相馬市で30日、労災事故で男性作業員が負傷し、救急医療用ヘリコプター「ドクターヘリ」が初めて出動した。病院や消防の連携に混乱はなかったが、男性は搬送先の病院で死亡が確認された。
相馬署によると、30日午前11時15分ごろ、相馬市初野の護岸工事現場で、同市中村、土木作業員、山川政浩さん(55)が同僚が運転するバックホーとコンクリートの間に挟まれ、頭の骨を折った。
相馬地方広域消防本部は「意識レベルが低く、生命の危険がある」とし、現場近くに高次救急病院がないことから、県立医大にドクターヘリの出動を要請。要請4分後に、ヘリは医師と看護師を乗せて離陸し、14分間で現場近くの相馬港の多目的広場に到着した。
医師は緊急処置を施した後に再離陸し、心肺蘇生などをしながら同医大ヘリポートに戻った。救命救急センターで集中治療したが午後1時14分、男性の死亡が確認された。
相馬地方広域消防本部・通信指令係の脇本昌弘副主任主査は「地元で病院を選定する時間などを考慮すれば、医師に直接来てもらった方がよかった。ヘリを要請した判断は間違いなかったと思う」と話した。同医大は「患者には残念な結果に終わったが、消防と連携して十分な処置をとることはできたと思う」と話した。【西嶋正法】
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◇ドクターヘリ出動の経過◇
11・15 相馬市で労災事故発生
・25 救急車が事故現場に到着
・29 消防本部がドクターヘリ出動を要請
・33 ドクターヘリが県立医大を離陸
・47 ドクターヘリが相馬港多目的広場に着陸
12・ 4 患者を乗せたドクターヘリが再離陸
・20 ドクターヘリが県立医大に到着
・26 救命救急センターで治療を開始
毎日新聞 2008年1月31日