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■社会

公立16病院が入院・外来休止 近畿2府4県 医師不足が深刻

 大阪府阪南市立病院が4月から入院受け入れを全面休止することが判明したことを受け、産経新聞が公立病院のある近畿2府4県の各自治体などに照会した結果、少なくとも計16病院で入院か外来の診療科が休止に追い込まれていることが29日、分かった。診療科別でみると産科の休止(9病院)が最も多かった。府県別では、奈良、滋賀両県で休止が目立つ一方、和歌山はゼロだった。いずれも医師不足が休止の原因で、地域医療の中核を担う公立病院の危機的な状況が改めて浮かび上がった。

 調査結果によると、診療科別では産科は入院受け入れの休止が少なくとも9病院、うち7病院は外来も休止。産科以外の診療科では、心臓血管外科や神経内科、耳鼻咽喉科、眼科で4病院(うち3病院は外来も休止)が入院診療を取りやめ、小児科や形成外科、麻酔科などで外来のみ休止しているところも3病院あった。

 休止が相次ぐ背景には、新人医師が研修先を選べる新臨床研修制度の導入によって、医師の“空白”が生じた大学病院が近隣病院に派遣していた医師を引き揚げたり、医師が過酷な勤務条件を避けて開業医として独立したりするなど慢性的な医師不足が大きい。さらに、医師不足の影響で患者数も減少し収益がダウンする悪循環に陥っているとみられる。

 平成18〜19年に搬送妊婦の死亡・死産問題が起きた奈良県では、17年7月に宇陀市立病院、18年4月に県立五條病院(五條市)、19年4月に妊婦死亡問題の舞台となった大淀町立大淀病院が相次いで産科を休止。滋賀県では、湖北総合病院(木之本町)が17年3月から産婦人科を休止、東近江市立蒲生病院も13年から事実上、婦人科だけで対応している。

 他の診療科では、大阪府泉南地域で常勤医引き揚げが目立ち、市立貝塚病院で昨年春から内科の救急外来がストップ。市立岸和田市民病院でも昨春から神経内科の入院診療が休止されている。

 

 (2008/01/30 8:05)

□産経関西よりお知らせ

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