第7回 新風舎・平山至写真賞



第8回 新風舎・平間至写真賞 審査結果発表 受賞のことば


第8回 新風舎・平間至写真賞 総評

新風舍社長+平間至今回は過去最高の約450点が集まりました。認知度が上がり、毎回応募数が増えていることはとても嬉しいです。全体としては平均レベルがこれまでで一番高く、良い作品が集中していたため審査は長時間に及び、まさに接戦でした。

今までで一番見せ方を工夫して凝っているものが多く、応募者の力にうならされるシーンが度々ありました。驚異的だったのは、20代前半で自分の写真で本作りをして、製本して装丁まで手掛け、人に見せられる力をもつ方がいるということ。もちろん僕が若い頃と違って、今はカラーコピーやパソコンも発達していますが、それをちゃんと使いこなせている方が目立っていることに驚かされました。

デジタルカメラの影響か、写真の基礎体力をもっとつけてほしい方も見受けられます。前半にいい写真があって、後半になるとどんどん尻すぼみになる作品が多いのは非常に残念です。デジカメがいけないというのではありません。デジカメは簡単に撮れて簡単に出力できてしまいますので、フィルムで撮って自分でプリントする人に比べたら、安易に仕上げてしまっている印象を受けたのです。自分の思いに対してどういう色をつくり、どんな出力をしていったらいいのか、という点をより慎重にやっていくべきだと思います。

その影響からか、きれいな写真が少なく、ちょっとぶれているようなにごった写真が多い傾向にありました。デジカメのレンズは暗いレンズが多いので、室内で撮る場合はストロボをたかないとぶれやすくなります。ぶれるということは分かりにくくなるということです。ぶれることで表現できることももちろんありますが、それで失うもののほうが基本的には多く、伝わらないことも大きいということを分かってもらいたいですね。

また、自分らしい写真がどういうことなのかというのを極めて欲しいと思いました。例えばバッティングセンターとか、自分が好きなことを極めている方の想いというのは必ず伝わるし、おもしろいものになります。評価されている写真集を読みこんで、その表面だけではなくてうつっているものの奥にあるものを見つめましょう。

この「新風舎・平間至写真賞」はお茶目な賞であってもいいと考えていますので、今後は「これは一体どうやって撮ったんだろう?」と思えるような写真や、無茶苦茶・ハチャメチャな作品がもっとでてくることを期待しています。
平間至サイン



永禮賢
大賞『bird of silence』



選評

美しくて品があり、洋書の写真集のような印象を受けました。日本的なものを解釈する新しい視点を持っています。見開きの見せ方やトーンのつなげ方、構成などが上手く、写真の基本的な力がすごくあるので、しっかり勉強しているのでしょう。プリントがきれいで、色のバランスやトーンもとても良い作品。撮っているのは日常の風景なのに、プリントによって日常の風景以上のものになっています。
構図も大胆で、特に水色のバスタブの写真が良いですね。微妙な淡いブルーのトーンや光と影など、無駄な思いや余分な力が入っていないぶん、シャープですごくキレ味のいい写真に仕上がっています。永禮さんはさりげないものを撮っていますが、視点が定まっていてしっかりしているから、何を撮っても魅力が出せる方だと思います。
アウトフォーカスの写真は、本人の思い入れや意図が入っていると予想はできますが、ちょっとおとなしい印象であまり伝わってこないのが残念です。

受賞のことば

『bird of silence』はごく日常の写真です。
個人的日常の写真というと主観的で閉じられたイメージと捉えられがちですが、それは誤解です。私的であることはいまも変わらず撮影の重要なスタンスのひとつであるし、そもそも写真において私的であるとか政治的であるとか、その他もろもろを隔てる壁というものは本質的に存在し得ないものだと思います。
この作品で、皆が個人的なレベルでのみ感じている〈日常に潜む形のない景色-bird of silence〉を喚起できたなら、僕が思う価値あるコミュニケーションの第一歩です。


佐藤由美子
優秀賞『探していたもの』


選評

アルコール依存になった父親が手術をしてから亡くなるまでの2年間をまとめたモノクロ写真。すごみが胸に伝わってきました。男性が撮ったのかな?と思えるような強烈なインパクトがあって、人生って何だろう……と考えさせられました。
特にしびんの写真はインパクトがあります。最後の写真もこのお父さんの人柄が伝わってくるようですごく良いですね。遺影にこんな写真があったら泣けてくると思います。
今回は佐藤さんの他にも「死」を扱った写真が多かったのですが、川内倫子さんがわかりやすく「死」という題材を扱った影響をものすごく感じました。昔は死んだ人の顔がうつっている写真を撮る人は少なかったのですが、今回はいくつかありましたね。
回想している言葉は良いのですが、タイトルが少し弱い点は残念です。また、カラーだったら痛い感じがもっとリアルに伝わって、このお父さんを直接知らない人でも泣けたかもしれません。



筑紫拓也
優秀賞『ILLUMINATIONS』


選評

全部逆さ写真で構成された、個性的な作品。企画がとてもおもしろいですね。「これは何なんだろう」と思えるようなものや、うつりこみがあって天地が分からないものが良かったです。色のトーンがきれいだし、タイトルもいいです。
見ているうちに、自分がどっち向きに写真をみているのか分からなくなって、真剣に見れば見るほどその見方が正しいのか間違っているのか分からなくなりました。受け手の上下感覚をそのようにあやふやにさせる点が面白い作品です。
見た瞬間にすぐに「逆さだ」と分からないものだけで構成するともっと良くなるはずです。もっと錯覚をおこすような強さがあれば、それだけで押し切れると思います。


齋藤康晴
優秀賞『憂国の士』


選評

日本陸軍現役兵の80才の男性が実際に靖国神社にいくドキュメンタリー写真。昨年8月15日に靖国神社でこの男性を見かけたことをきっかけに撮りためたもの。
今年はまさに終戦60周年。戦争経験者の方は今80歳くらいで、あと10年もしたら戦争を知っている人はいなくなってしまいます。こういう人を写真におさめたり、実際に経験した人の言葉を残すことはものすごく貴重なこと。僕も写真や言葉で、残していくべきものを伝えていきたいです。
戦争にでていくということは積極的に死にむかっていくということですね。軍服や刀のかっこよさから、彼の誇りと、生き残ってしまった憂いが心に伝わってきます。過激ではありますが、現代人にはないこのキリッとした背筋ののびる感じは、今必要とされている生き方なのかもしません。だから気合いが入っているところだけ、オンとオフでいうとオンだけで構成するともっと良いと思います。

受賞のことば

写真はドキュメントだ。写真は現実をありのままに提供するために使われるもの、現実を写し出すことで何らかの効果、人の心を動かす力を持っている。 世の中の出来事は記録されず、人の心の中からも忘れ去られてしまえば無かったも同じなのだ。
「軍人として生きているのです。」
敗戦後60年が経過した今も、軍人として生きることとはいったいどういうことなのか?開伍長は純粋な愛国者である。愛国と聞いて短絡的にアレルギー反応を起こし、軍国主義や右翼を連想する人は勘違いしないでもらいたい。愛国が問題なら愛郷心とでも言えばいいのか? 唯唯、国のために命がけで戦った人たちに対して感謝の誠を捧げるために参拝しているだけなのだ。
戦前の日本を否定し自虐史観を刷り込まれてきた現代日本人には到底理解できない者もいるであろう。 軍人の生きざまという貴重な歴史を記録していることは写真家名利に尽きるし、この世に存在する限り私は撮り続けていく。


アスワ打打
ハミングバード賞『東京のバッティングセンター』


選評

バッティングセンターを撮影した作品。バッティングセンターが好きだ!
という気持ちが本当に伝わってきます。トロフィーの写真など、すごく昭和的です。これからどんどん減っていき、さびれていくであろうバッティングセンターへの思いとノスタルジーがよく表現されています。この朽ちていく魅力に焦点をおいた着眼点がおもしろいですね。
「写真」は、一時代が終わり、なくなっていくものをとどめておきたい、という人にとってすごく合っているメディアです。それを残しておきたい、と愛おしむ気持ちがひしひしと伝わってきました。

受賞のことば

この度の授賞、平間至審査委員長はじめ審査をしていただいた皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
報せを受け取り、嬉しいと同時に至極恐縮してしまいました。それというのも、私は写真を撮ることに関してはズブの素人であったからです。所謂バカチョンしか持ったことがなく、より専門的なアナログカメラはもとより、最新のデジタルカメラさえも手にしたことがありません。そんな訳ですから、「露出って何のこと?」というレベルの私の写真が、自らプリントを手がけるような方々の作品に混じっているのを見たとき、なんだか申し訳ないような気がして、ひどく赤面したような次第なのであります。何せ私の写真は「55ステーション」でプリントしてもらったサービス版で、右下に日付の入っているような代物なんですから。ただひょっとすると、スキルに捉われないアプローチが、かえって奏功したものかもしれません。
いずれにいたしましても、選考いただいた方々の寛大なる御見識に対し、心より敬意を表すものであります。とりわけ総評の中にも言及をいただきましたことは、大変嬉しく、一表現者としてのささやかな自信を授かりました。この賞を激励と銘記して、今後の糧にしてゆきたいと思っております。


天田輔
ハミングバード賞『バス、ドッグ、チルドレン』


選評

犬の写真が印象的で、すごく良いです。開いた気持ちで撮っているからか、写真がサイズ以上に大きく見えます。このサイズも心地いいし、空気感もふんわりとしていて良いです。また、こだわっているものがよく撮れています。
リフレインしていく構成にもこだわりが感じられて面白いし、構図や寄ったり引いたりするフレーミングの仕方、編集、まとめ方も上手です。優秀。自分でさらに次のステップに進んでほしいと思います。

受賞のことば

自分では「やー、傑作だ」なんつって作っているものの、実はその反面、この空気感の良さは分かってもらえるのだろうか、とか、この構成はひょっとしてやり過ぎじゃないかな、とか不安に思う心がもう半分あって。だからこうして賞をいただけることは次の制作の大きな後押しになってくれてうれしいです。ありがとうございました。


岩田俊
ハミングバード賞『Darling』


選評

ベンチで待ち合わせしている男性の写真。これはおもしろい!見せ方やレイアウト、カットバックのはさみ方も上手です。岩田さんは確信犯でしょう。
断片的に見るよりも、あたまから丁寧に見ていくと、自分も一緒にリアルタイムで現場を見ているような気持ちになるので、時間経過を共有体験するとおもしろいですね。 女の子のアップ写真など、説明的でないところが良いです。誰もいなくなっても彼の思いは変わらない=解決はしていないというところに、受け手がいろんなことを想像できる余地があって面白かったです。感情移入しやすい共感できる作品。

受賞のことば

素直に嬉しいです。僕の創ったものが“作品”として観ていただけたこと、それを評していただけたこと、そしてコメントをいただけたこと、すごく嬉しくて、本当に嬉しくて光栄なことだと思っています。でも僕には足りないものばかりで歯がゆいです。ですからもっと写真を知りたいです。技術も観る目も、正直他の受賞者の方の作品を観て何か自由に感じました。今までずっと他の人の作品を“シュール”だと“つまらない”と感じていました。でも自分の作品と他の受賞者の方の作品を並べて観ていて感じました。シュールとかつまらないとか感じていたのは、僕が、僕に、観えていなかっただけなんだと、なにかすごく恥ずかしいです。でも気付いた以上、僕はもっともっともっと自由になります。もっともっともっと内側を観せます。今まで以上に生活の中から感じることやものを全部全部写真にします。ありがとうございました。


内倉真一郎
ハミングバード賞『震える瞳』


選評

生と死がテーマの作品。「死」を扱い亡くなられた方を撮った作品が多いことも今回の特徴として挙げられます。最初の赤ちゃんの写真はインパクトがありました。プリントが上手ですね。1人で生まれて1人で死んでいく孤独感や、音がない印象を受けました。集団でいても常に孤独感がある、というような。
枚数は22枚だとちょっと少ないですが、流れは良いです。バスの運転手さんを後ろから撮った写真が良かったです。

受賞のことば

恐怖する時と、懐かしさを感じる時、僕は写真を撮ります。 これらを感じた時、僕は言葉にはできない思いを作品にすることによって癒され、次のステップに行くことができます。
僕にとって写真は命を感じること、自分を表現できる大切な居場所。私事な作品ですが、このような賞をいただいて大変うれしく思っております。


奥村久美子
ハミングバード賞『isokon』


選評

廃虚を撮ったポラの写真。ロンドンの同潤会アパートとでもいえるような味があり、ただの廃虚とは違って雰囲気がいい。かわいい作品ですね。
アングルを自分で限定している点が良かったです。余分なものをいれない定点的な見方で、ひとつの平面をとらえています。人が廃虚にひかれるのは、人工物が朽ちて、また自然にもどっていくという過程の面白さなのでしょうか。廃虚という人工物と自然の共生が表現されています。

受賞のことば

ハミングバード賞ありがとうございます。
これをはげみに写真を続けていきたいと思います。
自分のスタイルを確立できるようにがんばっていきたいです。



K-co
ハミングバード賞『Girls in the TOILET★★★』


選評

発想や企画が面白い。デジカメではなくてフィルムで撮ったほうが良かったと思います。トイレ姿の女の子にエロスを感じているわけではないというところが面白さでもあるのですが、僕としてはせっかくなので(笑)もう少しエロに撮ったほうが面白かったのではと思います。思いつきが写真にも如実にでてしまっているので、エロスを感じて撮ったらもっと面白かったと思います。
企画は良く、本としては非常に面白いです。そのオリジナルな企画性をもうちょっと写真の上でつめてリアリティーをだしていくと、良かったと思いました。

受賞のことば

素直な感想は、もっともっと頑張らなくては!! という気持ちです。もちろんこのハミングバード賞をいただいたことは光栄です。何しろ初めてこのようなコンテストに応募したのもありますし、自分の中で1つのプロジェクトの中でこんなに写真を撮るのも初めてだったので……。
1人のモデルさんにつき200枚近く撮りました。すべていい経験です。 でも、これを生かし、もっと前進していきたいです。 やっぱり写真って面白いです!! ありがとうございました。



上川純華
ハミングバード賞『もそもそ、こそこそ、ふわり、ぽたり、ぐちゃり』


選評

プリントがきれいで、コンクリート・虫・鳥・水・雪・花・ビルの窓などの粒子感と細かさが特徴的な作品。鳥がたくさんいたりする過剰さから、地震の前のような不吉な空気や不安を感じます。このちらちらした感じが上川さんらしさで、特に2匹の犬の写真が良いですね。
タイトルがつながっていかない感じがしました。侵食・繁茂、そんな印象を受けたので、不条理観のあるタイトルなら良かったのではと思います。モノクロがしっくりくる作品です。この大きさもいいですね。

受賞のことば

ハミングバード賞ありがとうございます。
平間至氏に写真を観てもらえたということが何より嬉しかったです。
だいぶ前(何年か前)、平間氏がテレビでおっしゃっていた、「こだわりのないこだわり」ということばが大好きで、私にぴったりの言葉でした。
このタイトル『もそもそ、こそこそ ふわり、ぽたり、ぐちゃり』は、写真では表現できない「音」or「におい」(ここでは「音」にしましたが)を入れたかったことと、HappyでもUnhappyでもない雰囲気を出したかったからです。
写真を送った後には、「あのタイトル、やめといたらよかったのに」と思っていましたが、今は、「うん、いいじゃん」と思っています。



佐々木秀二
ハミングバード賞『最果て』


選評

今回の選考で1番大きいサイズの作品。表現と写真の大きさが合っていました。迫力はありますが、タイトルにしてはものたりない感じはあります。「最果て」というよりは内面・近さ・渾沌を感じるので、焦点を絞ったらもっと良いと思いました。モノクロ写真特有の不安感、不条理観はよく表現されています。
特にイカの写真と、鳥居の写真が良いです。プリントが上手く、プリントで絵として写真をつくっている印象を受けました。

受賞のことば

この度は、ハミングバード賞に選出していただき誠にありがとうございます。選んでくださった、平間至さん、新風舎の方々に厚く感謝しております。
それから、この作品を作るために旅をした途中でお世話になった人たちにも、ここで改めて感謝したいと思います。この作品を作ることで、僕自身写真以外でもいろいろ学べたと思います。この作品は結構長い時間をかけて作ったのですが、途中、迷いや虚無感に苛まれたのですが、今はこの作品を作ってきっと間違いはなかったのだろうと思っています。とても、自分自身にとって、思い入れの強い1枚1枚になっています。
ハミングバード賞受賞によって写真を撮り続けるんだという気持ちがまた、沸々と沸いてきています。自信と悔しさも一緒に。今現在、新たに作品を作っております。その写真がまとまってきたら是非、また、平間至賞に応募させていただこうと思っております。今回はどうもありがとうございました。



泰介鈴木
ハミングバード賞『風景写真』


選評

被写体の彼のキャラクターがいい! これは企画としては珍しいものではありませんが、彼のキャラクターによって、表情・格好・たたずまい・存在感など、ぐっと良くなっています。表情が意外と普通なところが、ねらってなくて良いですね。
こういうことを企画するときは普通は自分が行けないところの風景を撮るのですが、これが面白いのは、なんてことのない日常を背景としてしまった点。例えば家族の写真だったり、日常に近ければ近いほど面白みがあります。
また、男性にあたるライトと背景の現場の光が全然あっていないところも面白いです。リアルではなくするクールな面白さがありました。



Q
ハミングバード賞『Stray Cat』


選評

写真の全部に言葉をつけた作品。いろんな写真があって幅広く、1つ1つに違った表情がありました。あたたかいものが流れているし、可能性を感じます。
言葉のつけ方が上手いので、書くことの方が好きなのかもしれませんね。どちらかというと言葉のほうが面白いです。Qさんが言葉をかいて、誰かの写真とコラボするのも面白いでしょう。これからの成長が楽しみで、期待できます。満身の力で写真を撮りためていってほしいです。

受賞のことば

うれしかったです。
写真はこれからもずっと続けていくつもりなので、また応募しようと思っています。
その時に大賞をもらえるように今からウデを磨きたいと思います。
精進しますので、また、よろしくお願いいたします。



津田明生子
ハミングバード賞『さっきまで』


選評

強い写真がいくつかあり、それがすごくきれいで良いです。プリントの淡いトーンの中に寂しさを感じますが、透明感もあり、そこにあたたかさ、やわらかさ、やさしさが存在しています。とても優しい人が撮る写真だと思いました。
前半はいいのですが、もうすこし最後まで語ってほしかったです。編集が弱いので、そのあたりが改善できるようになるともっと良くなると思います。

受賞のことば

ありがとうございます。
大変嬉しく思います。
これからも写真に泣き、笑っていたいです。



松木宏祐
ハミングバード賞『生と死と性と私の精子に捧ぐ青春時代』


選評

展開の早さ、中身から「青春」がすごく伝わってくる作品。銀杏BOYZを思い起こしました。カラーコピーではなくてプリントし直すと、より青春感が伝わるでしょう。若干ボリュームが多いですが、21歳でここまで編集ができるのはすごいです! 僕が21歳のときにこれができたかと考えましたが、絶対作れませんでした。伝わってくるものがあります。「平間さんのお仕事はうらやましいです」とコメントがついていますね。いいだろう(笑)!



丸山みなみ
ハミングバード賞『ねこのきみ』


選評

猫が人のように見えてくる存在感があるのは、丸山さんがこの猫を擬人化して愛しているからでしょう。その様子が写真にでていて、受け手にもそれがすごく伝わってきます。かわいらしい。家族の一員である猫への、女性らしい感情移入がよく表現できています。
特に前半が良かった。いい写真を前にもってきているということは、見る眼はあるということ。基礎体力をもう少しあげて、後半でも保てるようになればもっと良くなります。

受賞のことば

大好きな「ミーちゃん」写真集の平間さんの賞で、入賞できたのがとてもうれしいです。 実家の猫たちにも受賞したことを見せました。
猫たちにはわからないだろうけど良い記念になったと思います。
ありがとうございました。



溝原聰
ハミングバード賞『遍照金剛』


選評

モノクロ写真。表現者としての誠実さを感じます。被写体の選び方、構図の作り方、撮り方、プリントのテクニック、そしてベテランの魅力としての丁寧さと深み。どれも非常に上手く、バランスが良いです。デジカメが増えてきている現代だからこそ、逆にフィルムで撮って現像もできる、プリントが上手い方が評価される時代になっている気がします。
テーマがすこし分かりにくいですが、死生観は伝わってきました。難しい構図でも基本的なラインができているから魅力を出せていますね。特に桜の写真が良いです。画面のなかに愛があふれているから、溝原さんは撮るときに被写体を照らすことができる方だと分かります。

受賞のことば

若い皆さんの斬新な受賞作品の中に加えていただき感謝しています。若いときには人生に夢と希望があり、そして試行錯誤しながらも無我夢中で生活を送っていくわけですが、ふと気がつくと人生も終盤にさしかかり、定年退職も間近に迫ってきています。つい「俺は何のために生きてきたのか」と考えさせられる時があります。
とは言ってもまだまだ残された人生が20年以上もあり、十分色んなことができるわけです。そうした意味において、むしろこれからの人生の方が大切なのです。惰性で終らせたくない、何か目的意識を持ってと思うのは私だけではないはずです。
こうした色んな想いの中からこの作品が生まれてきました。
これで完成ということではないと思いますが、今までに撮った多くの写真の中から作品にしてみました。





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第7回大賞受賞作2冊同時刊行・写真賞フェア


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