系統班

コウモリってなにもの!?  (Vol.2.)

 Eukaryota; Metazoa; Chordata; Vertebrata; Euteleostomi; Mammalia; Eutheria; Chiroptera
 真核生物界; 後生動物; 脊索動物門; 脊椎動物亜門; 哺乳綱; 真獣亜綱; 翼手目

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コウモリの体の仕組み 翼=翼手

コウモリの翼は、人でいう手です。

左の図のように五本の指があり、五本の指の間に飛膜と呼ばれる膜が張っています。
この膜はさらに小指から足の指へつながっています。

小コウモリの多くは後ろ足と尾の間にも飛膜が張っています(尾膜)。
後ろ足は尾膜を張るのにとても重要で、膝関節は他の哺乳類とは逆に背中側を向いています(つまり後ろ足はおなか側に曲がります)。
これにより、尾膜は強い風圧に耐えられるようになっていると考えられ、尾膜をかじやブレーキとして使うことができると考えられています。

しかし、オオコウモリにはこの尾膜はなく、小コウモリのオヒキコウモリ、サシオコウモリは尾が長く、尾膜はほとんどありません。
飛膜はよく見ると細かい血管がたくさんはしっています。
光にかざすと血管が赤いのがよく分かるほど、飛膜は薄くつくられています。
この飛膜は、穴があいても自然にふさがります。

鳥、コウモリ、人の前腕の比較(福音館書店 科学のとも128号より)
キクガシラコウモリとヒナコウモリ
日本に生息している小コウモリを大きく二つのグループに分けるとしたら、キクガシラコウモリの仲間(キクガシラコウモリ上科)と、ヒナコウモリの仲間(ヒナコウモリ上科)に分けることができます。
この二つの仲間は、見かけが大きく違います。

キクガシラコウモリの仲間は特徴的な鼻を持っています。
写真のように鼻葉と呼ばれる構造が発達しています。


それに対してヒナコウモリの仲間(写真はモモジロコウモリ)の鼻には鼻葉がなく、ネズミなど他の哺乳類と同じ様な構造をしているように見えます。
種によって異なる翼の形

コウモリの翼手は、手によってその形が異なります。

翼の横の幅と縦の幅の比率を比べてみてください。
コテングコウモリの翼は他のものに比べて縦の幅に対して横の幅が狭くなっています。

このような翼によってコテングコウモリはホバリングをすることができます。
そのため木々の間を自由に飛ぶことができ、また、葉の表面などにいる昆虫を器用に捕ることができると考えられています。

キタクビワコウモリの翼はそれに対して少し横の幅が広くなっています。
このコウモリは樹の樹幹部など、コテングコウモリよりも上空をより高速に飛ぶのに適していると考えられています。

さらに高速飛翔に適していると考えられているのは、写真はありませんがオヒキコウモリの仲間です。

このように、翼手はそのコウモリがどこで餌を捕獲しているのか?ということに密接に関わっていると考えられています。
冬の生活

温帯や亜寒帯など、冬がある地域にすむコウモリは、虫が少なくなり気温が急激に下がる冬の間どのようにすごすのでしょうか?

この冬の過ごしかたもそれぞれ多彩です。
鳥のように、もっとあたたかい地域に大集団で移動するものもいます。
また、洞窟や岩の割れ目で冬眠をするものがいます。
冬眠をするときには、外の気温と同じぐらいに体温を下げ、呼吸の回数も少なくなり、暖かく虫がたくさん発生する季節になるまでを過ごします。

また、コウモリの中には、夏の間でも雨が降ったり気温の低い時期が続くと、一日だけ冬眠をするという裏技を持っているものもいます。
冬眠をするコウモリの中には、10年以上も生きることができる種がいます。

なぜコウモリは「コウモリ」というのか?
〜名前の由来〜

日本語の「コウモリ」の由来には3つの説がありますが、その中の一つに かわもり(川を守る)から来ているという説があります。
つまり、井守(イモリ)家守(ヤモリ)と同系の語源であるという説です。

これはコウモリが、川のそばでたくさん目撃されたり、橋の下に住んでいたからだともいわれています(「こうもりの不思議」内田照明著 球磨村森林組合)。
日本では西洋の吸血鬼伝説が入ってくるまで、日常生活にとてもなじみの深い動物であったそうです。
その証拠に、刀の柄や歌舞伎役者の着物の模様、欄間などにコウモリがあしらわれているものがあります。

中国と日本では、漢字でコウモリを表すと「蝙蝠」と書きます。
これは中国語では「紅蝠・幸福」と同じ読み方だそうです。
つまり中国では、蝙蝠は幸せをもたらす縁起の良い動物としてとても大切にされてきました。
そこで、様々なものに赤いこうもり柄や、こうもりが5頭飛んでいる図柄などがあしらわれています。
アップにすると→









ラーメンどんぶりの底や、チャイナ服の模様をよく見てみてください。
意外なところに蝙蝠模様が見つかります。


←中華街で売られていたイヤリング

ちなみにフランスではこうもりのことを禿ネズミ(Chauves-souris)。
ドイツでは飛ぶネズミ(Fledermause)と呼んでいます。

国によって名前の由来が違うのは面白いですね。

コウモリはどの動物の仲間??

コウモリを一目見ただけで、ほかの哺乳類とは違うことがわかります。
翼を持って空を自由に飛び回っているからです。

さて、そんなコウモリはどの動物の仲間なのでしょうか?
大きなコウモリの顔をみると、イヌやキツネ、リスに似ていると思いませんか?
小さなコウモリの顔はネズミやモグラに似ていると思いませんか?

でも、こんなに見かけの違う大きなコウモリと小さなコウモリの祖先は同じだということが、DNAからわかっています。

私たちは、こんな不思議な動物コウモリが、どんな動物からどのように進化してきたのか?
そして、今地球上にいるほ乳類では、どの仲間に近いのか?
ということをDNAによって調べようとしています。

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