ストロベリー・リナックス社が販売する、ワンチップ温・湿度センサSHT11(sensirion)を使用したUSB接続の温度・湿度計キットを製作しましたのでレポートします。
センサは基板に接続されているので、付属の1.8mUSBケーブルでパソコンに接続します。計測した温度・湿度はプログラムによりパソコン画面に表示されます。
また、本キットは完成品としても販売されています。
最初にキットを完成し、動かしたときの温度と湿度表示した画面を示します。
1.キットの中身
本キットは、同社のホームページから通信販売で購入できます。ここには説明書もありますので参照ください。
ストロベリー社の「USB温度・湿度計モジュール・キット[USB-RH]
キットはUSBケーブルとCD-ROM、それと部品、基板、説明書が入っています。まず、部品がすべてそろっているかどうか、数量を確認します。不足しているような場合は、説明書に記載されたメール・アドレスに問い合わせください。なお、電話番号は郵送されたときの郵送袋の差出人のところにあります。
写真のCD-ROMに説明書やサンプル・プログラム(ソース)などが入っています。付属のUSBケーブルは1.8mです
部品は、説明書、プログラムを書き込んだと思われるカスタム・マイコン、SHT11センサ、細い糸はんだがあります。LEDは3個、色の違ったものが入っており、うちの2個を自分でプログラムを作ったときに使用するようです。サンプル・プログラムのLED操作1,2ボタンで点灯を確認できます。
基板は51mmx31mmと小さいものです。C1,C2はコンデンサ104、PS1はポリスイッチ、CN1はUSBコネクタを取りつけます。
回路図やマイコンの動作などは説明書に入っていません。マイコンはCY7C63723と刻印されており、サイプレス社のデータシートでの名称は「enCoRe USB Combination Low-Speed USB & PS/2 Peripheral Controller」と書かれています。
今回の製作の難関は、SHT11センサのはんだ付けです。写真のようにこのセンサは足(リード)がなく、また間隔も狭いです。
上記は、すでにSHT11センサをレポートしている中尾さんの写真をそのまま使用しました。そのレポートについては、下記の「初歩のマイコン」にて詳しく行われていますので参照ください。
2.製作
製作については説明書に詳しく書いてあります。最初は製作で一番難しいセンサICの取り付けです。まず、説明書に記載されているようにセンサを向きを間違えないように、付属した糸はんだを使ってはんだ付けします。それ以外の部品は、自分の手持ちのはんだを使用します。
では、少し難しい表面実装のはんだ付けから始めます。説明書に書いてあるように、細いはんだゴテで、使用していない右側の端子側の一つをまず仮止めします。仮止めのはんだ付けは、クリップなどで押さえて行うと安定して作業ができます。このクリップは、100円ショップで購入した「アルミ製ピンチ」というものです。
まず1か所だけ仮止めのはんだ付けをして、位置を確認して残りの端子をはんだ付けしてきます。写真は未使用の右側端子2か所はんだ付けしたときのものです。説明書に書いてありませんが、ホームページにはこんなことが書いてあります。
「センサ表面にハンダを盛らないでください(LCCパッケージは側面をハンダ付けします)」
残念ながら、筆者はわざわざ表面にはんだを盛ってしまいました(でも、動いています)。写真に示すように、一番上の端子のようなところははんだ付けしていません。
これが終われば、まず背の低い部品から基板にはんだ付けします。指定した値の抵抗器を指定した場所へ、コンデンサはC1とC2とシルク表示された場所へ、そしてICソケットをはんだ付けします。ICソケットは、基板にシルク表示されている向きに凹んだ部分を合わせてはんだ付けを行います。
最後に極性を確認しながらLEDを取りつけ、ポリスイッチをPS1とシルク表示されたところに、USBコネクタをCN1とシルク表示されたところにそれぞれはんだ付けします。
LEDは特に色の指定はありません。LEDは2個使用しますので1個余ります。
部品の取り付け間違いがないか、目視で確認します。間違いなかったら、付属のマイコンを向きを確認しながらICソケットに挿します。
3.パソコンへソフト・インストール
基板の組み立てが完了したら、付属の1.8mのUSBケーブルでパソコンと接続して確認します。ケーブルは「最大5mまでの物が使用できます」と書かれています。
基板からのUSBケーブルをWindows XPが起動しているパソコンに接続すると、ドライバ要求なしで自動的にUSBデバイスが認識されます。このとき基板のLEDが点滅します。これができたらOKです。このとき、まだ付属のCD-ROMはパソコンに設定する必要はありません。説明書に書かれているように、USBコネクタを差し込んだら数秒から10数秒間外さないようにします。
次は、この基板にて温湿度を計測した結果を表示するためのプログラムを入手しパソコンにインストールします。
USB温度・湿度計のソフトは無料です。こちらからダウンロードしてください。
ただし、執筆時点、ダウンロードエリアにあるモジュールの日付は付属CDに入っているものと同じでしたので、CDから行っても良さそうです。ここではインストールしないで、直接CDのフォルダより実行してみました。
4.パソコンでの動作確認
ここでは、パソコンにインストールせずに添付CDのusbrhdemoフォルダにある「project1.exe」をクリックして実行してみました。
「センサ検出」ボタンを押すと、次のように温度・湿度の表示されます。センサ周囲を計測して値が変化します。
サンプル・プログラムのソースおよびライブラリはライセンス・フリーで付属しますので、自分でプログラムを作ることができます。EXCELにデータを取り入れてグラフ表示なども良さそうです。
また、基板がむき出しなのでケースに入れるような対策指示も書いてあります。この基板はUSB側の電源と分離されていないので注意が必要です。ケースについてはちょっと考える必要があります。
後田 敏
このキットは、エレキジャックNo.5(1/25発売)号のモニタ企画で読者の方に提供されます。p.174の応募要綱をご参照の上、ご応募ください。