◇県病を配置先、09年1月ごろめど八戸市民病院で暫定運航--県医療審で了解
同乗した医師が患者を治療しながら病院へ搬送するヘリコプター「ドクターヘリ」の導入をめぐって青森市と八戸市が綱引きを演じていた問題は、青森市の県立中央病院(県病)を配置先とした上で、まずは09年1月ごろをめどに八戸市民病院で暫定運航することが固まった。県病の受け入れ体制が整っていないというのが暫定運航の理由だが、折衷案で「青森派」と「八戸派」の両者の顔を立てたのが実情のようだ。【喜浦遊】
◇4月にも調整委設置、運営計画や基準作り
青森市内で1月30日に開かれた「第2回県医療審議会医療計画部会」で、県が(1)県病が基地(2)県病の救命救急センターの充実(3)運航対象は原則県内--などの案を提示。八戸での暫定運航実施とともに了解を得た。
配置先を巡ってはこれまで、青森か八戸かで医療関係者の意見が対立しており、県や津軽地方の関係者を中心に「全県地域をカバーしやすい」と県病を推す声が強かった。これに対し、南部地方の関係者は「救急体制が整っている」と八戸市民病院の有利性を強調。さらに、県病は10月まで立体駐車場の建設工事が行われ、ヘリポートなどハード面の整備が遅れることなどから、「八戸で早く運航したほうがいい」と主張していた。
今回の折衷案について、関係者は「地の利を考えれば県病だと誰もが思っている。でも八戸の顔も立てなければならない」と本音を語った。県医療薬務課は「暫定でまずスタートし、運航実績や国の対応を見ながら、より適切な配置・運航ができればいい」と話した。
八戸での暫定運航は1年余りとなる見込み。県は4月にも、救急医療の関係者をメンバーとするヘリの運航調整委員会を設置し、運営計画や基準作りを始める。八戸市民病院に必要な通信設備などの整備は補正予算で対応する。一方、県病でもヘリポートの建設や救急救命センターの拡充などを進める。
今後のドクターヘリのあり方について、同課の石岡博文課長は「各医療機関がチームとしてどう協調していくか、きちんとしたルールを定めることが大事」と語り、県病と、他の患者の受け入れ病院の連携を強めることが必要だとの認識を強調した。
毎日新聞 2008年2月1日