消防レポート #101 階段駆け上がりレース2007 福岡大会/2007
【主催】 ステアーレース2007 福岡大会 実行委員会 (日本警察消防スポーツ連盟 福岡支部)
【主管】 日本警察消防スポーツ連盟  【後援】 福岡市・福岡市消防局
【特別協力】 (財)日本消防協会・全国消防長会  【協賛・協力】 一般企業27社

消防職員による消防職員のための競技大会といえる「階段駆け上がりレース」が、2007年12月8日に福岡市早良区百道浜にある福岡タワーで開催されました。
近代化・高層化する建物においては、法令に基づく防災設備・消防用設備などが設置されています。しかし、高層階で火災などの災害が発生した場合、また、大震災などが発生した場合に「その設備がゼッタイに機能する」という保障はありません。こんな状況下で消防職員に求められるものは、やはり消防活動の原点である“体力の限界時における自己管理力”。そんな原点に立ち返り、「己の体力は超高層建物で発生している災害に打ち勝つことができるのか?」を自らに問うのがこの競技大会です。

タイトルのとおり、競技はズバリ「福岡タワーの展望台(123m)までどれだけ早く駆け上がることができるか」というもの。日本ではあまりなじみがないこの競技、欧米では100年以上の歴史を持ち、市民にも人気がありよく知られたもの。
参加者は総勢110名。北は宮城県仙台市より、全国各地から集まり、お隣韓国・釜山市からも6名の隊員が参加。大会自体が消防職員自らの発案であり、レース内容や安全管理といった企画運営面など全てが大会実行委員である消防職員が担当し、大成功の大会となりました。

会場では、協賛・協力企業による
最新車両・資機材・被服等の
展示も行われました。

全国消防救助技術大会とは異なったアプローチで開催された、消防職員のための競技大会。超高層建物で発生する火災、救急、救助等の災害に対応するため、日頃の訓練で培った成果を発揮し、消防士としての体力と誇りをアピールすることはもちろん、大会を通して職員間や他業種の社会人と情報交換を行い、多くの交流を深めることで、幅広い知識・技術の習得を図り、業務に活用していくことを目的としています。さらに、日本初上陸の今大会では民間施設において実施することで広く一般市民の目にもとどめてもらい、消防業務に対する理解を深め、防災力の向上も目的にしています。

こうしたしっかりとしたテーマが柱となっているだけあり、後援には福岡市と福岡市消防局、特別協力に(財)日本消防協会と全国消防長会がつき、くわえて一般企業など27社が協賛や協力を快諾。競技に使用する防火衣や空気呼吸器のレンタルや、会場での車輌展示などではおなじみのメーカーが協力しました。

スタート前の“お立ち台”にて意気込みを語る選手。

各地から集まった選手が
それぞれの地域によって
個性あるカラーの防火服で参加しました。

お立ち台から続くコの字型の花道を通ってスタート地点へ。観客や参加選手等からの声援が飛ぶ。

計測はタイムカードの打刻により開始。

コースとなる屋外非常階段。手すりをしっかりつかみ、一段一段確実に進んでゆく。

レースはまずスタート前に、完全防火着装状態でお立ち台にあがり、所属や名前や意気込みなどをアピール。そのまま他の選手や運営スタッフ、一般の観客が囲む花道を「頑張れよ!」などという応援を受けながら抜け、スタート地点のタワーの1階へ向かいます。
タイムカードを押せばいよいよスタート!
展望台までの123メートル、577段の階段を一気に上ります。コース(階段)上には各ポイントにボランティアスタッフが救急箱やAEDを備えて待機し、いざの場合の態勢も万全。20キロ近くの装備を身につけたまま一心不乱に階段を上り、ゴールである展望台でタイムカードを押したところでゴール。
しかし、ただ上りきっただけでは失格。あくまで階段駆け上がりは進入手段の一つであり、その後の活動ができなければ意味がありません。そこで、ゴールしても倒れ込んでしまうようであれば失格となってしまうのです。無事ゴールした隊員の一人は「さすがにきついね〜」なんて言いつつも、充実感あふれる笑顔を見せていました。

展望台のゴール地点。

タイムカードに打刻すればフィニッシュ!
コース上には、ボランティアの救護スタッフが救急箱やAEDを備えて待機。
ゴール後には、テレビ局のレポーターからインタビューも。
薦田実行委員長(前列右から2人目)を中心に、大会の企画・運営に当たったステアーレース2007福岡大会実行委員会の皆さん。

栄えある第一回の総合優勝者は、静岡市消防防災局の望月将悟さん。チャンピオンジャケットとメダル、盾などが贈られました。

今回、第1階段駆け上がりレースを開催してくださいました、日本警察消防スポーツ連盟福岡支部、福岡市、福岡市消防局、協賛協力企業の皆様、国内初ということで大変な苦労があったことと思います。
皆様のおかけでレース、勉強会、交流会と気持ちよく参加させてもらい感謝しています。本当にありがとうございました。123m、577段の階段では苦しく、足が動かず、きつかったですが、まだまだ「いける」って感じがしました。面体着装・ホース1本携行でもできるぞって感じです。(優勝できたので言うのですが…)消防人生で訓練してきた成果が出せ、流した汗と涙は裏切らなかったな〜って思いました。自分を育ててくれた上司、一緒になって訓練に励んだ同期、必死になって追っかけてくる後輩がいてくれたからこそ今回の優勝があったんだと思います。当然、家族の協力も…。このレースは実災害にもありえることなので、職員の意識・体力向上のはもってこいではないでしょうか。
次回があるのでしたら、「優勝を守りぬかねば!」と思ってます。総合優勝はとても嬉しかったです!ステアーレース最高最高です!!

大会終了後の懇親会では
表彰式と交流会が
行なわれました。

今大会は各地から同志が集う貴重な場。
そこでただのレースで終わらせるのではなく、情報交換や交流という点にも目的がおかれています。大会としては1日なのですが、これは2泊3日のプログラムの一部。大会前日には競技説明や顔合わせを兼ねたウェルカム・パーティーが行われ、大会当日も午後から消火戦術についてや消防活動のヒヤリハット、ロンドン市消防の事例などをテーマにした「消防活動検討会」を実施。夜には交流会パーティーが行われ、その席で結果発表と表彰式が行なわれました。
そして翌日は福岡市消防局による「救助展示会(ザイルロープレスキュー)」も実施されるなど盛りだくさんの内容が行われました。「交流」という面はさらに特徴的で、2泊3日の宿泊に際し参加者が同本部で一緒にならないようなホテルの部屋割りにしたりするなど、細やかな工夫も行われました。

大会翌日に行われた救助大会展示会。
開催地であり都市型ロープレスキューを早くから導入している福岡市消防局による、技術展示が行われました。

福岡市消防局南消防署花畑出張所救助隊の皆さんにより
ザイル救助資器材の説明と訓練展示が行なわれました。

この度、「第1回階段駆け上がりレース2007福岡大会」をステアーレース2007福岡大会実行委員会(日本警察消防スポーツ連盟福岡支部)が主催致しました。現在、各都市の消防局・本部では行政改革に伴う財政再建の見直しの影響で、職員数の減、給料表改定など、モチベーションを下げる要素ばかりで若い職員に良くない影響が目立ちます。今回の大会は、第一線で活躍する若い職員が自ら提案し、自らのスキルアップのため、自ら実行に移しました。
この大会の最大の特徴は“多くの一般市民の目に触れる”という事です。自身の職場の看板(消防本部名)を背負って戦う者にとって、市民から送られる応援は理屈抜きで嬉しいものだったでしょう。市民にとっては、消防のシンボルである防火衣・防火帽を身に着け、重いボンベを背負って果敢に駆け上がる消防士の姿は、心強い存在となったに違いありません。スペシャリストとしての技術向上も勿論必要ですが、我々消防職員はその全ての職員が“生涯現役”でなければならず、年齢の枠を越え、老若男女問わずこの大会に参加する権利を有します。日本警察消防スポーツ連盟は、世界では歴史の長いこのステアーレースを継続して国内で開催し、「消防職員たる者“生涯現役”を忘れる事なかれ」を心情に、国民の真のニーズに応えるべくスキル向上につなげていきたいと考えております。今後とも、「ステアーレース」開催に多大なるご協力をお願い申し上げます。

日本警察消防スポーツ連盟


 
協賛企業
(50音順)

RKB毎日放送 株式会社
株式会社 赤尾
エントリーサービス
プロモーション株式会社
大塚製薬 株式会社
城島印刷 株式会社
株式会社 九州防災センター
株式会社 近代消防社
株式会社 ケーイーエム
有限会社サポート
プランニング
株式会社 佐川急便
株式会社 サニクリーン九州
株式会社 シグナルOS
東商アソシエート株式会社
医療法人 徳州会
福岡徳州会病院
ドレーゲル・セイフティージャパン株式会社
株式会社 西日本新聞社
西鉄興業 株式会社
ハイヤット レジデンシャルスイート福岡
福さ屋 株式会社
シャボン玉石けん 株式会社
株式会社 ピエトロ
株式会社 ヒロ建設
福岡タワー 株式会社
株式会社 フジタ工芸
株式会社 フジタ工芸
株式会社 山口油屋福太郎
レントール太陽 株式会社
応援企業
キャナルシティ・福岡ワシントンホテル 劇団四季福岡シティ劇場 (有)七城町特産品センター
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13 (有)エム エフ ルーフ  


Reported in 2008.
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