「枯渇の心配のないエネルギー」も、すべてよしというわけではない。地球温暖化対策は一筋縄ではいかない。
トウモロコシやサトウキビを発酵させてつくるバイオ燃料だ。この生産が拡大すると中国やインドで将来、水不足が起き、食糧問題は一層悪化するという予測を国際機関「国際農業研究協議グループ」がまとめた。
バイオ燃料は米国などでガソリンの代替品として需要が増え、トウモロコシなどの作付けが増えたため大豆などの栽培が減り、穀物価格を押し上げて問題になっている。岡山県内でも飼料価格が上がり、畜産農家を直撃するなど影響は大きい。
県内では、木材のまち・真庭市などが国の「バイオマスタウン」になっている。こちらは林業由来の木質系バイオマス(生物資源)が主役。台風で発生した風倒木などの廃材や木くずを燃料などに利用する。食料と競合しないため、トウモロコシのような悩みはないし、木材資源の豊富な土地に向いている。
昨年、同市であった「ゼロエミッション(廃棄物ゼロ)フォーラム」で、作家のC・W・ニコルさんは「自然とうまく暮らしている文明国は日本だけ」と語った。多少のリップサービスを割り引いても、なるほどと思わされる言葉だ。
さて、原油高やバイオ燃料の余波で値上げラッシュに見舞われたわが暮らしはどうか。少しの距離を車に頼る、薄着で暖房、興味のないテレビ番組がついたまま…と反省点はいくつも。温暖化防止へ足元から―と言うはやすいが、行うは難しをつくづく実感する。(津山支社・道広淳)