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2008年2月2日

 列島を揺るがす中国製ギョーザの中毒騒ぎで、北京のスズメ退治の話を思い出した。遠い昔に訪中した人から聞いた真偽不明の土産話である

日と時間を決め、住民が台所の鍋や食器を手にして路地に集まり、一斉に棒でたたく。スズメは驚いて飛び上がり、別の路地へ逃げるが、そこにも集団が待ちかまえて騒音を立て、スズメを追い払う。やがてスズメの群れは飛ぶのに疲れ、地上に落下して絶命する

建国の父・毛沢東得意の人海戦術である。いま問題のギョーザや串揚げも、かの国の安い労働力が生み出した食品である。下手に機械化するよりも、人手に頼る方が安上がりなのだそうである

人が機械の歯車みたいに使われるような工場で、どこまで勤労意欲が起きるのか、と思ってしまう。毒物混入の原因として、物騒な「人為説」がささやかれるのも、そんな深刻な事情があるからに違いない

「安物買いの銭失い」という。一夜にして信用を失ってしまった中国の工場を笑うことはできない。一円でも安く、と、同じように私たちも目の色を変えてきたのではないか。飽食列島のメタボリック症候群は深刻である。


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