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韓国にスタグフレーション注意報(下)

◆飲食店も値上げ

 食料品価格の高騰は、加工品の値上げにつながり、外食費も上昇している。外食チェーンのグッドフライドチキンは年初からフライドチキン1羽分の価格を5500ウォン(約620円)から6000ウォン(約680円)に引き上げた。ソウル市中区の中国料理店では、1月2日からチャジャン麺(韓国式のジャージャー麺)を3500ウォン(約400円)から4000ウォン(約450円)に値上げした。同店支配人は「昨年後半から小麦粉や野菜などの材料価格が2倍に値上がりし、人件費を差し引くと利益が出ない状態だった」と話す。

 全国のガソリンスタンドではガソリン小売価格が昨年末の1リットル=1422ウォン(約160円)から同1653ウォン(約190円)へと16%も上昇した。50リットルを給油した場合、昨年は7万1100ウォン(約8000円)だったが、現在は8万2650ウォン(約9330円)かかる計算だ。今年に入り、市内バス料金、都市ガス料金、大学入学金なども軒並み値上がりしている。

◆スタグフレーションの可能性

 最近の物価上昇ペースが速すぎ、政府も対応に苦慮している。物価高は経済にはマイナスだ。物価が上昇すると、家庭消費が低迷し、これが企業投資の減少、雇用縮小、家庭消費のさらなる縮小、内需低迷へとつながる悪循環が生まれるためだ。また、賃上げ圧力が強まり、企業経営と輸出競争力にも大きな影響を与えかねない。

 現在の物価水準は韓国銀行が定めた抑制目標を超えている。特に急騰する国債原油価格など外部要因で物価が上昇しており、物価を安定させる手段に乏しいのが現状だ。今年に入り、米国の景気低迷で輸出が陰りを見せ、内需も後退すれば、景気後退局面で物価が上昇するスタグフレーションが起きる可能性も高まっている。

 LG経済研究院の宋泰政(ソン・テジョン)研究委員は「もし経常収支が引き続き悪化し、内需が落ち込んだ状態で物価を抑制できなければ、スタグフレーションに陥る可能性も考えられる」と指摘した。しかし、韓国銀行幹部は「物価上昇が消費にマイナス影響を与えるのは確かだが、輸出が好調を見せており、景気が腰折れする可能性は高くない」との認識を示した。

■スタグフレーションとは

  景気停滞を意味する「スタグネーション」と物価上昇を意味する「インフレーション」の合成語。景気が停滞し需要が減少しているにもかかわらず、物価が上昇する経済現象を指す。韓国ではオイルショックの余波で1980年代に物価が28.7%上昇したが、国内総生産(GDP)が逆に1.5%のマイナス成長となる典型的なスタグフレーションを経験したことがある。スタグフレーションはいったん発生すると解決が困難だ。物価を抑制するため金利を上げれば景気が悪くなり、景気てこ入れのために金利を下げれば物価がさらに上昇するというジレンマに陥る。

鄭恵全(チョン・ヘジョン)記者

クム・ウォンソプ記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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