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【社会】

3割が金銭授受認める 名市大学位審査、「便宜供与は無し」

2008年1月30日 朝刊

 名古屋市立大(同市瑞穂区)大学院医学研究科の博士論文学位審査をめぐる汚職事件を受けた同大の特別調査検討委員会の中間報告で、贈収賄のあった2004年度だけで、教員や、学位を申請した学生や医師の約3割で金銭授受があったことが29日、明らかになった。実態調査を進めてきた調査委は「一部で学位審査の金銭授受が習慣化しているが、便宜供与はなく審査自体は公正だった」との見方を示した。

 調査対象は、収賄の罪で起訴された元医学研究科教授の伊藤誠被告(68)が学位審査した04年度の医学研究科の博士論文審査のうち、伊藤被告が関与したものを除く教員、学位申請した大学院生らの計74人。面談や文書による調査の結果、回答拒否や所在不明などを除き、教員19人、申請者44人の計63人から回答を得た。

 そのうち教員で5人、申請者で14人が金銭授受を認めた。教員が受け取った金額は1人が10万円、4人は5万円と回答。一方、申請した側は論文を審査する主査に対し7人が10万円を超える額を渡しており、最高は30万円程度。

 また審査を補佐する副査延べ14人にも5万円以下の金銭が渡っていた。また菓子や酒類、装飾品を授受していた例もあった。

 双方の金額が一致しない理由について、調査委は「今回の調査対象になっていない教員に渡した可能性もある」と説明している。

 金銭授受の時期について教員、申請者ともほとんどが「教授会による審査に合格して以降」と答え、授受の理由について教員は「謝礼と思った」、申請者は「謝礼や慣例と思って渡した」と語り、いずれも便宜供与は否定している。

 調査委の高木道久委員長は会見で「金銭授受が現実に存在したことは率直に言って遺憾だ」と述べた。事前に報告を受けた西野仁雄学長も「3割も金銭授受があったことは極めて残念。大学として反省し、責任を感じている」としている。

 

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