底冷えのする中、一昨日、山の仲間とバードウオッチングに出かけた。行き先は日本三大名園の一つ岡山・後楽園とその周辺。
旭川が流れ、園内外に大きな樹木もあることから県内でも有数の探鳥スポットとして知られる。川面をヒドリガモなどのカモ類がスイスイと泳ぎ“都鳥”の別名を持つユリカモメが乱舞していた。
屈託のない鳥たちの姿を双眼鏡で追っているとこちらの心も段々になごんでき、元気がわいてくるよう。ふっと土手の木の枝を見るとジョウビタキが止まっている。黒い大きな瞳。「愛らしい」「目に濁りがない」と感嘆の声。
この日のお目当てはキクイタダキだ。ここ十年で最も数多く渡ってきているという。確かに「沢の池」近くの松林で飛び回っていた。薄緑色の体。頭のてっぺんに一筋、黄色の線がある。菊の花弁を一枚乗せているようなのでその名がついた。
何とかその菊を見てやろうと双眼鏡を構えるのだがスズメよりずっと小さく、すばしっこく、とらえられない。あきらめかけていたとき向こうから二メートル手前の枝に降りてきてくれた。肉眼であの菊を確認することができた。こういうこともあるのだ…。
見た鳥は三十九種にも。仕事柄、うつむく姿勢が多いがこの日ばかりは逆に反り返っていた。心地よい疲れだ。現代人は時に何かを無心になって見上げることが大切だと思った。