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2005/07/22 21:09 更新
「防ぎようがなかった……」、ネット銀不正引き出しの被害者語る (1/3)
7月上旬にかけて、ネット銀行の不正引き出しが多発した。最も高額の被害にあった被害者は言う。「狙い撃ちにされてはどうしようもない……」
「スパイウェアで500万円も盗まれるなんて……」。オンラインショップでインテリア商品を販売するT社長はため息混じりに口にした。7月上旬にかけて、ネット銀行の不正引き出しが相次いだ。PCに仕込まれたスパイウェアによって、口座番号や暗証番号が盗み取られていたのが原因。全国銀行協会(全銀協)によると、現在のところ3行で合計940万円の被害が明らかになっている。
T社長は被害者の1人。最近取引を開始したインターネット口座から500万円をかすめ取られた。一連の被害で最も高額なケースだ。
7月5日の朝、T社長がいつものようにメールを確認していると、銀行から身に覚えのない電子メールが届いた。
「7月5日受付のメールアドレスの変更手続を完了しました」
自身で変更した覚えはない。この20分後、銀行のサポートアドレスへこの問題の調査を求めるメールを出した。なりすましに遭ったのかもしれない。不安も頭をよぎったが、銀行がすぐに対応してくれるだろうと考えていた。
ネット銀行を活用するT社長のPC
お昼過ぎ、電話がかかってきた。銀行からだ。「複数回にわたって高額の取引が行われているが、問題はないか?」
そんなはずはない。何かの間違いでは……。
この日、3回に分けて見知らぬ3口座へ振り込みが行われていた。210万円、200万円、90万円――なりすましによる不正引き出しが行われたのは明らかだ。初めて事態が飲み込め、銀行に至急対応を行うよう伝えた。
銀行側の対応は遅く感じられた。3時間が経過しても調査の進展報告がこないのだ。銀行は事態の重大さを分かっているのか? 業を煮やしたT社長は、口座のある支店に直接出向き状況の確認を求めた。それでもらちがあかず、自ら110番通報した。
2日後、スパイウェアを利用した同様の手口が報告されていたことから、T社長のケースでも警視庁ハイテク犯罪対策総合センターが捜査を開始した。
「こんな手口、考えもしなかった」
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[堀哲也,ITmedia]
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