2008年01月10日
「輸入食品に日本は潰される」 山田正彦 著
この本を読むと、わが国が近いうちに食糧危機を迎えることを予感させられます。
この国でコンビニやホテルや飲食店も含め、捨てられる残飯の量は世界一だとか。
多くの国民は飽食に慣れ、食べ物に対する感謝の気持ちも薄らいでいるように思われます。
一方、私たちが日ごろ口にしている食べ物の安全性にも、赤信号がともっていることがわかりました。
輸入食品に対する依存率が異常なまで高くなっている現状を知ることで、食べ物に対する考え方が変わるはずです。著者は現役の衆議院議員ですので、事態の深刻さが現実問題として伝わってくると思います。
実は、いまわが国の食糧事情は戦慄すべき状況なのです。
*なぜ腐らないのか、横浜に長期にわたり野積みされた輸入食品
ある日、私(著者)の開いているホームページにメールが届いた。神奈川県の職員からである。そこには、横浜の埠頭に野積みされている、異臭をはなつ輸入食品を見てきたことが書かれてあった。
ビア樽みたいな青いポリタンクに入った、シメジ、なめこ、たけのこ、にんにく、ワラビ、きゅうり、ヒラタケ。
一応塩漬けになっているものの、炎天下に何ヶ月も放置されていて平気なのだから、一体何が入っているのやら。
さらに幌をかぶった部分では、一応空気が遮断されるので、こぼれたにんにくなどが腐敗したような強烈な異臭に襲われ死にそうになる。
こんなのは序の口、真夏にはもっとすごいことに、と言われて、それだけはご勘弁をと思う。
本当だろうか。このメールを読んで私は、横浜の埠頭に野積みされている野菜を見に行くことにした。衆議院議員の公式視察では、こんなところは絶対に見せてもらえるものではない。
2003年8月29日、炎天下、私は神奈川県庁前でミニバスに乗り込んだ。群馬県の婦人団体の見学に便乗させてもらったのだ。
案内役の方は開口一番、「このごろは野積みの食品が前よりも少なくなりました。見学できない屋上とか奥の建物裏とかに移動したものが多いのです。この輸入食品には虫もつかないし、周りには鳩もカラスも寄りつきません」と物騒なことをいう。
トラックの行き交う山下埠頭を右に左に曲がって突端に近いあたり。グリーンのシートでできた粗末な小屋が数棟。その外に埃をかぶった青いポリタンクの列がぴっしりと並ぶ。なるほど本当に野積みである。あたり一帯は壊れかかった中古の重機がならぶ荒涼としたところだ。
また、『ここにある食品は、食品というより貨物のひとつにしか過ぎないのです。食品を野積みにするのは日本だけでしょう。ほらここに「ここはゴミ捨て場ではありません」という看板があるでしょう』と。
車を降りて、早速手近にあるポリタンクのねじり蓋を開ける。物はゴボウだ。中からビニール袋に入った何かの液体に漬け込んだ白い切ったゴボウが現れる。
いつ入荷したのだろうか。ポリタンクに日付が書いてあった。「15414」とか数字が書かれてある。今年の4月14日に入荷したものが、塩漬けというだけで、この炎天下に4〜5カ月さらされていて、腐らないのだろうか。
それにしても、誰もが入ろうと思えば入れるこんなところに、誰でも蓋を開けられる状態で置いてあって、大丈夫なのだろうか。食の安全安心とはほど遠い状態ではある。
野積みの青いポリタンクは腰ぐらいの高さだが、それが2段3段と重ねてある。次々に開けてみると、中味は実にさまざまである。
フキ、細竹、ナメコ、にんにく、シメジ。にんにくは「蒜米」、シメジは「姫茄」と書くらしい。どれも中国からである。
さまざまに見える品目であるが、なにか共通点があるような気がする。もともと細いものか、もしくは細かく切ってあって、商品になって売っているときには、液体漬けで密封のポリ袋に入っているようなものたちである。
変わったものがあった。タラの芽だという。液体漬けで茶色に染まっていて、あの青々としたタラの芽とは全く見えない。
奥村さんは「これはスーパーの天ぷらになるものです。このような加工食品は、形さえあれば色や香りはあとからつけるので何とでもなります。大体、戻すときは水ではなく薬品で戻すそうです」と言う。
まだまだある。山ごぼうの木の箱、きゅうり、セリ、えのき茸、なたまめ。高菜を開けてみると、すごい悪臭である。
高菜や野沢菜など菜類の漬け物のおみやげ品は、怪しい。中国産のこのような怪しい液体に漬け込んだ状態で原料が入ってくるのである。原料が中国産といっても、青々とした菜っ葉の状態で輸入されるのではないのだ。
安い駅前そばやの山菜そばの原料も怪しい。ロシア産のわらびもあった。ベトナムの塩漬けきゅうりもある。
梅干し用の梅肉もある。紀州や小田原のトラックが買いにきているというが、ほんとうだろうか。わらびは福島や新潟、岐阜などと、それぞれ日本の産地のトラックがくるというのである。何か、おかしい。
*輸入食品が奇形やアレルギーを生んでいる
輸入食品はアメリカから日本に来るには2〜3週間かかっている。中国はそれより近いとはいえ国土は広大で、国内のアクセスだけでも日本に出荷するまで膨大な時間がかかっていると思われる。
そんなはるばる遠くから、腐ることなく旅してくる輸入食品の食品添加物で、日本人の健康は蝕まれているのではないか。
最近、日本は奇形についての医学が特に進んでいて、ベトちゃん・ドクちゃんの治療を受け入れている。それ以上に、死産で処理されて統計に出ない奇形児出産が最近多いと噂されているのは本当だろうか。アトピー性皮膚炎が急増しているのは、日本人に食生活の歪みからアレルギー体質が蔓延しているからではないか。疑問は尽きない。
この野積みの輸入食品が山になっている横浜港を、「ここはふるさと食品のふるさとだ」と言う。日本各地の名産地に運ばれて、国産品に化けて出てくるという意味である。
にわかには信じられないが、これらの大量の輸入食品は、いったいどこに運ばれて、どのようにして私たちの食卓に並べられるのだろうか。
*戦争で開発された、木の葉や草がいつまでも青々としている薬品?
アメリカはベトナム戦争で、枯葉作戦で除草剤が使われたことが有名であるが、それとは逆に、木の葉や草が腐らない薬も開発したそうだ。
兵隊がカムフラージュのために、頭や背中に雑草、木の葉などを背負って移動する。これらの木の葉や草をいつまでも青々とさせている薬を開発したというのである。
もしかしたら「木の葉や草をいつまでも青々とさせる薬」を、食品防腐用の添加物に使っているのではないだろうか。
この話は私が衆議院の同僚になる民主党の鮫島宗明議員から直接聞いた話である。確かな文献はないものの、鮫島さんは農学博士でもあるので、私は横浜の埠頭に野積みされていた腐らない野菜を見ては信じざるを得ない。
食品を腐らせない、腐敗や変質を防ぐための添加物は、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤などがあるということだが、発ガン性を疑われるものもあり、多量にとったり、各種のものを重ねてとったりしたときに、問題が大きい。悪質な毒性をもつとして、これまでに禁止になったものも多いのである。
野積みでも数年も腐らない野菜類の塩漬け加工の輸入食品は、なにがどれだけ入っているかわからない恐さがある。
*中国産冷凍ほうれん草に農薬クロルピリホス
中国から輸入されていた冷凍ほうれん草に、日本の残留基準をはるかに上回る農薬クロルピリホスが検出されたと、初めて新聞で報道されたのは2002年3月3日のことであった。
この報道は、冷凍野菜の便利さを享受し、それに慣れ始めていた国民に大きな衝撃であった。また外食産業は安価な中国産野菜に大きく依存していたので、実際の影響が大きかった。
ところで、これらの検査は輸入食品の検疫検査でわかったのかと思ったら、そうではなかった。この検査をして公表したのは、民間の農民連(農民運動全国連絡会)食品分析センターである。
なんと厚生労働省は中国産の冷凍野菜について、モニタリング検査(一部を抽出して行なう検査)も何もして来なかったのである
農薬クロルピリホスは有機リン系殺虫剤で、正常な神経伝達を妨げることによって殺虫効力を示す。リンゴやナシの害虫駆除、住宅のシロアリ駆除などに使われている。大量に摂取すると神経系に影響を与え、痙攣やめまい、吐き気、意識喪失をおこすことがある。
また脂溶性であるがために動物の脂肪中に貯蔵され、長期にわたる障害や慢性毒性も報告されている。
この報道を受けて、厚生労働省はあわてふためいて、初めて冷凍ほうれん草のモニタリング検査を行なうと発表した。
驚くべきことには、冷凍品などの加工食品には残留農薬の基準値がないとの理由で、輸入時に何らの検査もなされず野放し状態だったのだ。
ところであの広い中国全土で、クロルピリホスの禁止令など通用するのだろうか。中国で農家の庭先に行くと、「DDT」の空き袋が積まれているといった噂は、今でも多く耳にする。(中略)
以上のような経過で、中国産冷凍ほうれん草に農薬クロルピリホスがふんだんに使われていて、輸入自粛解除後にも、中国の検疫局が検査合格証明書を発行しているものにもクロルピリホスが検出される実態が明らかになった。
これでは中国政府の証明書などは信じられない。しかし、それだけではなかったのである。
2002年1月に、厚生労働省は「中国産野菜検査強化月間」を設けて、100%モニタリング検査を行なった。
その結果、生鮮大葉や冷凍・生鮮ニラ、生鮮ブロッコリーなど9件に、基準値を超えるフェンバレレートやクロルピリホス、メタミドホスなどの農薬(殺虫剤)が検出された。(中略)こうして調べてみると、農薬に汚染された中国野菜が日本にどっと押し寄せているのである。
*驚愕の内容です。これは「第2の食品偽装」なのかも知れませんね。