賃貸更新料訴訟 借り手の返還請求棄却 京都地裁2008年01月30日11時54分 賃貸住宅の契約更新時に支払いが義務づけられた「更新料」は消費者の利益を一方的に侵害し、消費者契約法違反にあたるなどとして、京都市北区の男性会社員(53)が、入居したマンションの貸主に更新料50万円の返還を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「更新料は賃料の前払いといえ、原告に損害や不利益をもたらすものではない」として、借り手の請求を棄却した。借り手側は即日控訴した。 判決によると、会社員は00年8月、家賃を月額4万5000円とする契約で京都市左京区のマンションに入居した。1年契約の更新時に10万円を支払う条項があり、01〜05年に5回、計50万円の更新料を支払った。 訴訟では、更新料の支払いを定めた賃貸契約が、消費者契約法10条で「消費者の利益を一方的に害するものは無効」とする条項に該当するかどうかが争点となった。 判決で池田裁判長は更新料について、更新後の契約期間の「賃料の補充(前払い)」や、貸主側が更新を拒絶する権利放棄の対価などの性質を持っていると指摘。そのうえで、今回の10万円の金額は、契約期間(1年)や、賃料(4万5000円)に照らし、「ただちに相当性を欠くとまでいうことはできない」とした。 借り手側は訴訟で、貸主の有利な立場を背景に、借り手が支払いを押しつけられていると主張。「契約で合意したとしても、消費者の利益を一方的に害する条項は守る必要はない」と訴えていた。一方、貸主側は「更新料は賃料の補充」とし、対象の物件は家賃を低くしていると主張。「短期間借りる人にメリットがある仕組みで、社会的に認められている。消費者の利益を害さない」と反論していた。 借り手側代理人の野々山宏弁護士は「不当な判決」と話し、貸主側代理人の田中伸弁護士は「常識的な判決が下されたと思っている」と語った。 同様の訴訟では05年10月の東京地裁、06年8月の明石簡裁の判決がいずれも更新料の徴収を有効と判断している。 PR情報この記事の関連情報社会
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