政府の教育再生会議(野依良治座長)は31日、首相官邸で最後の総会を開き、最終報告を決定した。ただ、新たな提言は追加せず、昨年の第1~3次報告に盛り込んだ事項について「すべて具体的に実行されてこそ初めて意味を持つ」と政府に具体的な取り組みを求めるにとどめた。
安倍晋三前首相の肝いりで06年10月に発足した同会議はこれで役割を終える。学校選択に競争原理を持ち込む「教育バウチャー制」の全国一律導入を断念したほか、第三者機関による学校や教育委員会の外部評価など、鳴り物入りだった「安倍カラー」のテーマの多くは報告書から消えた。
福田康夫首相は総会で「議論の成果を十分に生かせるように提言のフォローアップに取り組む」と述べ、同会議に代えて渡海紀三朗文部科学相ら関係閣僚と有識者による別の会合を新設する考えを表明した。同会議は最終報告で、これまでの提言を「直ちに実施に取りかかるべき事項」と「検討を開始すべき事項」に分類しており、新機関が実施状況を点検することになる。
最終報告書は「徳育」の教科化や高校での奉仕活動、英語教育の抜本的改革などを、直ちに実施に取りかかるものとして挙げた。
半面、飛び級や大学への飛び入学を促す「6・3・3・4制」の弾力化は検討開始事項にとどめた。大学全入時代を迎え、最後まで検討していた大学入学に必要な学力をはかる「高卒学力テスト」導入も見送られた。【石川貴教】
毎日新聞 2008年2月1日 東京朝刊