開業医再診料、引き下げ断念 医師会の反発受け 厚労省2008年01月30日03時01分 厚生労働省は29日、医療機関などに支払う診療報酬の08年度改定で、焦点となっていた開業医の再診料引き下げを断念する方針を固めた。この引き下げによって勤務医不足対策の財源の一部を捻出(ねんしゅつ)する計画だったが、開業医を中心とする日本医師会が強く反発。厚労省が最終的に押し切られた。勤務医不足対策には1500億円を盛り込むものの、開業医の既得権益への切り込み不足は否めず、「勤務医との格差是正が不十分」との批判が高まるのは必至だ。 30日の中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で、中立的な立場の公益委員が引き下げ見送りを提案、了承される見通しだ。 外来の初診料は、前回06年度改定で開業医、勤務医とも2700円に統一された。だが、同じ病気での2回目以降の診察にかかる再診料は、勤務医570円(ベッド数200床未満)に対し、開業医は710円。患者は自己負担が少なくて済む病院を選ぶ傾向が強まり、勤務医の過重労働につながっているとの批判がある。 厚労省は今回、病院の勤務医に比べ少ない労働時間で高い収入を得ているとの指摘もある開業医の再診料を引き下げ、その財源を勤務医不足が著しい産科・小児科などに重点配分する方針を打ち出していた。 だが、医師会は「再診料は、地域医療を支える開業医の無形の技術を評価する重要な項目」として引き下げ案を拒否。次期総選挙を意識し、医師会の支持を取りつけたい与党も歩調を合わせた。 厚労省は勤務医不足対策の必要財源を1500億円と試算。具体策として、リスクの高い出産、重症の子どもの治療への報酬引き上げや、勤務医の仕事を補助する事務職員の配置などを挙げている。 財源については、「医師会と決裂するよりも、別の方策を検討した方が財源を確保しやすい」と、中医協の委員を説得。開業医の再診料下げを断念する代わりに(1)軽いやけどなど簡単な治療の診療報酬を廃止(2)再診時に検査などを行わなかった場合に再診料に上乗せ請求できる「外来管理加算」の見直しで400億円を調達。昨年末の改定率交渉で決まった医師の技術料など診療報酬の本体部分の引き上げ幅(医科で0.42%)1100億円と合わせ、1500億円を確保する方針だ。 厚労省は、軽いやけどの治療など、再診料以外の部分で開業医向けの診療報酬を削って財源を確保した。だが、1500億円で勤務医不足を十分に緩和できるかどうかは未知数だ。効果が上がらなければ、再診料引き下げ見送りへの批判が改めて高まりそうだ。 PR情報この記事の関連情報暮らし
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