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激しい吐き気、しびれる体 好物のギョーザ、命脅かす

2008年01月31日03時05分

 夕食のテーブルにのぼったギョーザは、農薬入りだった――。千葉、兵庫両県の3家族計10人が、下痢や嘔吐(おうと)の食中毒症状を訴えて入院していた。原因は中国製の冷凍ギョーザで、販売したのは消費者の信頼が売り物の生協や大手食品メーカー。「食の安全」を脅かす事態が、家族だんらんの食卓を直撃した。

 千葉県市川市の家族5人が問題のギョーザを食べた22日夜。近所の知人男性の家に、子供の一人が「トイレを貸してほしい」と飛び込んできた。

 男性が「おかしいな」と思い、この家族宅を訪ねると、長女(18)らが下痢や嘔吐を繰り返し、「おなかが痛い」「寒い寒い」と震えていた。男性が119番通報した。

 家族の母親(47)の症状は当初、軽いようにみえた。男性らが事情を聴くと、母親は「ギョーザを食べ終わってから、みんな調子がおかしくなった」と話し、味については「問題なかった」と答えた。ギョーザは子供の好物で、食卓によく並んだという。

 兵庫県高砂市で被害にあったのは自営業男性(51)と妻(47)、高校生の次男(18)の3人。

 妻と次男によると、今月5日午後6時半ごろ、冷凍ギョーザを調理し、3人で食卓を囲んだ。

 最初に食べた妻は、強い苦みが口の中に広がり、ツンと鼻に抜けるようなにおいに驚いた。すぐに吐き出した。次男も苦みを感じたが、パッケージに「ハーブにんにくを使っています」と書かれていたので「こんなものなのかな」と10個以上食べた。

 次男はまもなく、めまいを訴え、横になった。続いて激しい吐き気をもよおし、スーパーの袋にもどした。両目の焦点が定まらず、体がしびれて手足が動かなくなった。

 次男は病院に搬送された。救急車に同乗した妻が「わかる?」と呼びかけても「あー」とうめくだけだった。この直後、男性と妻も吐き気に襲われ、嘔吐と涙、鼻水が止まらなくなった。3人は入院し、胃洗浄の処置を受けた。次男の症状が特に深刻で、医師からは「このまま意識が戻らない可能性もある」と伝えられた。

 次男は翌6日、意識を取り戻し、15日に退院。妻は17日に、男性も間もなく自宅に戻った。

 次男は「呼吸もまともにできないし、自分はどうなってしまうんだろうと不安で苦しかった。農薬が入っていても目に見えないし、食べる側としては防ぎようがない」と憤る。

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