中央社会保険医療協議会(中医協)の土田武史会長は30日の総会で、08年度診療報酬改定の焦点となっていた開業医の再診料を引き下げる厚生労働省案について、実施を見送る調停案を提示した。代わりに「相談料」として再診料に上乗せできる「外来管理加算」(520円)の適用要件の厳格化など、開業医の収入を総額四百数十億円減らす4案を示し、それで浮く財源を病院に回す考えを説明、いずれも了承された。厚労省は、昨年末に決まった1000億円強の医師の技術料増額改定分と合わせた約1500億円を、勤務医の負担軽減費として病院につぎ込む。
また、土田会長は、病院(200床未満)の再診料を引き上げ、10年度の次回改定では初・再診料を抜本的に見直す考えも示した。
調停案などによると、08年度以降外来管理加算は「5分以上の相談」に限り、開業医570円、病院470円と差がある75歳以上の患者の加算も520円に統一する。軽いやけどなど簡単な治療への報酬も廃止する。これらにより再診料を減額せずとも、開業医の収入を四百数十億円減らすことが可能という。
厚労省は約1500億円の勤務医対策費を(1)手術料アップなど600億円(2)事務補助員配置350億円(3)妊婦の救急搬送への加算など150億円(4)小児専門病院の報酬上乗せ50億円--などに配分する。
病院の570円に比べ710円と高い開業医の再診料について、厚労省は20円下げるなどして約400億円を捻出(ねんしゅつ)し、診療報酬のプラス改定だけでは足りない医師不足対策費を確保する意向だった。【吉田啓志】
毎日新聞 2008年1月31日 東京朝刊