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【季節風】後手後手…保育園に求めるもの

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02/01 08:07更新

　少子化が深刻な現状に反比例するかのように、保育園入園はいまだに狭き門だ。大都市では、認可園だけでなく認可外保育園でも保育園側が子供を「選ぶ」立場。保育園に通わせていると、「こうしてほしい」という要望も出てくるが、発言することで子供に悪影響がないか、果ては保育園を退園する事態に陥らないだろうか、こう考えるだけで何もいえない保護者も少なくない。

　身近でこんなことがあった。東京都港区で大手ベビー用品メーカーの関連会社が経営する認証保育所。３年前の開園以来すぐに定員が埋まり、待機児童のリストは一時数１０人にもなる“繁盛”ぶりだった。
　しかし、昨年１１月、保育士が近くの公園に子供たちを散歩に連れて行ったとき、子供たちの自宅や親の勤務先などが記入されているリストをリュックごと紛失した事件があった。長男（３）は約２年前に退園していたが、なぜかわが家のデータも入っていたようで、紛失から数日たってから電話で短い経緯説明があった。その後、園は保護者からの「説明が足りない」という声に押されて謝罪文書も郵送してきたが、誤字が目立つ急ごしらえの文章に誠意は感じられなかった。保護者たちは個人情報を紛失されたことよりも、園と関連会社の後手後手の対応に不信を募らせる。今も子供を通わせている母親の「でも、やめられないのよね…」の声がむなしい。
　数年前と比べても保育園の数は確実に増えているが、保育園はコンビニのように増やせばいいものではない。コンビニにのように、なんてコンビニに失礼だが、この２０年で急増したコンビニは各店舗が心の通ったサービスをしようと苦心している。そうしなければ生き残れないから。

　「とにかく保育園（＝預ける場所）がほしい」という需要があるのは現実だが、「こんな保育園がほしい」とまで要求できないのもまた現実だ。小さい子供が長時間を過ごす場所だからこそ、ハードだけでなくソフトの充実を切に願う。その根本に立ち返らなければ、「保育園を作れば園児が入る」時代は長くは続かないだろう。（東京編集局　古川有希）

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