◎中国製ギョーザ中毒 食が危なくては信頼得られぬ
中国製ギョーザによる中毒問題は、中国側のずさんな食品管理体制をあらためて浮き彫
りにした。中国当局は食品会社の調査に乗り出したが、北京五輪が迫る中、最も安全であるべき食品で、海外に毒をまき散らすようなお粗末さでは、国際社会の信頼は到底得られまい。徹底した原因究明とともに、中国製食品に対する不安がこれ以上高まらないよう有効な防止策を講じる必要がある。
千葉に端を発した中毒問題は、体の不調を届け出る人が各地で増え続け、問題を起こし
た中国の食品会社の原料で作った食品を販売する日本のメーカーもレトルト商品などの自主回収に踏み切った。学校給食での使用を取りやめるところも出ている。
こうした被害の広がりは、中国製の冷凍・加工食品が、それと認識しないものも含めて
日本の食卓に浸透し、もはや中国産抜きで日本の食生活が成り立たない現実を示している。中国では残留農薬とみられる死亡例も出ているという。日本でも中国国内と同様の対策を立てねばならないほど、食を通じた相互関係が強まっていることも確かである。
今回の中毒物質が混入した原因はまだ不明だが、製造過程で不備はなかったか、中国政
府に対して徹底した調査を求めたい。また、国内に持ち込まれた外国製加工品の安全性のチェックについて、農産物に比べて検査態勢が整っていないとの指摘もあり、サンプル検査などが十分だったかどうか追跡調査が必要だろう。
昨年来、中国製の練り歯磨きやがん具などで有害物質の汚染が次々に表面化し、中国は
消費者保護に関する国際会議を開き、対策強化をアピールしたが、今回の問題を見ても、生産現場への防止策が後手に回っている印象は否めない。急激な経済成長の陰で見過ごされてきた食品に対する意識の低さは、一朝一夕で変わるはずもないが、日本としては水際の検査態勢を強化しながら、他の国々と一体となって、中国に食品管理の徹底を促していくしかあるまい。
それとともに、食材の宝庫である北陸に住む私たちとすれば、この問題を機に、あらた
めて安全な地物の良さと、地産地消の大切さを認識したい。
◎県の入札制度改革 市町のお手本にならねば
能登島大橋の震災復旧工事をめぐる談合事件を受け、発注元の石川県が緊急対策会議で
違反者の違約金を引き上げる方針を示す一方、一般競争入札の拡大について踏み込まなかったのは残念である。
違約金を増やすことで一定の抑止効果は見込めるとしても、発注工事の規模も件数も多
い県が一般競争入札の拡大で足踏みしているような印象を持たれては、県全域で談合を排除するという機運も高まっていかないだろう。富山県でも罰則強化の方針を打ち出したが、県が率先して入札改革のお手本を示し、市町を引っ張るくらいの決意をみせてほしい。
県が違反者に科す違約金は昨年四月に契約額の10%から20%に変更され、さらに引
き上げられることになる。摘発が相次いでいるにもかかわらず談合が後を絶たないのは、リスクをおかしても利益が見込めるという「やり得」の意識もあるのではないか。だとすれば指名停止期間の延長と合わせ、「やり損」の認識に変えるだけの罰則が必要である。
県は一般競争入札の対象を昨年四月に「五億円以上」から「五千万円以上」、昨年十月
にはさらに「三千万円以上」に引き下げた。今回は予定価格が二千万円台で指名競争入札となった。指名競争から一般競争への移行は効果や実績を見極めたいとして段階的に実施するのも分からなくはないが、一気に対象を広げることも発注者の強い意思を示すうえで効果的である。七尾市発注工事に続く震災復旧事業での談合発覚は復興の取り組みに水を差すものである。その社会的影響の大きさを考えれば、県が談合と決別する断固たる姿勢を示す時ではなかろうか。
自治体は事件が発覚してようやく重い腰を上げる傾向も見受けられるが、事件が起きな
いからといって談合がないと考えているとしたら、あまりにも楽観的である。談合が表沙汰になって後手に回るより、県も含め、すべての自治体が事件を深刻に受け止め、その教訓を生かしたい。
県の緊急会議では、業界に法令順守の徹底を促すため、県内九地区の建設業協会に緊急
通知を行うことも決まった。県が思い切った対策を打ち出すとともに業界にも談合決別宣言を促してはどうか。