大阪府と兵庫県の29病院で研修する臨床研修医100人以上が、医師法で禁止されたアルバイト診療をしていたことが厚生労働省近畿厚生局の調査で分かった。研修医は医師免許取得後1~2年目の医師で、研修に専念できるよう月30万円程度の収入が保障されている。研修医らは「先輩に頼まれた」「金がほしかった」などと話しているという。これほど大規模な違法アルバイトの判明は初めて。同厚生局は調査を継続しており、今後も違反者は増える見込み。29日現在、大阪府は26病院で90人以上、兵庫県は3病院で12人。最も多いのは、大阪市立総合医療センター(研修医40人)の14人。大阪大病院は11人でいずれも研修最終年の2年目。違反者には阪大出身者が目立つという。
阪大はアルバイト期間に応じて研修期間を1~3カ月延長する方針。昨年4月に9人のアルバイトが発覚した兵庫医科大病院でも、さらに1人見つかった。
アルバイトは、別の民間病院での夜間・休日の当直など。当直1回当たり3万~5万円の報酬が多く、月約20回行った研修医もいた。
アルバイト診療に罰則はないが、同厚生局は悪質なケースについて、研修病院に補助金の辞退を求めるなど処分を検討する。同厚生局は「研修病院はほとんどが公的な病院で、研修医の管理に問題がある。アルバイト先の病院も、医師免許で研修医かどうか把握しているはずだ」と問題視している。【根本毅】
毎日新聞 2008年1月30日 大阪朝刊