彦根市立病院(赤松信院長)は、医師不足で昨年3月から分べんの取り扱いを休止した産婦人科で、県内初の院内助産所を2月1日から開設する。非常勤の産婦人科医1人が確保できたうえ、助産師15人の分べん研修が終わり、態勢が整った。2人目以上のお産で通常分娩が可能な出産リスクの低いケースに限り、年間100人の分娩に対応できるという。【松井圀夫】
産婦人科は、医師3人の時は年間550件の分娩があったが、昨年3月以降は40代の医師1人に。このため、外来診療は従来通りだが、分べんや手術、がんの治療などは軽い場合を除き、他病院を紹介してきた。これを受け、出産を控えた母親を中心に不安が高まり、市は湖東地域医療対策協を設置し、医師確保対応を協議。市立病院も院内助産所開設に備え、先進的な神戸などの病院で助産師の分娩研修を重ねてきた。
院内助産所では、医師ではなく、助産師15人が中心になって妊婦健診や出産を介助する。常勤医師1人と、新たに確保した週1回勤務の非常勤医師1人は万一に備える支援態勢を取る。双子以上や逆子のほか、前回が帝王切開の場合などリスクの伴うケースには対応できないという。
3室あった分べん室の1室(約35平方メートル)を和室に改造。妊婦が「従来の分べん台」か「4畳半の畳の上」かを選べるようにした。
対象は4月以降の分べんで、4~6月の出産予約や問い合わせが数件あるという。
同病院は「リスクが低いケースに限るが、院内助産所で分娩ができるようになった。分べん希望の増加に対応するため、助産師の増強と合わせて、今後も医師確保に努力する」としている。
毎日新聞 2008年1月31日