◇「病院の権威守った」
京都大病院によるエタノール誤注入で死亡した藤井沙織さん(当時17歳)の両親が、大学や医師らの「事故隠し」を追及した訴訟。31日の大阪高裁判決は、8年にわたり真相解明を訴えた両親を失望させる結果となった。父省二さん(51)は「裁判所の正義とは何なのか」と落胆した。
小田耕治裁判長が「本件控訴をいずれも棄却する」と主文を述べると、原告席の省二さんと妻香さん(51)はぼう然とした。判決後、会見した省二さんは「裁判所は、沙織の無念より大病院の権威を守った」と判決を批判。香さんも「司法はどこまでも私たちの常識からかけ離れている」と怒りをあらわにした。
判決は「事故隠し」について「隠ぺいの意図や行動があったとは認められない。両親への事故報告までに時間がかかったのは否めないが、不法行為はなかった」と認定。香さんは「司法は真実に言及する勇気がなかった。悔しいが裁判は手段の一つ」と話し、医療過誤の遺族の心情を訴え続ける考えを示した。
京都大病院の内山卓病院長は「現時点で具体的なことを申し上げることは差し控える」とのコメントを出した。【川辺康広】
毎日新聞 2008年2月1日