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中国批判の石原都知事に五輪招待状 北京市から
今年8月に五輪を開催する中国・北京市から、2016年五輪招致を目指す東京都の石原慎太郎知事あてに、五輪開催期間中に北京訪問を促す招待状が届いたことが9日、分かった。同日、中国公使が都庁に招待状を持参した。都と北京は姉妹友好都市だが、石原知事がこれまで中国を厳しく批判してきた経緯もあり、北京側が石原知事を招待するのは異例といえる。
北京訪問について、石原知事は「正式な招待状が届けば、五輪開催中に北京に行きます」などと話していた。
都と北京は昭和54年に姉妹友好都市関係を締結。過去には、都が北京に海外事務所を設置し、人材交流などを行っていたこともある。
しかし、石原知事は就任後、「水爆まで作る国を日本が援助するのはばかな話」などと中国を批判し、平成12年には訪問先の台北市で「江沢民はヒトラー」などと発言。北京五輪については「ヒトラーの行った政治的なベルリン五輪に似ているような気がする」などと批判を強めていた。
これに対し、中国政府も「石原氏は悪名高い反中国分子。中国人民を敵視」「都知事が日本の侵略の歴史を美化している」とコメントするなど、関係悪化が懸念されていた。
都と北京の都市間レベルでも、石原知事が提唱した国際会議「アジア大都市ネットワーク21」で台北総会の開催をめぐり、北京が共同宣言への署名を拒否し、その後会議を脱退したままの状態が続いていた。
しかし、都が五輪招致を目指すことで、双方の関係に変化もみられるようになり、昨年10月には、石原知事が中国卓球協会会長と面会。東京五輪実現に協力を要請すると、中国側は「東京の魅力を北京の五輪委員会に伝えたい」と返答。12月には都議会本会議で、石原知事が「東京の友好都市・北京が大会を成功させることを祈念する」とエールを送る一面もみられた。
一方、都は10日にスイス・ローザンヌのIOC(国際オリンピック委員会)本部に五輪開催計画の概要をまとめた「申請ファイル」を提出する。申請ファイルは、開催都市としてふさわしいかどうかIOCが判断するための材料。都は環境問題への取り組みを前面に打ち出した開催理念や計画を盛り込んでいる。