に出掛けた少女2人が、罠にハメられて 麻薬所持の容疑で、逮捕され、懲役33年という判決を下されるといった内容ですが、このプロット から誰もが「ミッドナイト・エクスプレス」を思い出したことでしょう。 しかし、この少女達が浅はかだったとはいえ、全く無実なのに対し、「ミッドナイト〜」の ブラット・デイビスは明らかに有罪です。当時のトルコの政治形態と非人間的な刑務所の実態を 暴くといった主旨で描かれたものですが、肝心の本人になんら反省心がなくアメリカ人が野蛮な トルコなどに裁かれてたまるか、といった西洋側の思惑が見え隠れしてイヤ〜な気分にさせられ たのは私だけでしょうか。
リチャード・ギアの「Red Corner〜北京のふたり」からもそういう部分が出ていたのですが、 西洋が東洋の暗部を描くとどうも押し付けがましくなってしまうような気がします。 唯一の成功例は「キリング・フィールド」くらいでしょうか。 とはいえ、この「ミッドナイト・・」が嫌いかというとそんな事は決してなくて映画としては 好きなんですよね。アラン・パーカーも最近は普通になってしまいましたが、この作品とか 「バーディ」とか昔はQUEER MOVIEファンにとって感涙ものの作品撮ってました。 ジョルジオ・モロダーの旋律もまた素晴らしいのですが、一時一世を風靡したのに一体どこに 行ってしまわれたのでしょう。(erin)

主役のブラッド・デイビス、『ケレル』の時よりもスリムでかっこよかったです。 それに一見サスペンスな映画だからあんなにQueer色が濃いものだとは思ってませんでした。 仲良くなった囚人とのキスシーンはあるし、看守にやられそうになるし。(^^;;) ストーリーはerinさんがおっしゃってたように自業自得といえばそうなのですが、 伸び伸びになって終身刑までになるところがやっぱり恐いですね。 最初に空港で捕まるシーンでトルコ語を故意に訳さずに字幕を出さないところとかも うまいなぁと思いました。ほんとに分けの分らない言葉で尋問される恐怖を観客に 身を以って体験させるって感じですね。(訳者の人気が利く!) それに精神病患者の棟に入れられて頭がおかしくなっていく様子なんかは、ブラッド・ ディビスって演技うまいなぁと感心しました。でも一番感動したのは最後の 「この映画の上映によってアメリカとトルコが和解し、囚人がアメリカに移された」と いうその後の話です。映画って国同士の和解までさせてしまう程影響力のあるもの なんですねぇ。 『私の愛したイスタンブール』とはイスタンブールの描きかたが180度違う映画でした。(^^;;) (トモさん)


MOON44 MOON44 (90・米=西独)
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:マイケル・パレ/マルコム・マクダウェル/リサ・アイクホーン/ブライアン・トンプソン/ ディーン・デブリン
地球に資源が枯渇し、鉱山惑星からエネルギーを持ってくるしかなくなった近未来を 舞台に、貴重な資源を持つ惑星"MOON44"を必死で守ろうとする多国籍企業の戦いを描く SFアクション。

マイケル・パレ扮する内部調査官のストーンが、“MOON44"にある基地の査察を命じられ マッチョな囚人たちに混じって戦闘訓練を受ける。戦闘ヘリのナビゲーターは少年ばかりだったので 囚人たちは彼らをからかい、しまいにはシャワー室レイプ事件が起こってしまう。 それが原因でリーダー格のタイラー(ディーン・デブリン)は囚人たちに宣戦布告するのだが、 やがては・・。 タイラーがストーンを頼る姿は深読みできるし、ストーンにやたらちょっかいを出すマッチョ なオニール(ブライアン・トンプソン)もアヤシイ感じです。未来型ヘリを使った戦闘シーンも あることはあるのですが、どちらかというと囚人(攻)とナビゲーター(受)の衝突と和解を 描いた時間の方が長いのでかなりQueerな映画だなぁと思いました。 ちなみにディーン・デブリンは『ID4』でR・エメリッヒと組んだプロデューサーさんで 『ユニバーサル・ソルジャー』、『ゴジラ』の脚本・制作もしています。ブライアン・トンプソン は「X−ファイルセカンド 入植PartI,PartII」で、顔が変幻自在の宇宙人役をしていました。 『時計じかけのオレンジ』のマルコム・マクダウエルも出ているし、ほんとにSF関係者勢揃い! な映画です。(トモさん)


百合の伝説 Lilies (96・加)
監督:John Greyson
出演:Ian D. Clark/Marcel Sabourin/Aubert Pallascio/Jason Cadieux/Danny Gilmore/Matthew Ferguson (I)/Brent Carver
ある刑務所に神父がやってくる。そこでは今芝居が行われようとしていた。それは神父が封印した 過去を蘇らせ、彼の罪を告発するために行われたものだった。その劇中劇が女性役もすべて 男性が演じているのが話題になった。

「百合は純潔と無垢の象徴...恥ずべき罪を犯した囚人達に刻印される残酷な紋章」 醜悪で美しく、虚構を窮めているのに心痛む程真実で、残酷なのに心の熱くなる不思議 な映画です。そして、ゲイであるということと同じ程、生きていること自体の深い孤独 が描かれています。カナダフランス語圏の代表する戯曲の映画化なのですが、製作者・ 原作者・監督・作曲家・そしてキャストといった作り手の人たちのこの作品への深い思い が伝わってくる傑作です。(中井さん)


ゼロ・ペイシェンス ZERO PATIENCE (93・加)
監督:ジョン・グレイソン
出演:ノルマン・フォトゥ/ディアンヌ・ハースリントン/リチャード・キーンズ・ダグラス
時は現代。ヴィクトリア時代の性科学者サー・リチャード・フランシス・バートンが何故か カナダの博物館で働いていた。しかも彼は、170歳のはずなのだが奇跡的に若々しいままなのだ。 バートンは「感染症の広間」の新しい展示物として、北米にエイズを持ち込んだとされている、 ペイシェント・ゼロ(患者0号)をメインにしたエイズの展示を思いつく。 一方、あの世にいたゼロはプールに飛び込んだ途端に目の前が暗くなり、気が付くとサウナ風呂を 通って現世にやってきていた。しかし、幽霊であるゼロの姿は誰にも見えない。かつての友達 ジョージ(リチャード・キーンズ・ダグラス)も彼に気付かない。ジョージの後をついていった ゼロはジョージもまた今、エイズと共に生きていることを知る。

“世界初のAIDSに関するミュージカル映画”。ミュージカルでしかできない華麗なダンス、MTVの プロモ・ビデオに通ずるキツチュな映像、イマジネーションの洪水には感服する。お尻同士が会話する といった意表を突いたシュールな映像も楽しい。それでいてAIDSに対してボジティブで辛辣なメッセージを 投げ掛けているのだ。 カナダ映画界の鬼才ジョン・グレイソンは、この長編劇映画デビュー作をウイットに富んだ語リ口と ダイナミックな演出で、実験的な映像感覚とMTV世代の感性を見事に融合させ、オリジナリティー溢れる 作品に仕上げている。(erin)

『ロッキー・ホラー・ショー』に続くパワフルなミュージカル映画でした。ゲイサウナのシャワー室で、 「マナーを守って楽しくナンパ♪」とコーラスしたり、肛門同士でおしゃべりするシーンはほんとに 笑えましたが、エイズという社会派なテーマも持っているので笑いだけに終わらない複雑さがありました。 でも一番目がいったのは科学者バートンと患者ゼロの関係です。 始めはゼロの事を病原菌呼ばわりして接触を拒んでたバートンが徐々に彼の魅力に負けていくくだりが 気に入りました。(*^^*)それにしても、ロッキー・・のティム・カリーも口が大きかったけどこの患者 ゼロ役のノルマン・フォトゥもきれいな顔してるわりにけっこう大きな口でした。 ミュージカルをするとそうなっちゃうのでしょうか。(^^;;)(トモさん)


苺とチョコレート FRESA Y CHOCOLATE (93・キューバ・メキシコ・スペイン)
監督:トマス・グティエレス・アレア
出演:ホルヘ・ペルゴリア/ウラジミール・クルス/ミルタ・イバラ/フランシスコ・ガトルノ/
「公園からの手紙」で知られる、ラテン・アメリカを代表する鬼才T・G・アレアが手掛けた人間ドラマ。 ゲイであるために祖国を追われる感性豊かな青年と、共産主義に傾倒する大学生。偶然の出会いから、やがて 心を通わせていく彼らの友情を描きつつ、同性愛者への偏見という問題をリアルに浮き彫りにしていく。
クラッシュ CLASH (95・米)
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
原作:J・G・バラード
出演:ジェームズ・スペイダー/パトリシア・アークイット/ホリー・ハンター
※注 これは前にパソ通のBBSにUPしたものをそのまま転載しました。かなり辛口ですので 心して読んでください。
「トレイン・スポッティング」は、同じ無軌道ぶりでもあの疾走感は痛快さに 繋がるし、何より面白く描けていた。しかし、これはもう退屈で退屈でどうしようもなかったんです。 ドラッグの様な映画で観ている最中忘我の極致に陥り、それで快楽を得られる人 間はハマるが、そうでない人間はとことん嫌う事になるそうですが、私は後者ですね。 同じ変態でも「赤い航路」みたいに面白く説得力のある描き方ならまだ共感とか得られたかも しれないんですけどねえ・・観客を楽しませる事を忘れた映画・・クローネンバーグは観客を 選ぶ映画を作ったつもりなのだろうが、選ばれたくもねえや(笑)

壊れかけた夫婦が愛を取り戻そうと模索している姿を描いた究極の愛の姿だとあるからもっと夫婦間の 密度の濃いやりとりとか描かれているのかと思ったら何か淡々とやってるだけで二人の苦悩が全然 伝わって来ないんです。大体、こんな事でもしないと愛が取り戻せないのならその夫婦はもう終わりだよ。 自分達だけが死ぬのならともかく、人を巻き添えにする可能性も大でしょ。 こいつらの究極の愛とやらの巻き添えになる普通の人はたまったもんじゃねえや。 夫婦の愛を取り戻そうと必死にあがく姿がけなげとかマンガ家の森園みるくが言ってたけどヒッチハイカー 少女を虐待して性の奴隷にしたブッカー夫妻や英国恐怖の館殺人事件の夫婦よろしく殺人やって快楽 覚えるバカと紙一重だよ。何でも愛で片付けるな。バカヤロー!
そこに愛があるからと言って異常な行為を正当化するより、おれたちゃ事故で快感を覚えるろくでなしの 変態なんだよ〜ん、みたいな描き方の方がスッキリします。 ホリー・ハンターの描き方も中途半端だったしねえ。彼女にこの手の映画不似合いだよ。 でも、ジェームズ・スペイダーが惹きつけられる事故マニアの男とのシーンはそそられたな。
しかし、この映画を見た時「18禁」に勘違いしたおやじが多かった事。そういえば「ショー・ガール」の 時も多かったなあ。そんなにスケベが観たけりゃ家で大人しくAV観てたらいいのに・・(^^;)18禁に 誘われてフラフラとやってきたおやじどもはいきなりもーほーなシーンが出てきてガッカリしたでしょうね。


野生の夜に LES NUITS FAUVES(95・仏)
監督・原作・脚本:シリル・コラール
出演:シリル・コラール/ローマーヌ・ボーランジェ/カルロル・ロペス
映画監督、小説家、歌手と多方面に才能を発揮しながらエイズキャリアでもあるC・コラール(93年エイズで 他界)の自伝的作品。バイセクシュアルのジャンは夜毎男の体を求めてパリの町をさ迷うが、ある日ローラという 娘と出会い、それまでになかった心のときめきを覚え、ジャンはローラに自分がエイズだと告げることができない まま、彼女と結ばれてしまう。

※注 これは前にパソ通のBBSにUPしたものをそのまま転載しました。かなり辛辣なので 好きな方は読まない方が賢明でしょう。
つくづく好きな映画と面白い映画というものは別ものなんだなという事を再認識 させられる様な作品でした。何が「フランス本国で大絶賛を浴びたセンセーショナルなヒット作」だ!
いくら世間様の評価が高くても主人公に感情移入できないような映画、共感を得られない 様な作品は私にとっては駄作なのです。

エイズに冒されたバイ・セクシャルの青年を少女が暖かく見守るといった様な前向きなラブ・ ストーリーを想像していたのですが、フランス映画にそんなものを期待した私がバカでした。
青年の男の恋人との複雑な三角関係が入り乱れ、女の子が嫉妬で狂気の1歩手前まで追い込まれる といった「ベティー・ブルー」顔負けの、思い入れが激しくて人の迷惑顧みず一直線に突き進む 余り、回りが見えなくなるといった典型的お病気恋愛映画でひたすら疲れました。
私ってこういう映画ダメなんですよね。ほんと観ていてイライラさせられる事しきり。 勝手に狂って勝手に死ねよとか思ってしまう。(言い過ぎかしら)
ほんとフランス人って皆キ***(失礼)なのかと疑ってしまいますね。 もちろん、こういう例は特殊なんだろうけれども・・ それにあの男、自分がエイズと知ってて少女とSEXするとはあまりにも非常識 じゃない? それもコンドームもつけずにだよ。
また、少女と男の恋人がいるのにもかかわらずゲイのハッテン場で不特定多数の 男達と戯れるとはどういう神経してるんでしょう。 エイズに冒されて自暴自棄になり腹いせに他の人間に移してやろうとでも思った のでしょうか。 どの登場人物の言動も容認できないし、誰にも感情移入できないのでほんと疲れる だけの映画でした。
監督の自伝的映画という事ですが、自分の恥部をここまでさらけ出せるなんて勇 気を通り越してほとんど自虐的ですね。 同じエイズ患者を扱った作品なら、マニュアル的でちょっとわざとらしい部分があ ったとはいえ「フィラデルフィア」の方がよっぽど優れていると思いましたね。


僕の愛した二つの国 ヨーロッパヨーロッパ EUROPAEUROPA(90・仏=独)
監督:アニエスカ・ホランド
出演:マルコ・ホーフシュナイダー/ジュリー・デルビー/ハンス・ツィッシュラー/アンドレ・ウィルムス
ナチスの手から逃げ回るユダヤ人の少年ソロモン。身分を隠し続ける彼はソ連では共産主義者として、 連れ戻されたドイツでは純粋のドイツ人として振る舞い生命の危機を乗り越える。第二次大戦にアイデンティティを 翻弄される少年の姿をユーモアとペーソスたっぷりに描き出し、91年ゴールデン・グローブ外国語映画賞を受賞。

ふとした事からナチスの仲間にユダヤ人だという事を知られてしまうのですが、彼がゲイでソロモンに 好意を寄せていたため命拾いします。彼は助けてやる代わりに身体を要求すると いった代償を求めたりもせず、あくまで友情の範囲でソロモンに接するのです。おそらくゲイも迫害の対象と なっていたから人ごととは思えなかったのでしょうが、彼はすぐに戦闘で死んでしまうのです。 そこからまたソロモンの身分を隠し、脅えながら過ごす日々が続きます。 ユダヤ人は割礼をしているわけですが、それを知られたくなくて恋人も抱けないジレンマに悩まされる ところではハラハラしました。(ユミさん)

ユダヤ人がドイツ人の振りできるわけないだろー〜、一種の寓話じゃないの〜と突っ込みながら 見ていたのですが、ラスト、現在イスラエル在住のソロモン本人が登場してビックリ。実話だったのですね。(erin)


Billy's Hollywood Screen Kiss(99・米)
監督:Tommy O'Haver
出演:Sean P. Hayes/Brad Rowe/Richard Ganoung/Meredith Scott Lynn/Matthew Ashford/ Armando Valdes-Kennedy/Paul Bartel/Carmine Giovinazzo/Holly Woodlawn
ゲイがストレートを墜とすにはこういう風にやればいいというマニュアルになりそうな秀作コメディ。 ポラロイド写真を撮り続けている売れない写真家ビリーはふとしたことからハリウッドの有名な キスシーンのシュチュエーションをそのまま「ゲイ・バージョン」でやってしまおうと思いつく。 そのモデルを探していた時、たまたまカフェでアルバイトをしていた売れない ミュージシャン、ガブリエルを見つけ、彼に白羽の矢を立てる。ビリーはガブリエルに人目惚れし、 その後も運命のようにバーで逢ったりしている内に互いに打ち解けてくるのだが、ガブリエル の言動の数々から「もしかするとガブリエル彼もゲイかも?」などという思いがビリーの頭を 駆け巡り悶々とする。後半ちょっとしたドンデン返しも用意されているらしい。

ビリーはロスを根城の新進カメラマンでもちろんゲイ、鬱陶しくなってるラテン恋人をどうにかしたいが無下に別れることもできない優しさの権化(要は単にお人好しなだけとも)そこへ現れたのがウェイターのガブリエル(見た目ブラピで売り出し中のブラッド・ロウ、が、どっちかっつーとポール・ウォーカー似しかもプチ)赤子の手を捻るがごとくガブリエルに夢中になって自分の被写体になってくれとお願いするビリー。が、そこはほれ文明社会に住む都会人ですから分別と理性がジャマをして、なかなか自然に還ることは不可能なわけ。手は出したくも相手の本意がはかりかねうだうだしてるうち、同業者にモデルガブリエルを奪われ、ていよく「バイバイ」されてしまう。傷心ビリーは自分のトンマぶりを嘆きもしますが、それこそ自称ストレート実はバイセクなハンサム君という高嶺の花はあくまで手折るまじの教訓を得つつ、ようやく開催にこぎつけた個展会場で出会った客青年と談笑し慰めも得つつ幕。CAMPを絵に描いたビリー役は、現在某国営放送でオンエア中のコメディ「ウィル&グレイス」でまんまオネェちゃん風情も健闘中のショーン・ヘイズさん。
これまた力一杯他愛ない話なんだけども、とにかくこのビリーの右往左往っぷりの忙しなさと表情豊さにこっちまで知らず知らず流され、笑い泣き以上爆笑未満の良質ドラマについ見入ってしまうからアラ不思議。ショーンさんのセクシュアリティは知りませんけど、ホンモノじゃなかったらこうも鑑賞者を納得させられませんでしょ。ダサいに片足つっこんでるシャツの裾だし踝丈ジーンズ白ソックスてなファッションセンスなんか妙にリアルで悲哀笑。 かたやガブリエルって個性は単に稚いだけで、いわゆる自己愛から抜けきれない途上ゆえの優柔不断なんですが、それに踊らされてその気になったり奈落に落ち込むビリーはお気の毒さま(カノジョとダメになっちゃいそうな素振りとか、これまた思わせぶりにいっしょのベッドに寝転んだりするんだわこれが。まさに蛇の生殺し)まぁ男性の過半数はゲイもしくはバイと思って間違いないし、ガブはモロ自分の美貌を過信して男にも自分の魅力は有効か?なんてチラっとは思ったかもしれないけど、その動向を自分以上にビリーは気になってしょうがないし見え度合いも半端じゃないから、なんでかガブは「イノセント」で片が付けられるような描かれ方なんですね。美男は昔っからそれがあらゆる免罪符として通用してるんだから、ソッチ側じゃないビリー族は特に泣くしかないって構造、それが世の常・約束ごとってのが実際この映画の主旨のようです(うさんくさいけど)
ひとには分というものがあるものでして、それを目線に忠実に見せ(つけ)るだけじゃ映画としてそれはどうなの?と言えなくもないけど、脚本的には練れてますねぇって評価も可だと思います。 他にこの映画で重要な要素の音楽もあるんだけど、まぁそれは気づいたら楽しい程度なので流してくださいな。例えば、ドラァグねーさんが歌い踊るのがコール・ポーター往年の名曲だったり、ガブが組んでる休止状態バンドはハスカーデュとかシュガーといったハードコアロック系で、ビリーが「僕もスキっ!」って言ったら「え〜イレイジャーとかじゃなくて?」とゲイクラブ御用達エレポップ出されヘコんだり、とつつきどころが私的に満載だったりしました。(スギオメルさん)


ザ・ガーデン THE GARDEN(90・英=日=独)
監督・脚本:デレク・ジャーマン
出演:ティルダ・スウィントン/ロジャー・クック/スペンサー・リー/キース・コリンズ/
イギリスの鬼才、D・ジャーマンが2年間にわたって、自らの心象風景と自宅からの眺めを 切り取って作った作品。イギリス、海岸沿いの小さな町・ダンジェネス。ジャーマンの家が ここにあり、裏には原子力発電所がある。彼はここで自分の"庭"を撮ろうとする。

もしイエス・キリストがゲイだったら?”と いうお話だったように思います。とにかく新約聖書のパロディ満載で、男二人がバスタブ で水の掛け合いをしたり、少年と男が頭の洗いっこをするシーンは“洗礼”そのものだし、転がる石の 上にたつおじさんを裸の男たちが威嚇してとり囲むシーンはイエスと悪魔の戦いをパロってるように 思います。他に女装趣味の裏切り者のユダなどまだまだパロディがあるのかもしれませんが、 ちゃんと聖書を読んでないので分りませんでした(^^;;)また勉強し直さないといけません。。 それにしても青年の頃のイエス役をしている俳優さん、『エドワードU』でエドワードを殺しに 来る男を演じてた人なんですがすっごくセクシー!バスタブでの水かけシーンはため息が 出るほどきれいでした。それからエドワードの子供役をしていた男の子も出てるのですが、 ほんっとにかわいいっ(*^^*)90年制作の映画だから今はけっこう大人になってるのでしょうが、 うまく成長してるのか心配です。現在の彼についてご存知の方、いませんか??ティルダ・ スウイントンもD・ジャーマン映画には必ず登場してるみたいですね。彼女の顔すっごく 好きですが、『エリザベス』のケイト・ブランシェットに似てるなぁと思うのは私だけ でしょうか。(^^;;) 影像は、全体的にスローに映してるところが多かったし、意味不明のシーンも多いので 音楽無し超ロングバージョンのビデオクリップを見てるようでした。(トモさん)


バック・ビート BACK BEAT(94・英)
監督・脚本:イアン・ソフトリー
出演:スティーブン・ドーフ/イアン・ハート/シェリル・リー
ビートルズのオリジナル・メンバー、スチュアート・サトクリフの半生を描き、伝説と 呼ばれたポップスの歴史の裏側にスポットを当てた鮮烈な青春映画。初期ビートルズの 中心人物の一人にしてジョン・レノンの親友でもあるスチュアートは絵の才能があり、 巡業先のハンブルクで女流写真家アストリッドと出会い恋に落ちる。 グループから離れようとするスチュアートを引止めようとするジョン・レノンだったが・・

監督は「鳩の翼」を撮ったイアン・ソフトリー。 ビートルズ幻のメンバー、スチュワート・サトクリフの短い生涯に焦点を当てた物語ですが、 彼と女流カメラマンアストリッドのラブ・ストーリーというのは実は表向きの設定で、ジョン・ レノンとの友情物語にかなりの比重を置いています。 スチュワートがアストリッドの方に傾くと、置いてけぼりを食らったような気になり、 焦ったジョンは、何とか彼をビートルズに繋ぎ止めようとするわけですが、あろうことか アストリッドにその事を言及され「あなた、いつも怒っているけど、それは私に焼いている からよ。」と図星を指されたりします。
また、スチュワートがジョンに「君はまるでランボーのようだ」と言ったり、 ジョンがスチュワートにやけに構うのを見ていらついたポールに「あいつ(スチュワート)、お前 の何だ?」と聞かれ、「俺がゲイだとでもいうのか!」とむきになって食ってかかるシーンが あります。身に覚えがなければ適当にやり過ごしますよね。 (何年か後にブライアン・エプスタインに身体を許すくせに〜、と一人で突っ込んでしまいま したが)スチュワートはベースの才能はあるのですが、ステージ・パフォーマンスの方は からきしで、それをポールに指摘されるのですが、盲目状態のジョンはそれを認めようと しないのです。
ちなみにこのポール・マッカートニーやっている俳優は本人そっくりでした。 ラストの方でスチュアートがグループを離れると知った時のポールのせいせいした顔もまた 笑えます。この人はのちにオノ・ヨーコにも苦しめられるわけですが、ほんとにジョンの事が 好きだったのですね。 ビートルズの成功を予期しながら、グループを離れやがて不治の病に倒れなければならない スチュアートとこれから輝かしい未来に向かって驀進していくグループとのコントラスト が印象的でした。スティーブン・ドーフが20歳の時の映画なのでとても可愛かったです。


おこげ (92・日本)
監督・脚本:中島丈博
出演:清水美砂/村田雄浩/中原丈雄/深沢敦/竹田高利
男性恐怖症の女、小夜子がホモセクシュアルの人々と接したことから、彼の愛すべき 姿に惹かれていく様が描かれる。

92年の日本の映画ですが、おこげとは、おかまにくっついている女 の事で、ホモの男性を好きになる女性の事だそうです。 主演は、清水美砂で、清水美砂が好きになるホモの男性が、村田雄浩で 村田雄浩の恋人が、中原丈雄です。「現在、坂口良子主演のCXの お昼のドラマに出てる方です。」村田雄浩と、中原丈雄の凄いベッドシーン もあり、なかなかおもしろい映画です。結局は、村田雄浩と、中原 丈雄が別れて、清水美砂と村田がくっついちゃうんですけど・・・。 くわしい事は、見てもらえばわかります。(きゅうさん)


渚のシンドバット(95・日本)

95年の日本の映画です。いわいる三角関係です。今をときめく浜崎 あゆみさんも出演してます。主演の岡田義徳くんは、同じクラスの 男の子を好きになりますが、その子は、転校してきた浜崎あゆみちゃん を好きになり、浜崎あゆみちゃんは、岡田くんに好意を持ち始める という話です。結末は、それぞれ片思いで終わってしまうのですが、 とてもいい映画でした。(きゅうさん)


ぼくたちはここにいるOh! My Three Guys(94・香港)
監督:デレク・チウ 出演:ラウ・チンワン/エリック・コット/ウォン・ジーワー/ン・シンリン
広告プランナーのホイ、売れない俳優のガウ、脚本家のファーは幼なじみ。ひとつの マンションで一緒に生活をしている。ゲイでもある彼らは、お互いに支え合い、時には喧嘩し、 それぞれの仕事に悩み、恋に揺れ、たまには仲間たちと仮装パーティで羽目を外す。 それなりに幸福な生活をおくっているはずだった。しかし、いつのまにか“ひとつの死”が彼らに しのびよっているのに、彼らは気づかなかった……。

わたくしはあの「美少年の恋」より、ずううぅっ、とよい作品だと思います。 不満なところも多々ありますが、まずちゃんと映画になっていること。 「美少年」は、ストーリーの中途半端さと妙なナレーションに頼る手法に 観ている途中ずっと腹を立てていましたが、「ぼくたち」に比べたら、 あれはシロウトの作品といってもよいぐらい。キツイこと言いますが、 監督の力量の差を感じます。役者は断然「美少年」の方が若くてきれいだし、 濡れ場もありますが、わたくしは出来の悪い「やおい小説」のような感じ がして、ダメです。 「ぼくたち」の主人公3人は、きれいでもないし、濡れ場なんて皆無で 笑っちゃうシーンもたっぷり用意されているのだけれど、ゲイの切なさや 淋しさ、友情の素晴らしさをちゃんと描いていて、しみじみとしてしまい ました。特にHIVポジティブになっちゃうガウは、不細工だけど、ほんと いいヤツなんですよ〜。ラスト近くに自分のことを語るシーンには、ホロリ とさせられました。
納得いかないのは、主役の一人、モテ男のホイなんですけど、わたくしは どう見たって男も女も夢中になるハンサムとは思えないんですよね〜。 香港人から見ると、ああいうのが「男前」なのかしらん。疑問だ〜。 それと、このホイに絡む女が、どうも好きになれないのよねぇ。妙に 自信満々で「わたしはあなたを愛しているから、唯一の女になりたいの。 軌道修正してあげる」っていうのが気に食わない!チラシには3人に 共感を示すヒロイン、と書いてあったけど、あれのどこがそうだと いうんじゃ。
何よりも一番腹立たしいのは、最後にホイが「宗旨変え」しちゃうところ!! それは、ないだろ〜、「宗旨変え」するなら、もっと「いい女」にしろ よな〜、とかなり不満たらたらでした。やはり「ゲイ」と自覚したなら、女 なんて切り捨てて、道を究めてもらいたいのですが、香港という土地柄 一般人に見せる為には、「普通」の幕切れにしないといけないのでしょうか。 とはいえ、お金払って見るのなら「美少年」より、こちらの方をお勧め します。きれいな男の裸と濡れ場なら、あちらだけれど、ストーリーは どーでもいいけど、とにかく美少年に見惚れてしまった〜、というほどの ヤツは出てきてないと思いますわよ、「美少年の恋」(苦笑)(おクチさま)


狼たちの午後 Dog Day Afternoon (75・米)
監督:シドニー・ルメット
出演:アル・パチーノ/ジョン・カザール/チャールズ・ダーニング/ゲーリー・スプリンガー/クリス・サランドン
1972年8月22日ニューヨークは気温36度の暑さにうだっていたが、その日、ブルックリン三番街に あるチェースマンハッタン銀行支店に、閉店直前、3人の武装した男が銀行を襲撃。 主犯格はソニー(アル・パチーノ)。支店長のほか守衛の黒人の老人と8人の女行員が人質にされた。 ソニーは、銀行の入金分がその時すでに本社へ送られ、金庫には1100ドルしかないことを知る。 ソニーと相棒のサル(ジョン・カザール)ががっかりしているところへ電話のベルが鳴り、受話器 をとったソニーの耳もとにモレッティ部長刑事(チャールズ・ダーニング)の声が響いた。 200人以上の警官とFBI捜査官が銀行をとり囲んだのである。ふだん静かなこの一画は、突如として 蜂の巣をつつく様な大騒動となった。

人質と犯人たちとの間に奇妙な連帯感が生まれ、建物の外の人たちも躍起になって犯人を説得 しようとし始めるのがなにやらおかしい。普通の人間がついうっかりと銀行強盗をしてしまった悲喜劇を 淡々と描いているわけだが、仰天したのはソニーは実は同牲愛者で、銀行襲撃もホモ相手の性転換手術の 費用欲しさから思い立ったものだということ。「リップスティック」にも出演したスーザン・ サランドンの元夫クリス・サランドンがオカマ姿で登場するのには度肝を抜かれたものである。 なお、この社会派シドニー・ルメットとアル・パチーノはこの前に「セルピコ」という警察内部 の腐敗を暴くといった内容の素晴らしい映画を撮っている。(erin)


手錠のままの脱獄 THE DEFIANT ONES (58・米)
監督:スタンリー・クレイマー
出演:シドニー・ポワチエ/トニー・カーティス/
豪雨のハイウェイで、一台の囚人護送車が転落。この車から白人のジャクソンと黒人の カレンが脱走。二人は手首を手錠と手錠で結ばれている。相手に対する人種的 偏見を持っていた二人だが、不本意にも行動を共にしている内に次第に相互理解を深めていく。

黒人・白人という問題も興味深かったし、Queer深読みもできるほんとにイイ映画でした♪(*^^*) 最近はほんとに色眼鏡で見るようになってしまった私なので、カレンが ジョニーのケガを気にして手当てをしてあげるシーンから早くも深読みし てしまいました(^^;;)。最後の二人が抱き合いながら警官たちに捕まると いうエンディングはもうQueerを考えずにはいられないですね。。 独り身の女をふりきってカレンの元に行くジョニーには絶対に友情を越え たなにかがあったように思います。(また考え過ぎ!(^^;;))

ところで、なんで二人のアツイ友情が可能だったのか考えてみました。 カレンは“ニガー”と呼ばれる事に抵抗を感じ、ジョニーは移民で低 所得者だったから“ありがとう”と言われることに抵抗を感じてました よね。お互い、弱い面があるということを知ったから分かり合うことが できたのかもしれません。自分自身心に傷があれば、他人の痛みも分か るといったところでしょうか。ジョニーには普通の裕福な白人にはない 理解力というものがあったような気がします。
もしジョニーが差別的な南部白人だったらあんな展開にはならなかったと 思うんです。きっと最初の事故車から逃げ出す時点でカレンの事を殺そうと したでしょうね。(^^;;) ジョニーが南部白人という設定であんな友情物語が描かれる映画ができれば、 それはもっと革新的なものになったと思います。でも、ベトナム戦争以前の 時代で、あれだけの映画を作ることができたのもまたすごいことですね。

ジョニーが移民だったという設定が人種問題を取り上げた映画としては 弱い要因になってるように思いますが、黒人・白人の関係を希望に溢れた ものとして描いた映画としてはすばらしい作品だと思います。 人種の違いを取り上げながらも、人種偏見のない映画というような感じ がします。ジョニーの「みんな苦しいんだ。おまえだけじゃない」という セリフから“黒人も白人も同じ人間である”というメッセージが汲み取れ ますよね。(トモさん)


山猫は眠らない SNIPER (92・米)
監督:ルイス・ロッサ
出演:トム・ベレンジャー/ビリー・ゼーン/J・T・ウォルシュ
特命を受け南米のジャングルに潜入する二人のスナイパーの葛藤を描く。 暗殺のベテランであるベケットとエリートの新米ミラーは作戦が難航するにつれ衝突しあうようになる。

ほんとに何度見てもこれはQueer深読み映画の傑作です。ミラー(ビリー・ゼーン)が セクシーな目でベケット(トム・ベレンジャー)を睨むシーンはほんとにシビれてしまうし、 お互いに照準を合わせて見詰め合うシーン!あれはQueer以外のなにものでもない! ミラーがベケットの顔を見ながら「美しい」とこぼしたり、「おまえが照準に入った時ゾクゾクした」 などと言うのですが、普通言わないと思います、こんなこと。(^^;;)
戦争特有の異常な精神状態ということもあるのでしょうが、あの二人の葛藤はかなりQueer色の濃い ものでございます。戦争アクションがお好きな方はぜひお試しを!(トモさん)


Mr.レディ Mr.アダム LA CAGE AUX FOLLES (78・仏)
監督・脚本:エドアール・モリナロ
出演:ウーゴ・トニャッツィ/ミシェル・セロー/ミシェル・ガラブリュ
パリで大ヒットしたジャン・ポワレの舞台劇を映画化した傑作コメディ。舞台は南フランス、サントロペ。 人気のオカマ・クラブ"狂人の檻"を経営する中年のホモ・カップル、レナートとアルバンは、クラブの階上 に愛の巣をかまえている。ある日、若気の至りでできてしまった一人息子が結婚話を持ち込んで来た。相手は こともあろうに、お堅いことで知られる政党書記長の一人娘。男だけの愛の巣に女がのりこんでくるということで 二人の男は慌てふためくのだったが。

これは、フランス映画には珍しく日本でも大ヒットした。3作まで作られているが、さすがに3作目とも なるとパワー落ちは否めない。エプロンだけ身につけた裸の黒人メイドやHな絵のついた皿など細かい所に ゲイ・・いや芸が凝らしてあっておかしい。しかし、ゲイ2人に育てられたというのにストレートに育って しまう息子はけしからんとか思ってしまうのは私だけだろうか。 この作品は「バード・ケージ」というタイトルでロビン・ウィリアムズ主演でリメイクされた。