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主張救急医療調査 過酷な医師の勤務実態

公明新聞:2008年2月1日

空床情報提供システムの確立を

病院経営の重荷に

 公明党の救急医療対策推進本部が28日に発表した調査結果は、救急医療にたずさわるスタッフの過酷な勤務実態を改めて浮き彫りにした。対策を急がないと、救急患者が病院側から受け入れを断られ続ける問題は解消しないのではないか。事態は深刻である。

 調査は昨年(2007年)11月11日から12月10日にかけて、国会議員と地方議員が連携を取りながら行われたもので、各都道府県から任意に選んだ計1140の2次救急病院に対しアンケートしたほか、都道府県・政令市の関係団体(医師会、看護協会、助産師会、消防本部)202団体からヒアリングした。

 それによると、救急医療に対応する勤務医などスタッフの勤務ローテーションについて、27.4%が「極めて厳しい」、57.0%が「厳しい」と回答。8割以上の病院が救急スタッフに過酷な勤務を課している現状が明らかになった。また、救急医療が病院経営にとって「重荷である」と答えた病院は66.0%に上った。

 ヒアリング調査では、「夜間救急の多くが軽症の小児といわれており、2次・3次救急医療を担う病院勤務医の過重労働の一因となっている」「小児科・産科などの夜間救急診療ができない医療機関が多く、現場で搬送医療機関の選定に苦慮し、遠隔地への搬送を余儀なくされている」などの声が寄せられた。

 救急医療現場の過酷さとともに深刻なのは、一刻を争う救急医療にとって重要な、空床情報を消防機関に提供するシステムが整っていないことだ。調査では情報提供システムが「ない」が36.3%に上り、導入を予定しているところも1.9%にとどまっている。

 こうした現状は、消防本部の救急医療情報システムが十分に機能していない問題につながっている。総務省消防庁の17日のまとめによると、救急医療情報システムを備える43都道府県の745消防本部のうち、約53%の394本部が同システムを利用していないことが分かった。

 利用されない主な理由は、病院側が情報の更新を頻繁に行っておらず、「リアルタイムの情報でない」ため。消防庁によると、空きベッドや当直医などの情報の更新回数は、多くの病院で朝、夕の2回程度という。昨年(2007年)12月には、兵庫県姫路市の男性を救急搬送する際、救急隊員がシステムで空床を確認したのに満床を理由に断られるケースもあった。システムが使えないのもうなずける。

 病院が空床情報提供システムを整えられない、整えても頻繁に更新できないのは、スタッフ不足が原因なのだろうが、救急患者の“たらい回し”を防ぐには、早急にシステムを整備し、消防機関と医療機関の連携を密接にしていくことが何よりも重要といえよう。

対策をさらに推進

 公明党は、医療機関などの現場視察を踏まえ、昨年(2007年)末、厚労、総務両相に救急医療の体制整備に関する要望書を提出。来年度予算政府案で、医師確保対策や救急医療対策の大幅増額として反映され、診療報酬も来年度の改定で産科・小児科の報酬が加算される方針が決まるなど大きな成果をあげた。

 今回の調査を通し、救急医療の実態が把握できたことで、さらに踏み込んだ政策を打ち出していきたい。まずは空きベッドなどの情報を病院から消防機関へ提供するシステムを整備する法案づくりに全力をあげる決意だ。

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