第8回 新風舎・平間至写真賞 総評
今回は過去最高の約450点が集まりました。認知度が上がり、毎回応募数が増えていることはとても嬉しいです。全体としては平均レベルがこれまでで一番高く、良い作品が集中していたため審査は長時間に及び、まさに接戦でした。
今までで一番見せ方を工夫して凝っているものが多く、応募者の力にうならされるシーンが度々ありました。驚異的だったのは、20代前半で自分の写真で本作りをして、製本して装丁まで手掛け、人に見せられる力をもつ方がいるということ。もちろん僕が若い頃と違って、今はカラーコピーやパソコンも発達していますが、それをちゃんと使いこなせている方が目立っていることに驚かされました。
デジタルカメラの影響か、写真の基礎体力をもっとつけてほしい方も見受けられます。前半にいい写真があって、後半になるとどんどん尻すぼみになる作品が多いのは非常に残念です。デジカメがいけないというのではありません。デジカメは簡単に撮れて簡単に出力できてしまいますので、フィルムで撮って自分でプリントする人に比べたら、安易に仕上げてしまっている印象を受けたのです。自分の思いに対してどういう色をつくり、どんな出力をしていったらいいのか、という点をより慎重にやっていくべきだと思います。
その影響からか、きれいな写真が少なく、ちょっとぶれているようなにごった写真が多い傾向にありました。デジカメのレンズは暗いレンズが多いので、室内で撮る場合はストロボをたかないとぶれやすくなります。ぶれるということは分かりにくくなるということです。ぶれることで表現できることももちろんありますが、それで失うもののほうが基本的には多く、伝わらないことも大きいということを分かってもらいたいですね。
また、自分らしい写真がどういうことなのかというのを極めて欲しいと思いました。例えばバッティングセンターとか、自分が好きなことを極めている方の想いというのは必ず伝わるし、おもしろいものになります。評価されている写真集を読みこんで、その表面だけではなくてうつっているものの奥にあるものを見つめましょう。
この「新風舎・平間至写真賞」はお茶目な賞であってもいいと考えていますので、今後は「これは一体どうやって撮ったんだろう?」と思えるような写真や、無茶苦茶・ハチャメチャな作品がもっとでてくることを期待しています。
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