診療所の再診料引き下げ、見送り

 2008年度の診療報酬改定で大きな争点となっていた診療所の再診料の引き下げについて、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は1月30日の総会で、診療所の再診料は引き下げず、逆に病院(200床未満)の再診料を引き上げることを決定した。診療所の再診料をめぐる支払側と診療側の主張はこの日も平行線をたどったため、最終的に公益委員が判断を下した。

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 この日の総会で決定したのは、▽診療所の再診料は引き下げない、▽200床未満の病院の再診料を1点以上引き上げる、▽外来管理加算を算定するには5分程度の説明を必要とする要件を加える、▽デジタル映像化処理加算は2年程度の経過措置を設けた上で廃止し、経過前は点数を引き下げる――など。

 現在、診療所の再診料は71点(710円)で、200床未満の病院の57点(570円)よりも14点(140円)高い。このため、病院の外来への軽症患者の集中を解消することで病院勤務医の負担を軽減する必要性が指摘されていた。
 また、診療所の再診料を引き下げることによって生まれる財源を産科や小児科などの勤務医対策に回す必要もあった。

 しかし、診療所の再診料をめぐっては、会員の半数以上を開業医で占める日本医師会(日医)が強く反対してきた。この日の総会でも、日医は診療所の経営悪化や開業医の士気低下による地域医療の崩壊などを理由にこれまでと同様の主張を繰り返した。
 竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「心苦しいが、再診料の引き下げ、外来管理加算の見直し、デジタル映像化処理加算の廃止、いずれも反対する立場を維持せざるを得ない」と述べた。

 土田会長は「もう少し両者の溝が埋まるかと思ったが、依然として隔たりが大きい」として、公益委員の立場から診療所の再診料は引き下げずに、病院の再診料を引き上げる最終案を示し、これに支払側と診療側ともに合意した。

■ 勤務医の負担軽減策に約1,500億円
 
次期診療報酬改定では、医師不足が深刻化している病院勤務医の負担を軽減することが重点課題となっている。厚生労働省は、病院の産科や小児科などに勤務する医師の過重労働を軽減するための費用として、約1,500億円(医療費ベース)が必要であるとする試算をこの日の総会に示した。

 これによると、薬価を除く診療報酬本体のプラス改定部分による財源で約1,000億円(同)余りあるが、なお500億円程度の財源が不足している。
 このため、厚労省は検査判断料の引き下げと軽微な処置の包括化によって約200億円、残りの約300億円は(1)再診料の引き下げ(約120億円)、(2)外来管理加算の算定要件の見直し(約240億円)、(3)デジタル映像化処理加算の廃止(約100億円)――の3点で工面する考えを示していた。

 今回、診療所の再診料引き下げは見送られたが、再診料の引き下げで見込んでいた120億円分は診療報酬の点数調整などで手当てできる見込みだという。


更新:2008/01/30   キャリアブレイン

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08/01/25配信

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