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【主張】米一般教書 次代へつながる指導力を

2008.1.30 02:14
このニュースのトピックスサブプライムローン

 残る任期1年となったブッシュ米大統領は、最後の一般教書演説で「未完の仕事の達成が求められている」と述べ、内政・外交にわたって議会と国民の協力を訴えた。

 最大の焦点が経済に置かれたのは当然だろう。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題などによる米景気の後退懸念は、世界経済にも深刻な影を落としつつある。

 大統領は「米経済は不透明な時期にある」と認め、総額1500億ドルの緊急経済対策法案の早期成立を議会に求めるなど、景気回復と国民の不安解消を至上課題とする姿勢を強調した。

 任期末のレームダック(死に体)化が深まる政権にとって、大胆な新政策を打ち出す余地がないのはブッシュ氏も同じだ。主要テーマの大半が内政・経済に費やされた中で、東アジアや北朝鮮問題に触れないなど、物足りない面は少なからずあった。

 それでも特筆すべき点はあった。

 第1は昨年、議会や世論の抵抗にひるまず実施したイラク米軍増派作戦が徐々に功を奏し、治安や統治の分野で目に見える改善が進んでいることだ。大統領はアフガニスタンのテロとの戦いも含めて「気をゆるめず、成果を次の段階につなげる」と述べた。

 第2は、消極的とされてきた地球環境問題で国際的協調へ踏み込んだことだ。インド、中国などのクリーン技術を支援する国際基金設立を提唱し、京都議定書以後の途上国を含めた国際枠組み合意の必要性を訴えた。

 イランの核開発問題では「イランがウラン濃縮を停止すれば交渉は可能」と対話解決を呼びかけた。昨年末の中東歴訪で公約した「パレスチナ国家創設合意の年内達成」について、改めて強調したことも評価したい。

 米国内では次期大統領選に向けた共和、民主両党の指名争いの真っ最中だが、大統領は両党の候補者たちに対して「選挙でよく戦い、結果が出れば協力を」と呼びかけた。その理由は「未完の課題」の多くが次期政権にとっても重要テーマとなるからだろう。

 とりわけテロとの戦い、地球環境、中東和平などは、誰が指導者になっても米国が背を向けられない課題だ。ブッシュ大統領も、次代へつなぐ指導力を最後まで発揮してもらいたい。

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