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2008年1月31日

 七尾湾を巡る遊覧船がある。食祭市場横の波止場を出て能登島大橋の下をくぐって和倉を横目にツインブリッジまで航行して七尾に帰るコースだ

能登半島地震の直後に乗ったことがある。大橋の破損状況は素人目には分からないが、海上高く組まれた足場に難工事の苦労を思った。生活と観光道路としての大切な橋の一日も早い修復を願ったものである

その工事に地元業者の談合が組み込まれていく現実までは見通せなかった。今回の大橋の談合容疑は、別の事件で逮捕されていた業者の証言で明るみになったという。「わが社だけではない」との意味の裏に広がる業界のヤミの深さを見る思いだ

もう一つ印象的な光景は鵜(う)などの海鳥が生息するという崖地の崩壊だった。捕獲場所は別になるが、昨年末の祭りでは鵜の確保が遅れてハラハラさせ、暗やみの海辺で行われたご託宣は「慎重に進めばいい年に」とのことだった。何やら皮肉である

能登には神事や祭りなど多くの伝統が根強く残っている。が、談合までを「伝統」の一つのように見る甘さはないのか。陋(ろう)習は断固絶たなければ「いい年」どころか、真の半島再生はない。


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